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引越し

 昨日新しい街に引っ越した。別に特別ば事情はなく、父の転勤に合わせたものだ。昨日あらかた荷解きはしたもののまだ少し段ボールに侵略されている部屋で一息ついた。

 カタンと部屋の隅で何かが落ちる音がした。家族もいるし、散らかっているし、特に気にはしなかった。あとで片付ければいいやーと呑気に考えていた。急な引越しやそれに伴うアレソレが原因でかなり疲れていた。

 引っ越してから一週間が経った。部屋から段ボールたちがいなくなり、かなり綺麗になってきた。私に押し付けられた和室は七畳と一人部屋にしては広い。その上大きな押し入れがあるため収納には困らないが、前まで使用していた家具たちと相性が悪い。仕方がないので部屋全体をカーペットで覆って誤魔化しているものの所々やはりミスマッチが起こっており、それが絶妙に気になる所。特に押し入れの襖との相性は最悪でビビットカラーの椅子や机がえらくチープに見える。いっそ家具の入れ替えをすべきか迷っていたら、部屋の隅、押し入れの方からまた何かが落ちるような音がした。どうせ和室だし、家鳴りか適当にぶち込んだものらが落ちたのだろうと気にしなかった。

 引越してから1ヶ月が経った。最近は家に帰っても気が休まらない。母が勝手に掃除でもしているのか細々としたものや家具が移動されていたり、自分用のお菓子が消えていたこともあった。しかも夜中には家鳴りが酷い。特に押し入れ方面からの音が目立ち、ここ数日は眠れない日すらあった。引っ越した時の入れ方があまりにも悪かったのか、荷物がかなり雪崩を起こしていた。明日の休みはそれらを片付けるために使うしかなかった。

 押し入れを整理していたら、天井に人1人分の穴があった。引っ越した時には気づかなかったが、様子を見るに私たちが引っ越す前から空いているようだった。とりあえず埃避けに適当な紙で塞いでおいた。あとで父母に相談しようと思っていた。天井裏から埃が降っていたらしくかなり掃除をしなくはいけないのが厄介だった。急とはいえ、父母もこんな状態の家を借りるなよと独りごちた。


――――――次のニュースです。⚫︎⚫︎町にて一家惨殺事件が起こりました。犯人は住所不明無職の男性と見られ、自身の住んでいた家にこの一家が乗り込んできたため殺したと自供しているようです。この家が空き家のころに勝手に住み着いたと見られ――――――

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