60片
近所のスーパーへ毛むくじゃらと共に買い物に行った。
入り口すぐ横の自動販売機でタバコを買った毛むくじゃらは、特に何も言わず当然のように買い物カゴを持つと野菜売り場に向かった。
「で、今日は何するん?」
野菜売り場を少し歩いた後になってから献立確認してくるのはいつもの事だ。
「特に決めてへん」
そう答えるのも毎度の事。
こうして安売りしているものを見て買い物をする訳なのだが、この日は野菜売り場と魚売り場の間に設置されたハロウィンコーナに、1つの大きなカボチャが置かれていた。
普通のカボチャではなくてハロウィン用のカボチャなので、食用ではなく結構大きい。
「3000円やって」
と、毛むくじゃらは大きなカボチャに小さく貼られた値札を読み上げ、俺はへたの部分を触ろうとして伸ばした手を引っ込めた。
装飾ではなく売り物だったとは……。
カボチャを通り過ぎようとした所で、1脚のテーブルセットが目に入る。
何気なく近付いていくと、大きな文字で重さを当てよう!と書いてあった。で、テーブルの上には紙とペン。そして応募箱。
「なになに?なんの重さ?なんて書いてる?」
目の悪い俺では大きな文字以外読めないので、隣にいる毛むくじゃらに読んで貰う事に。
「えーっと。展示されているカボチャの重さを当てよう。名前と答え書いてボックスに入れるんやってさ。正解した人には……」
淡々と読んでくれている毛むくじゃらを他所に“展示品のカボチャ”を探すがテーブルの周囲には無く、そこで俺はひらめいた。
「あっちのデカイカボチャやな?」
カボチャに近付き、両手で持ち上げてみるとズッシリとした重みを感じる。
これは何キロだろう?10キロの米よりは重くなさそうだけど……。
「正解者にはお菓子やって」
説明書きから俺の方に視線を移した毛むくじゃらは、何をやってんだ?とでも言いたげな表情をしているので、カボチャをゆっくりと下ろして右腕に走る痛み。どうやら筋が違えたらしい……。
「何のお菓子?」
「ん、参加はお子様のみな」
お子様のみ!?
「そういうのは早めに教えてや……でも、8キロと思う」
「ほぉ。で、危険ですので持ち上げないでください。やって」
なぬぅ!?
「恥ずっ……光の速さで帰ろ」
こうして、そそくさと買い物を済ませて帰宅した。
ハロウィンが終わり、スーパーは既にクリスマス一色。そしてカボチャの重さの正解は何処にも書かれてはおらず、分からず仕舞いになったのだった。




