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 えぇ?なんか面白い話してくれ?無理言うなよ。急に振られてもできるわけないだろ。なんでもいいからって、無茶振りだなぁ。あんまり面白くなくても文句言うなよ。

 これは俺が子供の時の話なんだがな、実家がかなり田舎にあるんだ。しかも元々はそこそこ名の知れた庄屋だったらしくてな。大きな和風建築の家に蔵とか建ってる。んで、庭も広くて和風。ちなみに家と蔵は町だか市だかの記念物になってる。でも人が住んでるから比較的緩くて家はエアコンとかは普通についてたんだけどな。

 小さい頃は祖父母も生きていたし、俺の面倒を見てくれたんだよな。なんでもニコニコ笑って許してくれるような人たちだったよ。そんな祖父母だが、一つだけ、俺にキツく言いつけていた事があってな。蔵には入るなと。古くなっていて危ないからと。でもまぁ、やめろと言われるとやりたくなるのが子供の性だよな。それに月に1回、親父が蔵に入って行くのもみてたし。冒険と称して大人の目を盗んでコッソリ入り込んでたんだ。今は使わない古い道具がたくさんあってワクワクしてたのを今でも覚えてる。

 ある時、デカいタンスが少しズレてることに気付いた。ずっと置いておくと埃、かぶるだろ。それでわかった。そんでもってよくよく観察してみると、タンスの周りだけやけに埃が少ない。当時の俺はバカだったから、このタンスにお宝が入っているに違いない! と思って開けようとしたんだ。ただ、そのタンスの扉は他のもので塞がってて、ズラす必要があった。重そうなやつだったから、俺は助走をつけて思いっきりタックルをかましたんだ。バカだよな。当時見てたアニメにそんなシーンがあったんだよ。

 どうやらそれは見た目程重さはなかったらしく簡単に動いた。そこまでは良かったんだよ。そこまでは。問題はタックルした次の瞬間、俺は真っ逆さまに落ちてしこたま尻を打ったこと。タンスの下に人一人が通れるくらいの穴が空いてたんだ。笑うなよ。普通タンスの下に穴があるなんて思わないだろ。んで、尻を打った俺はしばらくうめいてたんだよ。そしたらさ、声がしたんだ。誰かいるのかって。俺はもう心底ビビった。男とも女とも取れる声だった。そんな声が真っ暗な中響いてきたんだ。

 ただでさえ蔵は明かりがなくて薄暗いのに、その地下なんだからもう暗闇しかない。自分の手すらよく見えなかったよ。しばらくして目が慣れたら、奥に細い柱がたくさんあってその向こうに人っぽいのがいるのが見えた。近寄ってみたらそれは俗に言う座敷牢ってやつだった。声かけてきたやつはその中にいたんだ。中のやつはこっちの様子をジっと窺っている様子でな。俺も話しかけたりはしなかったんだが、しばらくしたら納得した様子で、お前、康介の子供かって訊いてきたんだ。康介って俺の親父な。んで俺はそうだって答えた。そしたらそいつは笑って、なるほど、遊んでて落ちたか、やんちゃなことだって一人で納得してた。ちょっとバカにされた気もしたが、事実だし、と黙ってた。そいつはひとしきり笑って、うん、いい娯楽になった、特別に返してやるって言ったんだ。

 そんで、その後の記憶がない。気づけば俺は蔵の前に倒れてて親父と祖父に見つかって特大のゲンコツ食らった。

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