表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/8

三つ星

 むかしむかしのあるところ。

 星の三兄弟がおりました。

 上の子は過去を。真ん中の子は今を。下の子は未来を司っておりました。


 上の子のお仕事は今まで起こった全てのことを記すこと。ガスを固めて作った紙に、星を砕いたインクで漏れの一つもないように。

 下の子のお仕事はこれから起こることを決めること。星の光を撚った糸で、全ての運命を結ぶのです。

 そして、真ん中の子のお仕事は、未来と過去が変わらぬよう見張ること。目を恒星の如くギラつかせて番をします。


 三兄弟はそれはそれは仲が良く。また真面目で仕事熱心な働き者でした。兄弟たちの働きぶりは素晴らしく、ある時星の王様からそれぞれなんでも一つ、ご褒美をもらえることになりました。

 「王様、それでは僕は机をください。地面で文字を書くのは疲れます」

 「では僕は強い剣をください。悪い奴をこれまで以上にやっつけて見せます」

 上の二人はすぐさま答え、王様は鷹揚に頷いてそれぞれに立派なのをくれてやりました。

 「末の。お前は何ぞ欲しいものはないのか。」

 王様は何にも言わない末の子に聞きました。

 末の子は答えます。

 「王様。僕は何もいりません。未来と運命の見える僕にはこれからのことがわかるのです。僕は何も望まないでいましょう」

 そう言った末の子に王様は不思議に思いながらも、言う通り何もあげないでおきました。


 そうしてしばらくたったころ。ほんのささいなことで上の子と真ん中の子はケンカしてしまいます。

 いつもはすぐに仲直りする二人でしたが、今回のケンカはそうはいきません。末の子が止めても、やれあいつが悪い、いいやそっちだと長続きしておりました。

 とうとうごうを煮やした上の子が、王様からもらった机に向かって。お仕事に使う紙とインクで真ん中の子の悪口をあることないこと書いて、そこら中に貼り出してしまいました。

 そのため、他の星々は真ん中の子のことを笑い者にしてしまいます。

 真ん中の子は怒り心頭。これまた王様にもらった剣を取り出し、上の子を問い詰めます。

 「やい、兄上。あれはいったいどういう了見だ。あることないこと書いてそこら中に貼るなんて。おかげで僕は笑いものだ」

 「ふん。お前が謝らないのが悪いんじゃないか。大体お前は昔から謝らない。もう僕は我慢の限界なんだ。自分が悪かったと認めてお前が頭を下げるなら、考えてやってもいい」

 全く悪びれない上の子に真ん中の子はとうとう我慢ができなくなり。

 「そうか。そんなに言うなら僕にも考えがある」

 と言って、上の子を剣で殺してしまいました。

 「ふふん。僕にあんなことを言うからこうなるんだ。どれ、記念にこの机はもらってやろう」

 実の兄を殺しても悪びれず、自慢そうに言った真ん中の子はよっこいしょと机を持ち上げます。が、思わず悲鳴をあげてしまいます。

 「な、なんだこれは。重すぎて潰れてしまいそうだ」

 それもそのはず、この机は何よりも硬くて重い石で作られていたのですから。

 机を持ち上げた真ん中の子はその重みでどんどん潰れていきます。

 そうしてとうとう持っていられなくなり。

 「ぎゃっ」

 と悲鳴を上げてペッチャンコに潰れてしまいました。

 残された下の子は糸を紡ぎながらシクシク泣いております。

 未来の分かる下の子は、全てわかっていたのです。王様に何かねだれば自分も兄弟喧嘩で死んでしまうことも。だから、王様に欲しいものを言えないでいたのです。

 しかしたとえわかっていたとしても大好きな2人の兄たちが死んでしまい、悲しくないはずがありません。しかもお互いに殺し合ってしまったのですからなおさらです。

 その悲しみはあまりに深く、末の子は幾年も幾年も泣き続けておりました。あまりにも泣き続け、その体が溶けてしまうほどに。そうして最後に残った涙が集まってできたのが天の川ということです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ