第七十三章 水曜日の焼き菓子
雨音の街、水曜日。
朝から変わらず雨が降っている。
でも、この街の人たちは誰も嫌そうな顔をしていない。
窓辺、喫茶店、読書、手紙、雨宿り。
それぞれがそれぞれの時間を過ごしていた。
「今日は焼き菓子教室の日なんだって!」
セリアが嬉しそうに言う。
「へぇ」
ガルドが頷く。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい」
リリカは今日もティラミスを食べている。
ユークはすでに記録庫へ向かっていた。
そして、なぜかレオンも立ち上がる。
「……俺も行く」
セリアが笑う。
「うん」
焼き菓子教室では、店主のおばあさんが優しく教えてくれる。
「じゃあ生地を丸めてみようねぇ」
セリアは、
ころころ
ころ……
ちょっといびつ。
一方の、レオン。
綺麗、均等、美しい。
セリアが驚く。
「上手!!」
「そうか?」
「料理と似てるだけだ」
すると、セリアが少し困った顔になる。
「わたしも綺麗に作りたいなぁ」
レオンは少し考える。
そして、
「別にそのままでいいだろ」
「手作りっぽいし」
セリアが笑う。
「ふふ、そうだね」
雨音が響く。
◇
その頃、ユークは記録庫にいた。
今日も大量の記録に目を通している。
昔の日記、古い手紙、記録。
どれも断片的だった。
でも、あることに気付く。
記録が残せなかったのではない
記録が繋がっていない……
◇
そして宿へ戻った時、みんなの姿が見える。
リリカ
「ティラミス3つ目~!!」
ガルド
「まだ食うのか」
セリア
「レオンお菓子作りも上手だったの」
レオン
「普通だ」
その光景を見て。
ユークは少し笑った。
世界に異変が起きていても
日常は続いている
だからこそ
守りたいのかもしれませんね




