オリジナル
近年、科学は大幅に進歩した。
特にクローン技術に関するものはたった50年で人類の進化の過程を上回ると喩えられるほどだ。もちろん、生命に関する倫理についての議論も活発となった。現在ではそれらは一通りの決着が着き、国際的な取り決めもなされている。さて、活発に行われた議論の内容だが、それらは基本的に人間のクローンについてなのは知っているだろう。そう、人の生命。特にクローニングによって生み出された人間、つまり現在で言うところのサブヒューマンについてだ。これらの技術が生まれた当初は両生類を始めとし、魚類、家畜動物がクローンの実験に使用され成功例も数多く存在していたが、人間のクローンに対しては当時の倫理観により、忌避されていた。その根本には医療や宗教、法律等を背景とした人権問題がある。サブヒューマンの人権問題ということだ。このことは現在は先ほども言ったように国際機関がによる取り決めがなされ、それを基に各国の法律が形成されているが、当時は技術が生まれたばかりでまだそれらに関する倫理及び議論が発達段階にあった。それらが現在のような形になる契機となったのが−−−
今日もハゲ頭が黒板を背に小難しい話をしている。サブヒューマンの倫理についてとかなんとか。正直、もう耳にタコができる程聞いてきた話だ。今更知りたくもない。聞きたくもない。要はサブヒューマンはその名の通り、オリジナルに何かあった時のサブであると言うだけの話。そして、オリジナルはサブの生活を保証しなくてはいけないという法律がありますよってこと。脳さえ移植してしまえば、サブはオリジナルと変わらないし、脳がダメなら記憶チップを埋め込めばいい。チップの更新は毎日していれば記憶は引き継がれる。それよりも重要なのは、サブの生活を保証しなくてはいけないこと。それはつまり、お金がかかるってことだ。そんなことができる人なんて世界に一握り。
私は今16歳。きっと親がサブのお金を払っている。オリジナルの私のために。オリジナルの私は一体どんな生活をしているのだろうか。




