表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソラモヨウ  作者: SIN
76/88

76本

 社会保険完備のスーパーの求人に応募してから、何の音沙汰もないまま2週間が過ぎた。

 受かっても落ちても、普通なら連絡があるはず。そう社会に出ている弟や毛むくじゃらが言うので大人しく待っていたが、流石に2週間は長過ぎると思い、俺は何度目かの求人募集の確認をした。

 のだが、そのサイト内での求人期間は過ぎており、募集は打ち切られていたのだった。

 なるほど、落とした相手に対して何の連絡もしない所だったらしい。

 しかしモヤっとしたままなので「スーパーの名前、求人」と打ち込んで検索してみれば、他サイトで募集がされているではないか。

 それも、俺が応募したサイトよりも時給が30円高い。

 でもなぁー落とした相手に連絡しない所だし、またここに応募したとして2週間待ってたら、足踏みをしたまま11月になってしまうしなぁ。

 バイトはもう辞めている為に収入が1円もない中、扶養家族でもなくなり、歯の治療は続いているので、このままではなけなしの貯金が全て消えてしまう。

 11月まで悠長にしている場合ではないのだ。

 よし、月曜日歯医者終わりにそのままスーパーへ直接電話をして応募してみよう。

 そう今後の事を決めつつ買い物を済ませた俺は、その足で元バイト先の先輩の家に向かった。

 購入したのは手土産のケーキ。

 「お邪魔しまーす。これお土産―。要冷蔵」

 部屋に上がり適当な場所に座ってパソコンモニターを見ると、何かのゲームをしている途中だったらしい。

 「3時になったら一緒に食おっか」

 甘い物は苦手ではあるが、誘われたら断れない。

 こうして3時になり、俺は先輩に飲んでもらおうと珈琲を淹れ、冷蔵庫に入れていたケーキを皿に乗せてファークを添え、2人分の珈琲とケーキを机の上にそれらしく配置した。

 「お待たせいたしました。ケーキセットです」

 そして店員っぽく声をかけた。

 ゲームをしていた背中がこっちを向いて、机の上を確認した瞬間軽い笑い声。

 「確かに」

 「店に出すなら値段、いくら位かな?」

 何気なく問いかけたのに、先輩は意外に真剣に考え込むから、しばらく待ってみる事にしたのだが、そうすると珈琲が冷めてしまうので、

 「いくらなら出す?」

 質問を変えてみた。

 それでも先輩は少々悩み、最終的に、

 「400円かなぁ」

 と、明確な値段を指定した。

 いくらなら出す?との答えに、400円。

 「まいどありぃ♪」

 俺は笑顔で手を出し、それを見た先輩は大袈裟に驚いてくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ