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ソラモヨウ  作者: SIN
61/88

61片

 去年は京都まで紅葉を見に行った。

 しかし実際に見たのは青々としている木々と結構普通の橋と、そこがそうだと言われなければ見つけ難い石碑と、至って普通の町並みだった。

 そこで“もっとちゃんとした京都観光がしたい”と毛むくじゃらが言うものだから、

 「じゃあ来年は毛むくじゃらが行く所決めてな」

 「任しとき!」

 と、約束を交わしていた。

 こうして1年が経ち、アチラこちらから「京都の効用が綺麗」と耳にするようになってきた頃、毛むくじゃらは結構色々と計画を立てたようだった。

 ただ俺の乗り物酔いを計算に入れているが為、あれほど“もっとちゃんとした京都観光がしたい”と言っていたにも関わらず、

 「京都はしんどいかもなぁ……前ん時死んでたもんなぁ」

 と、京都自体を諦めようとしていた。

 「大丈夫。5条までなら行ける!」

 「ホンマかなぁ」

 そう言って毛むくじゃらが選んだのは、以前に俺が1人で行った事のある男山。

 俺が行ったのは小学生の頃で、岩清水八幡宮の存在すら知らなかった頃だった。だから“今回はちゃんと参拝しよう”と。

 大まかな事が決まり、後は現地に行くだけ!となった頃、風邪を引いてしまった。

 微熱と激しい喉の痛みと頭痛。安静にしていたが喉の痛みだけがいつまでも治らない。だけど熱は下がったし、頭痛もないので、

 「喉痛いだけで健康やで」

 と、少しばかり無理矢理な主張をしてみた。

 「鼻声やん。また来年にしよ」

 「来週までには治すから、来週な!」

 1週間後、鼻声ではあるものの喉の痛みは引いた。

 が、雨。

 こうして紅葉を見にいけたのは、今日だったりする。しかも男山ではなく、花見の時にも行った大阪城。

 見上げる木々のほとんどは紅葉ではない。

 ものの見事な枝っぷり!

 「……枝やな」

 「やな」

 枝は枝として楽しみながら散策し、その終着点は大阪城……ではなく、ディスカウントストアだったりする。

 地元のディスカウントストアとは違う品揃えにテンションが上がった後は帰宅するだけ。

 朝から曇っていた天気、そこへ強力な雨男が枝を見る為に散策した訳だから、よく雨が降らずにいたと思う。

 しかし、せめて後1時間だけでも降らずにいて欲しかった……。

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