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自然

 視線を感じたの。とってもとっても情熱的な。ちょっとしつこいくらいのね。

 だから、振り返ってあげたのよ。何か用なの?どうなのよって。

 そうしたら、ツイと顔ごと目を逸らす。不自然すぎて、分かっちゃう。これが貴方のだってこと。まったく、野暮なことね。

 チラチラ見えたお耳のその真っ赤なこと。貴方の気持ちが手に取るようにわかるのよ。貴方、ワタシのことが好きなんじゃないかしら?

 悪いことじゃないわ。自然なことよ。男が女を好くなんて。人の世の道理じゃないかしら?だからそんな恥ずかしがらなくても良いのにね。まったく、照れ屋なものね。仕方ないわね。

 それにしても。なんでそんなに照れるのよ。貴方とワタシ、何も問題はないじゃない?

 ワタシ、知ってるのよ。貴方がワタシを好きだって。確かな筋から聞いたもの。ワタシ、貴方にならお嫁に行っても構わない。そう思っているのよ。

 だからちゃんと言って頂戴。貴方から。貴方がワタシを好きだって。ワタシにお嫁にきて欲しいって。そう言ってくれたら、ワタシ、一も二もなくハイと言うわ。ワタシも貴方が好きだもの。

 どうせ、貴方のことだから。ワタシに他に想い人でもいるんじゃないか。ワタシに無理をさせるんじゃないかと二の足踏んでいるんでしょう。まったく、不器用なことなんだから。

 貴方は将来、軍にいく。お家の決めたことだけと。それでも誇りを持って日々鍛錬していることをワタシは知っている。ホラホラ早くお言いなさい。若き優秀な軍人が、お嫁の一人もいないなんて。馬鹿にされてしまうわよ。まったく、そういうところはトボけてる。

 貴方は昔、病弱だった。それゆえ外の世界に行きたかった。ワタシが毎日お話しをしに行った。貴方、それで退屈しなかったんじゃぁないかしら。それを恩に思うなら、早く言ってしまいなさい。まったく、この恩知らず。

 貴方、ここまでワタシを不安にさせるなんていい度胸しているじゃない。ワタシが顔を立ててあげようとしていることに気づきもしないで。ワタシに他に想い人がいるんじゃないかとありえない事考えて不安になって。まったくこの意気地なし。

 いい加減。そろそろワタシも堪忍袋の緒が切れそう。これだけ貴方を思っているのに。これだけ待っているのに。何にも言わず、視線だけ寄越すなんて。気持ちだけはバレバレで、でもその事を伝えもしないなんて。その気にさせておいて、何もしないなんて、貴方と言う人はなんて酷い人でしょう!

 ホラホラ早く。言って頂戴。一言、たった一言でいいのよ。何も難しいコトないじゃない。二文字書くだけ、発すだけ。早く仰って頂戴な。

 まったく何年待たせるつもりなの?

 10年待ったのよ。もう10年待たせるつもり?そうしたら、ワタシ、他の人のところに行っちゃうかもしれないわよ?

 それは嫌でしょ。知ってるわ。貴方が他の人を牽制しているくらい。そんな野暮するくらいなら、どんなに不器用って言ったって、どんなに意気地なしだって。たった一言言えるでしょ。そろそろ我慢はできないわ。


 ほら早く、貴方の気持ちを言って頂戴!!!

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