失踪
いない、いないの。どこにもいない!大事な大事なミミちゃんが!ふわふわモチモチみわくのボディ。うるうるお目々のミミちゃんが!
どこに行っちゃったんだろう。戸だなの中は探した、ソファの上も。カバンの中も机の中も探したけれど見つからない!
お母さんに聞いても知らないって。お父さんはどうせ分かんないから、聞いてもムダ。本当にどこにいるんだろう。丸一日探してるのにいなくなっちゃった。あのフワフワに顔を埋めるのが好きなのに。ハイパーキュートなお顔をモチモチするのが好きなのに。今日は一回もできてない!
いつもは階段の窓ぎわにいるはずなのに。ポカポカの日差しを浴びて、お日様のいい匂いをさせているのに。今日はどこにも見当たらない。
おもちゃ箱だって探したし、クローゼットも探したの。お風呂もトイレも押し入れだって探したのに見つからない。あまりにも全部ひっくり返したものだから、お母さんに怒られた。
だってミミちゃんいないんだもの。そう言ってほっぺをふくらませる私に、その内出てくるわよってお母さんは言った。そのうちっていつなのよ!私は今すぐミミちゃんに会いたいの!今すぐミミちゃんをモフモフしたい!あのフワフワに顔を埋めたい!
家中探しても見つからなくて、つかれてソファにたおれ込む。日差しがポカポカあったかくって、なんだかウトウトしてしまう。ミミを探さないといけないのに、ガマンできなくてそのままねちゃった。
今日は朝から娘が大騒ぎ。飼い猫のミミが見つからないと。どこにいるか聞かれたけれど、猫がリアルタイムでどこにいるかなんて知ってるわけないじゃない。ミミはゆっくり過ごしたいのか中々出てこない。
十中八九、常に娘の視線が届かない場所で寛いでいるだけでしょう。今も娘がおもちゃ箱をひっくり返した場所のすぐ隣、本棚の上で腹を出して寝ている。ついでに言えば娘によって部屋が漁られ、ドンドン荒れていく。押し入れを漁りだした辺りで流石に娘を止めて叱った。
叱られたのが悔しいのか、はたまたミミを見つけられなくて悔しいのか。地団駄を踏んでギャン泣きの娘をチラリと見て、ミミは大あくびをかます。少しはこっちの身にもなってくれ。そう思いながらため息と一緒に娘を抱き上げ宥める。
半日そうこうしていたら、流石に疲れたのか娘はソファで眠ってしまった。ちょうど日向で温かいのだろう、気持ちよさそうに寝息を立てている。
娘の気持ちを知ってか知らずか、トトっと軽い足音をたて、ミミが本棚から降りてきた。ユラユラ優雅に尻尾をなびかせ、ムフンと実に満足気な表情で。
ミミはそのままソファに飛び乗って、娘の足の間に陣取り丸くなる。さっきまで昼寝してたんじゃなかったかなとは思ったがそっとしておく。しばらくして、娘の寝息に、少し早い寝息が加わった。
なんだかんだで娘の事は嫌いじゃないらしい。ただし娘が起きるより先に目を覚まし、また失踪騒ぎを起こすけれど。




