第七十四章 繋がる記憶
夕方の喫茶店。
雨は変わらず降っていた。
ユークが今日の調査をみんなに話していた。
「分からないことがあります」
「昔にも似た現象が起きていました」
「でも記録が繋がっていません」
◇
1日目
最近、物忘れをする人が増えている
3日目
妙な現象だ
5日目
原因を調べようと思う
7日目
……
そして次のページ。
最近、物忘れをする人が増えている
◇
ガルドが聞く。
「途切れている?」
ユークが頷く。
「調査を始めている記録があるんです」
「でも次の記録ではまた最初から調べ始めている」
「積み上がっていないんです」
静寂。
雨音だけが聞こえる。
すると、リリカがぽつりと言う。
「なんか寂しいね」
「せっかく頑張ってたのにね」
セリアも考える。
「繋げようとしてたのにまた忘れちゃったってことなのかな」
レオンが口を開く。
「一人でやってたのかもな」
全員がレオンを見る。
レオンは少し照れくさそうに視線を逸らす。
「いや……分からないけど」
「一人だと限界はあるだろ」
すると、ユークが少し驚いた顔をする。
「……あ、そうかもしれません」
「一人の記録ではなく、もしも誰かと共有していたら……」
セリアが微笑む。
レオンも旅を通して変わったのだ。
なんでも一人でやろうとしてた人が一人だと限界と言うなんて。
「じゃあ私たちは共有しよう」
「思ったことも、気付いたことも、怖いことも、全部」
リリカが笑顔で同意する。
「うん!!」
ガルドも頷く。
ユークも小さく笑う。
そして、レオンも少しだけ口元が緩んだ。
雨は降っている。
でも、もう誰も一人ではなかった。




