61 ぜいいーーん! しゅうごーーう!!!
唐突にこんな言葉を頂いた。
「軍・・・・・・んそ・・・・・・軍曹! 着きましたよ。起きてください・・・・軍曹!!」
何処からとも無く知り合いの声が木霊し、身体を揺すられる。
左手で目ボケ眼を擦ろうと持ち上げようとすると腕を絡んで寝ているキンタが居て思った。
『何コイツ、気持ちわる!』
右手でキンタを剥がそうとすると二の腕にポワンとした柔らかの二物を感じ意識が集中する。
胸だ! 女の子の大きな胸の谷間に俺の二の腕がある!! 何で! と、寝る前の事を忘れていた俺はそっちを見て、可愛らしい寝息を立てている麗子さんが居て驚く。『あっ!』
そんな感じで身体を小刻みに動かしていると同タイミングで二人が目を擦りながら起きた。
それ見て、『何か、血の繋がりを見た』とか冷静に思った。
「んん。」
艶やかな唇から可愛らしい言葉を出して、寝ぼけ眼を綺麗な手で擦り、
「おはようございます・・・ぅ・・・」
とかいいながら、寝ぼけて可愛い声を出していたが、俺が見ているのを気が着いて視線が会うと一気に顔が真っ赤になり、お恥ずかしいもの(醜態)を見せてしまいました。見たいな表情を見せられドキリとする。
で、隣の奴は、
「んん。」
容姿の整った男がそっち系を悩殺させるような声を出して、目を覚まし、
「コタツ・・・もう・・・ついたのーー」
少し声が変わったキンタの声に殺意が生まれ可愛らしさが一切見えないのは俺が正常だからだと思う。が、そっち系の人たちに見つかったらきっと攫われ俺が助けに行く構図が生まれるんだなー。だるいなーという感想が走馬灯のように駆け巡った。
二人の言葉に俺は答えるように口を開く。
「ああ、寝ている間に駐屯地についたらしい」
「そうなんだ~ぁ」
気の抜けている(寝ぼけている)キンタ。
「そうなんですわね」
さっきの醜態を無かったかのようにシャキッとしている麗子。
そして、ガチャリと車のドアが開きキンタが出たそのときだった。
そこに怒号が飛びかった。
「気をつけぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ざっ! ざっ! というような服が規則正しくたなびく音がし、
「敬礼!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
指揮官の気合の入った声が駐屯地に木霊するように聞こえた。
まず、キンタが「ええっ!?!? な、何っ!?!?」と怯え、戸惑う声がした。
えっ!? 何、どうしたの! と面倒くさかったけどキンタの降りた方から降りると、恐らくほぼ駐屯地に居ると思われる人員(自衛官たち)がそこに等間隔、部隊ごと隊旗を掲げ、惚れ惚れするような敬礼を800人近い人間が此方に向けて敬礼をしていた。
ドン引きである。
そして、それを率いて敬礼をしてきている佐官を見て、更にドン引きした。
うちのオトンの教え子でオトンを尊敬している玉守二佐だった。
玉守二佐は堂々と立って俺を見ている。
キンタに至っては俺の後ろで事の子細を見ているだけで、麗子さんは逆側のドアから出て覗くようにパジェロ(車)越しに見て、ぽかんとしてる。
俺は玉守二佐に「敬礼省略!」と一言。
俺にむけられていると思われた敬礼だった故、その言葉をいうと案の定玉守二佐は、
「直れーーーーーーぇぇぇ!!!!」
号令が鳴り響く。
ビリビリと全身を貫くような声に建物の窓ガラスが騒ぐ。
ここに居る自衛官たちは一斉に統率の取れたスピードで手を体側に拳を握り、気をつけの姿勢を取った。
コレだけ見るだけでここの自衛官の錬度と士気の高いことがわかる。
「先に言っておく! 何の敬礼かは知らないが、俺はレンジャーやんねーぇかんな!!」
おれはどうどうとここに居る知り合い達に声高にして言い切った。
『また、またぁ~』とニッ、といい笑顔を作る玉守二佐。
そこに山田一尉が口を突っ込む。
「今回は本当にしませんよ! それ所か、教官側として参加したいと申されてました」
冷静なその言葉に自衛官たちの凱旋ムードが数秒で敗戦ムードが流れ出し、1人が自分の顔を抑えて後を向き逃走を始めると一斉に士気の高いと見えた自衛官たちは敗軍にしか見えなくなった。
いや、みんな謀ったかのように虫の子散らすようにかけていくさまは練度が高いと言っていい気もする。
でも、誰が居たかくらいは、8割はわかる。後で何かご馳走していただこう。




