第3話 鼻血は恥ずかしくない
私はよく鼻血を出す子どもでした。
虚弱体質で少しでも激しい運動をするとすぐ垂れてくる。
「悩みは何ですか」と聞かれれば、即答で「鼻血!」と答え
られるくらい辛かった。
夏の暑さや冬の乾燥は何もしていなくても垂れてくる
油断できない季節。
風呂上りも危ない。始まってしまうとなかなか止まらない。
鼻にティッシュを詰めても追いつかず垂れてくる。
酷い時は洗面所のボウルに頭を下げ、ポタポタと排水口を流れていく
血を止まるまで見つめていた。
何をするにしても鼻血が気になる。全てにおいて積極的な行動が
できない自分が恨めしい。
学校での鼻血は恐怖でしかなかった。
私が小学生だった1980年代の鼻血といえば、ピーナツやチョコレートの
食べ過ぎと言われたり、果てはエッチな事を考えていたからなどという
今では考えられない迷信、いや嘘がはびこっていた。
授業中に鼻血が始まると周りに知られまいととにかくすすった。
何とか知られずに済まそうと必死だった。
特に近くの異性に知られて「もしかして私でエッチな想像をしていた?」
なんて絶対に思われたくなかった。
服や床を汚したくない気持ちも強かった。服に付いた血の汚れはなかなか
落ちない。幼少の頃に汚して親に厳しく叱られたトラウマもあった。
すする事で血が鼻腔から口腔に流れ込んでくる。当時の血の味は今でも
忘れられない。
社会人になり働き始めてからも鼻血は続く。
大人になってもばれまいとすするのは変わらない。
鼻血の悩みが強くなっていく。
働いて稼いだお金でなんとかして治らないものかと耳鼻科に何度も通い、
数えきれないくらいレーザー(鼻粘膜焼灼)で焼きました。
部分麻酔されていてもレーザーが通る瞬間は痛かった記憶がある。
痛さよりも治したい気持ちが強かった。
しかし治療を続けても鼻血は治らない。
出血箇所を焼いても別の血管が破れるの繰り返し。
それでも諦めずに耳鼻科へ通い続けました。
そして治療を諦めかけた30歳手前、漸く鼻血の悩みから解放されました。
鼻血さえなければ結婚できたのではないかと思うくらい、当時は積極的な
行動が抑制され苦しみ続けました。
今、鼻血で悩んでいる人がいたら、すすらず隠さないで欲しいです。
鼻血は恥ずかしくなんかないです。
怪我をアピールするくらいの気持ちで、周りを気にせずティッシュで鼻を
押さえてください。
もし突然出血して困っている貴方を心配し、声をかけてくれる見ず知らずの
人がいたら...それは運命の出会いかもしれません。
(私は隠し通してしまった事で出会いを逃したのかもしれませんね)
逆に笑ったり小馬鹿にする人がいたとしても気にする必要はありません。
(人として接するに値しない)
鼻血は根気よく治療を続ければ必ず治ります。諦めないでください。




