空中分解
身体の壊れる音がした。
ミシミシ。バキバキ。グチャグチャ。
身体の焼ける音がした。
チリチリ。パチパチ。ジュウジュウ。
命の壊れる音がした。
なんともいえない音だった。
僕が聞いた最後の音は、この世の何よりも悲しい音だった。
小さい頃は空に憧れた。どこまでも青く、高い場所。
いつからか僕はそこに行きたくなっていた。空よりももっともっと遠い場所。僕らがいる地球を飛びたして、数多の星が輝く宇宙に。
そのために僕はなんでもした。嫌いなお野菜だって残さず食べたし、テストは常に満点だ。毎日しっかり運動して、色んな人と仲良くなった。外国に行って、そこで働いたりもした。宇宙に行くならなんでもした。どんなに辛くても、歯を食いしばって耐えてきた。
その甲斐あって、外国の有名な宇宙研究機構に入ることができた。お金も人もたくさん働いている。
僕の人生における大きな一歩だ。
もちろん、そこに入ってからもたくさんのことをしなくちゃいけなかった。今までにないくらい大変だった。でも辛くはなかった。だって長年の夢が叶うのだから。
任務の内容や、無重力の授業、機械の直し方。たくさんたくさん学んだ。
仲間と信頼関係も築いていった。本気でぶつかり合って、本気で高め合った。
そうしてようやく宇宙に行く日となった。
幾多の試験の果てに。とうとう僕は旅立つ。人生で一番ワクワクしたよ。
カウントダウンが始まった。
エンジン点火。
第一工程完了。
飛行開始。
操縦室が浮遊感に包まれる。
僕らはとうとう飛んだのだ。
高度100kmを超えた時。それは起きた。
エンジントラブル。
けたたましい警告音。
次いで大きな爆発音。
僕らを乗せたロケットは、紙切れみたいに真っ二つ。
それからはもう覚えてない。
真っ逆さまに落下して。
強くなる重力に身体が悲鳴を上げて。
炎が気管を焼いたんだ。
そうして僕は死んだのさ。




