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葬列

 ルゥが死んだ。可愛い女の子だった。クルクルの金の髪に黒曜石のような瞳。桃のような頬に薔薇のように色づいた唇。完璧な女の子だった。いつもニコニコ笑ってた。誰にだって優しかった。こんな僕にさえ。

 ボロ雑巾のようだった僕を抱きしめて暖かい家に迎え入れて、綺麗にして、美味しいご飯と柔かい寝床をくれた。僕はいつだってルゥの側にいた。ルゥが楽しくて綺麗で明るいところにたくさん連れて行ってくれた。今まで見たことのない景色をたくさん見た。色とりどりの花々に、繊細な彫刻の噴水に、たくさんの本が並べられている場所。


 ルゥと僕はいつも一緒だった。僕とルゥは並んで歩いた。僕の体は小さいからいつもルゥが歩調を合わせてくれた。時々一緒のベットで寝ることだってあった。寒い寒い冬の日は一暖炉の前でくっついて暖まった。ルゥと違って真っ黒な僕をルゥはいつも隣に置いてくれた。幸せな日常だった。


 でもそんな幸せは長くは続かなかった。ある時ルゥは酷く風邪を拗らせた。うんうん唸ってとても辛そうだった。顔が真っ赤になって、汗もたくさんかいていた。でもルゥはきっと良くなる。そう思っていた。ルゥが病気になってしばらくしてからお医者様が来た。かなり窶れていた。お医者様曰く、ルゥは流行病の様らしい。僕は頭が良くなかったから、あんまり分からなかったけど嫌な匂いのお薬をたくさん置いていった事だけは良く覚えている。

 ルゥはどんどん弱っていった。熱だけじゃなくて、身体によくわからないブツブツがたくさん出来始めていた。ブツブツができると、今までルゥのお世話をしていた人たちは1人、また1人とどこかへ行ってしまった。それでも僕はルゥの側を離れなかった。ルゥ、ルゥといつも語りかけた。ルゥが寂しくないように。天気が良ければ僕は外に出て、ルゥに季節のものをとってきた。花に虫に、小さな木の実。ルゥは辛そうにしてたけど僕のお土産を見てとても嬉しそうにしていた。その度に僕はまた一緒にお出かけしよう、たくさんのものを見ようって話しかけた。


 とうとう母親ですら滅多にルゥに寄り付かなくなった。薄情者め、それでも母親かと心の底から罵った。その頃にはルゥは息をするのがやっとの様な状態で。こんな僕にでもお別れが近いことがわかった。ルゥ、僕の大好きなルゥ。雨に濡れて汚れて死にかけていた僕を救ってくれた女の子。僕に知らない世界を見せてくれた大切な友人。僕のご飯や寝床をくれた家族。僕は何もしていない。何も返せていない。もっとずっと一緒にいたい。

 とある晩、ルゥは息をしなくなった。たった1人ぽっちで、僕しか見ていないルゥの最後。家族がルゥが死んだことに気づいたのはその日の夕方だった。すぐに葬式がなされた。可愛いルゥは小さい棺に押し込められて埋められていった。

 少女葬列に参加したのは小さな黒猫一匹。今は彼女の墓の前で死んでいる。

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