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ドレッドノート・カプリチオ ~勇者狂想曲~  作者: 振木岳人
「初夏の暴走!地獄の合宿」編
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聖者の気鋭よりも、愚者の狂気


合宿2日目の午前中

合宿棟の道場からは早々と、新たな悲鳴や絶望の声が、解放された窓や扉から、緑深き三登山に向かってこだましている。


オカルト研究会&ゲストの合宿、2日目の予定は【実戦訓練】。

何が実戦なのか、さっぱり理解出来ないメンバーたちであったが、道場に新たな講師が現れた事、そして、その講師が何を始めたのかで、身を持って知る事になる。


「はい、次!」


「ロロット・サンマリーデュモンです、よろしくお願いします!」


「両者構えて……、はじめっ!」


道場の中央を開け、壁際に座る、オカルト研究会&ゲストの仲間たち。

そして、道場の中央に躍り出たロロットと、真正面に対峙する大人の女性が。

そう、今、永田薙刀道場の道場では、今日から合流した新たな講師を相手に、組み手稽古が行われている。

実戦訓練とはつまり、ひたすら講師を相手に組み手稽古を行う事。合宿初日は、運動メニューを我慢して行う、自分自身との闘いだけで良かったが、この二日目は、単純運動の疲労に上乗せする様に、痛みを伴う、相手との闘いがプラスされていたのだ。


フランス在住時代、近所の空手学校に通い詰め、黒帯を取得したロロット、気負いなど全く感じさせず、新たな講師と距離を詰める。

先ずは先制攻撃で主導権を握ろうと、半身の構えから、その長い右脚を凶器に変えようと、自分の重心を、微かに左脚へとシフトした時だった。


「ちえいっ!」


その微かな動きを悟り、そして好機と判断したのか、情け容赦の無い、講師の正拳突きが、ロロットの胸にズドン!と命中。

そのまま吹っ飛ばされて、床をゴロゴロと転がったロロットは、うつ伏せに倒れ、完全に沈んでしまった。

もちろん、組み手を行うにあたり、メンバーたちは完璧な保護対策で守られている。

エアクッションが入った、フルフェイスの保護マスクを頭から被り、手にはグローブ。胴回りは野球のキャッチャーの様なプロテクターで固めている。

殴られても、蹴られても、確かに衝撃は身体に伝わるが、粉砕されるほどの、ピンポイントのプレッシャーは来ない。

深刻なダメージは、無いはずなのだが…


「ロロット、しっかりしろ!」


「…起きれる?…起きれる?…」


「息が……息が……!はあっ、はあっ!」


「まだ起きては駄目なのだ、横になって呼吸を!」


ロロットを心配し、全員が道場の中央に集まり、彼女を大事に抱えながら、道場の脇へと移動させる。


「ふうっ…」


 審判役の和田から渡されたタオルで、汗を拭う空手講師。

使い古したのであろう、ぼろぼろの道着を着ているものの、それすらが見る者にとっては、高級な衣装ではと感じさせる程の、細くて綺麗な大人の女性。

まるでファッションモデルではと、見紛うその人に、審判役の和田則正が声を掛ける。


「全くもう、静音も麗香も、子供に容赦無さすぎだぞ」


苦笑しながら、則正は「麗香」と呼んだ女性に向かい、スポーツドリンクを放り投げる。

それを左手でパシッと掴む「麗香」。スポーツドリンクをそのまま掲げる事で則正に感謝を言い、喉を鳴らしながら美味しそうにガブ飲みする。


「妖魔と人間が半々くらいいる、手応えはどうだ?」


則正が言っているのはどうやら、オカルト研究会のメンバーと、ゲスト参加したプリシラとベロニカの構成について。

そして、メンバーたちがどれだけの力量を持っていて、瞳の色にはどれほどの意志が宿っているのか、それらをひっくるめての、則正の質問だった。

そして、麗香と呼ばれた女性は、則正の真意をしっかりと把握し、嘘偽りの無いところで則正に答えた。


「みんな、良い色の瞳だ。色々と目指すものは違うかも知れないが、みんな良い顔をしてるよ」


「そうか、麗香がそう言ってくれるのは、嬉しい限りだ」


「どうせ静音は、ついつい楽しくて羅刹になったんだろ?私は意識して、彼らにとっての悪役をやろう。だから心配するな、則正」


道場主として、道場の上座に座して、練習を眺めている静音。その静音に聞こえる様に、苦笑しながら麗香はそう話した。


「ぶ~ぶ~っ!麗香ちゃん、私だってちゃんと先生やったよぅ」


「あはは、静音の満足してる顔を見れば分かるよ。昨日、真剣に死合ったろ?」


麗香に指摘され、何も言い返せず、もごもごと口を動かす静音。

確かに昨日、加納組み手を行った際に、武闘家としての本当の顔を見せた静音。

加納の才能が素晴らしく、本気を出さざるを得なかったと言う裏付けなのだが、

麗香は、その刹那の瞬間をついつい楽しんだ静音を、大人気ないとからかっているのだ。


「まあまあ、麗香もそこまでにしておいてやれ、次の世代の成長が、静音も嬉しいんだよ。それで麗香、次の彼が話にあった人物だ」


「なるほど、橙子が大切にしてる【希望の(わだち)】か、楽しみだな」


いきなり、2日目に現れた【実戦組手】の講師。

則正や静音から「麗香」と呼ばれている女性。彼女の名は【鳳麗香】おおとり・れいか。


高校、大学時代は、全日本女子の空手道チャンピオンであり、他の追随を全く許さぬ絶対女王として、長年日本の女子空手界に君臨した人物。

第一線を退いた後は、空手と総合格闘技とダイエットを融合した、総合ジム「フェニックス・ジム」を開き、それが爆発的に大ヒット。

今はフェニックス・ジムのオーナー、代表取締役会長として、全国63店舗の頂点に君臨している。

本社・本店が長野にある事。そして、和田則正と永田静音、更には藤間橙子が旧友…高校時代の同級生であった事から、今回の実戦訓練の講師招聘に、鳳麗香は快諾してくれたのだ。


また、麗香にとっても、この合宿を楽しみにしていたフシがある。

人と妖魔が入り混じり、無国籍状態となった北部団地で、今まで平和を保って来たのは、「勇者」宮代優作率いる、ドレッドノーツの功績がある。

実際のところ、長野市北部団地においての現状を鑑みれば、義仲工務店グループと、各地区の区長が集まる区長会が合併された、純日本人が束ねる自治会勢力よりも、酒呑童子を頂点とした妖魔のグループ、八百万組合の方が、地域に多大な影響力を持っている。

ドレッドノーツはあくまでも、八百万組合の傘下にあり、この街の治安…特に、警察力の及ばない状況下においては、ドレッドノーツが全ての主導権を握っているとも言える。

第二勢力である、移住外国人が爆発的に増え、そしてそれに伴う、アンダーグラウンドでのトラブルが激増している昨今、妖魔側組織のドレッドノーツに、治安の全権を委ねたままで良いのかと言う、危惧する声が噴出しているのも確かである。

そんな中、地元住民の古くからの精神的支柱であった陰陽師の高槻家が、土岐こよみに代替わりし、その兄である土岐玲一が、神殺しの力を得たと知れ渡れば、地元自治会が主導権を握るかも知れないと言う、可能性も生まれて来る。


 ……元青嵐学園生徒会長、藤間橙子の秘蔵っ子。どんな少年なのか見極めたい……


「静音、何かワクワクして来るな」


「それはいいけど、麗香ちゃんがいちいちトドメ刺すから、あの子たちドン引きしてるよぅ」


確かに、吹っ飛ばされたロロットを介抱する為に、慌てたメンバー全員が彼女に駆けつけ、道場傍に集まっているのだが、心配そうにロロットを見詰める目と、時折、麗香や静音のいる道場の中央に投げる視線の、温度差が激しい。

静音に言わせると、麗香の情け容赦無い攻めにドン引きしている眼つきなのだが、実際は、その淀んだ瞳の原因は、全て道場主の永田静音に帰する。

麗香のせいだと主張する静音が、大きな勘違いをしているだけで、根本的な原因は、もっと別の場所にあったのだ。


「カニ、もう見たくないのだ」


「静音さんは悪魔だ…、たくさん作れば良いってものじゃ…ない」


「…胃の中…カニだらけ…」


「いくら差し入れがあったからって、朝からカニ三昧とか無いよな…」


「富美、また吐きそうです…」


「ベロニカ、泣いてはいけません。リタイアすれば思う壺ですよ」


「泣いているのは貴様だろ、まあわからんでもないが」


お腹をさすりながら、または背中を丸めながら、膨らんだ腹をいたわるメンバー達。

それもそのはず。凄かったのだ、合宿二日目の朝食が。


合宿初日の昼食と夕食で、既にノックアウト状態だったメンバー達も、朝食に関しては、ささやかな希望を胸に抱いていた。「朝食くらいは、あっさりしているはずだ」と。

ご飯に味噌汁、切り身の焼き鮭と海苔とお新香、そしてサバ缶に大根おろし、パンにコーヒー…、何でも良かった。本当に、朝食らしくさっぱりと、あっさりと食べれるものなら、何でも良かったのだ。

だが、メンバー達の希望や願いは完全に裏切られてしまう事になる。


永田薙刀道場、合宿二日目の朝食は、朝食とは程遠い、グルメ三昧、カニ三昧の食事だったのだ。


「カニの差し入れを頂いたから、全部調理しちゃった。遠慮なく食べてねぇ♪」


永田薙刀道場の道場主、永田静音の屈託の無い笑顔が、悪魔の笑みに見える…。

寝ぼけ眼で食堂に現れたメンバー達は、テーブルの上にズラリと並んだ料理に、気が遠くなりつつあった。


どんぶり飯の隣に、松葉ガニの足と味噌がゴロゴロと入れられた、味噌汁ではなく「カニ汁」。玉子焼と思いきや、カニの身がたっぷり入ったジャンボカニ玉、ボイルされたカニの剥き身が皿の上に天高く積まれ、野菜よりもカニの方が量が圧倒的に多い、カニサラダなど。

それら大量のカニ料理が各々の目の前に並び、そこへダメ押しするかの様に、テーブルの中央に味噌ベースのちゃんこ鍋 (ほぼカニ)が鎮座している。


「具が無くなったら、カニ雑炊やるから言ってねぇ♪」


まさに、食べろ!強くなりたきゃとにかく食べろ!「食」もいわゆる闘いなのだと、静音の笑顔が語っている様にも見える。


 初代タイガーマスクのライバル、小林邦昭は、新幹線のメニューを全制覇したんだと、メンバーを励ます部長のひまりは、早々とグロッキー。

「天龍は今日も元気です」と、わかる人にしかわからない言葉を、まるで呪文の様にブツブツと繰り返し、玉の様な油汗を額に浮かべ、カニ玉とにらめっこを繰り返す。

周囲のメンバー達も、ひまりと似たか寄ったかで、殺気を放つ血走った目で、豪華なカニづくしを睨み付けながら、箸をつけようかつけまいかと、身体を震わせている。

昨晩、クラウスとカティアが届けてくれた高級グルメを、楽しく味わうと言う素敵な作業を諦め、極めて事務的に、強引に胃に詰めなければならない、決断の時間だけが流れていた。


「エビもカニも…大好物でしたのに、もうハサミを見るのも嫌ですわ」


「プリシラ、あの人に悪気は無いんだよ。以前、体育会系の合宿に付き合った事があるけど、ご飯の量は我々の倍以上あった」


「あの人からのあふれる優しさは、確かに感じる。だが、もう胃が破裂しそうだ」


と、ロロットを介抱しながら皆が胃をさすっていると、麗華が近付き、ロロットに声をかける。


「ロロット君、大丈夫だな、まだ合宿はやれるな?」


「は、はい…やれます、大丈夫でし」


呂律が回っていない程に弱ってはいるが、やる気はある。そんなロロットを見て、鬼の様な言葉を吐いた麗香は微笑ましく笑い、休んでいろと指示を出す。


ロロットに限らず、クラリッタも富美も。もっと言えばプリシラも、ベロニカも、一切、練習をリタイアせずに食らいついて来る。もちろん、弱音は吐くのだが合宿から逃げ出そうともしない。

そんな強靭な意志を持つ彼女達に、ある種畏敬の念を抱きつつ、容赦もしない鳳麗香や永田静音。

和田則正あたりに言わせると、「彼女達は強くなる」と、讃える言葉しか出て来ないのだが、

彼女達のその原動力となる事柄までは、読む事が出来なかった。


【今日一日我慢すれば、今日一日我慢すれば、いよいよ夜は玲一とのラブラブタイム】


ま、動機はどうであれ、倒れても倒れて立ち上がるその姿は、見る者からすれば頼もしく、誠に気持ち良い事ではあろう。


横になっていたロロットが身体を起こし、道場の壁にもたれる姿を、優しく好意的に見詰め、

そして、気持ちを切り替えたかの様に、表情を厳しくさせながら、玲一に瞳を移動させる。


「さあ、次は土岐君だな。準備を始めてくれ」


「はい!」


麗香に促され、グローブをはめる玲一。

加納やクラリッタが、プロテクターやフェイスガードを付けやろうとすると、玲一はやんわりとそれを断る。


「実戦訓練なら、ピリピリしてた方が良い」


慌てる仲間に向かい、防具で身を守り、その安心感に頼りたくないと主張し、生身のまま組手稽古に赴こうとしたのだ。

鳳麗香を前に、生意気なのかそれとも、鳳麗香と相対する事で、出来る限りの何かを得ようとしているのか、無謀な賭けに出る玲一。

手にグローブをはめただけで、麗香の待つ道場の中央へと進んで行く。


「土岐君。君のやる気、背負うものの大きさ。それが何かは問わぬが、気持ちは充分伝わった。だが、フェイスガードだけはつけなさい。せっかく何かを得ようとしているのに、気絶しては意味が無い」


ブァンッ!


玲一の顔の前を通り過ぎる、カミソリの様に鋭い風。麗香がデモンストレーションで、玲一の顔面から数十センチ離れた場所へ、上段回し蹴りを放ったのだ。


「っ!?」


首から下にダメージを受ければ、痛いと騒げば済む。苦しめばやがて収まる。

だが、アゴやこめかみなど、首から上にダメージを受ければ、意識ごと刈られる。

「一撃必殺の読み合いではなく、乱打戦に持ち込みたいなら、フェイスガードをつけろ」それが、鳳麗香のメッセージだったのだ。


麗香の言わんとする所が理解出来た玲一。加納が放り投げたフェイスガードを見事キャッチ。

急いでそれをかぶり、再び麗香の目の前に立った。


一度、うん♪と頷いた麗香。仁王立ちだった彼女が、静かに、流れる様に、ファイティング・ポーズを取る。


「土岐君、構えて」


審判役の和田則正が、組み手の開始を促す。

互いがファイティング・ポーズ…いわゆる「構えて」初めて、審判の開始の号令が出るのだが、不思議な事に、玲一は仁王立ちのまま。

重力に従い、真下に垂れた両手をちょっとだけ前に出し、そして拳を握るだけ。


朝、組み手を始めるにあたり、鳳麗香が全員に対して一通り空手の構えを教えたのだが、まるでそれを踏襲していない。


「…鳳先生」


「何だね?土岐君」


異変に気付き、見守る仲間達。真琴が「何をしてる玲一、構えるのだ!」と、心配して声を掛けるも、玲一の瞳は鳳麗香の瞳、一点に固定され微塵たりとも動かない。


「俺、武道は習っちゃいけないんだと思います。だから、アルティメット系(総合格闘技系)でお願いします」


「ほう♪」


「俺、ケンカ屋で良いんだと思います。多分、武道を覚えるとフェアじゃなくなる気がするんです」


迦楼羅の力を持ち、人類の、心霊の、妖魔の運命を左右するであろう玲一。

武道を覚えれば、人間凶器とまではいかないものの、技を駆使して武道家として、相手を倒す事になるのは必然。


何か玲一の中で感情がくすぶる。自分の中の自分…迦楼羅では無い自分が、腹の底から呼び掛ける。


 ……相手をぶちのめす事を前提に、武道を志すのか?……


 ……武道は、己の心身を鍛える手段であり、騒乱の渦中にある自分が、武道の道を志すのは、武道に対する冒涜では?……


多分、間違いなく近い未来に。いや、この先ずっと、…何度も何度も、力で解決しなければならないトラブルが、必ず出て来る。暴力を持って解決せざるを得ないなら、洗練された殺人技を駆使する人間になっちゃダメだ。

玲一が自分自身に架した十字架、それが一体何なのかが見えた麗香。厳しい表情をしながらも、その瞳には、玲一に対する尊敬の念が浮かんでいた。


「土岐君、詳しい事情は聞かない。でも、多分君が想っている事で、合っていると思うよ。私は賛成だ」


その言葉と共に、より、腰を低くし、いよいよ戦闘体制に入る麗香。

麗香が理由も聞かずに、玲一のケンカスタイルに賛同した。つまり玲一も麗香も、認識を共有したと言う事。

日々己を研鑽し、自分よりも強い者に憧れを抱き、技を自分を磨き続ける武闘家よりも、

玲一は極道やアウトローの闘い方の様に、【コイツにケンカ売ったら、無事では済まない】【コイツに喰らいつかれたら、命まで持っていかれる】と、相手が生か死かを選択せざるを得なくなる様な、つまり、闘いを仕掛けにくくなる環境を、敵が勝ちにくい環境を作ろうとしていたのだ。


社会一般的にわかりやすい言葉で表現するならば、それ即ち【抑止力】。

多分それが上手く整えば、自分が恐ろしい存在になれるなら、これ以上仲間を、家族を、危険にさらす事は無い。

そう玲一は覚悟を決め、鳳麗香の前に立ち、そして麗香もそれをしっかり感じ取ったのだ。


(……なるほど。試合で勝つのは鳳麗香、本当に恐いのは土岐玲一か。土岐ならもしかしたら、それを実現してしまうかも知れないな……)


心配そうに見詰めるメンバーの中で、加納だけが何故か、口元に笑みをたたえている。

だがその笑みは、玲一に対する期待がほとんどを占めていたのだが、翻って自分は土岐に肩を並べているのかと言う、自嘲の成分も含まれていた。


いよいよ、両者が接近する。互いの距離は約2メートル。互いの殺気が混ざり合い、空気が苛烈な対流を始める距離だ。


(……うむ、怖い。怖いぞ土岐玲一!君に襲い掛かる事を、私の身体が躊躇し始めたぞ。聖者の気鋭よりも愚者の狂気、それを選んだ君の力、お手並み拝見といこうか!……)


オカルト研究会メンバーが襲い掛かり、鳳麗香がかわして決着をつける。今までの組手練習パターンとはうって変わり、今日、初めて、鳳麗香が生徒に襲い掛かかった。


電光石火、玲一がまばたきする間も許さず、直線的な動きで麗香が急接近、勢いそのままに、右回し蹴りが、玲一の左側頭部を狙う。


ドンッ!!!


道場に鈍い音を響かせながら、麗香の右回し蹴りは見事にヒット。玲一はきりもみ状態のまま、ベタベタッと、道場の床をもんどり打って転がる。


「玲一様!」


「玲一ぃ!」




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