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月桂樹の葉を編む  作者: 叶笑美
群像劇
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66/110

ブラックサレナの戦闘

チョコをつけていた記者が”話を盛る”と言う名の捏造ねつぞう記事を書こうとしていたことがわかり、みんなで対策を打とうとしていたところ、ロマが策を考えると言って大使館に戻った。

その間、モチヘルハウンドから興味を抱いたロザの一族はヘルハウンドに会うために、チョコと共にラテルネ墓地へと向かった。

無事に交流を終えて街に戻って来た頃、ロマが何か策を思いついたと言う。

「チョコ!コロシアムに出て優勝するんだ!!」

衝撃的な言葉に驚きを隠せない一同だったが、いつもの戦闘衣装を身にまとい、ギンリョウソウをたずさえてコロシアムに向かった。


コロシアム初観戦のロザの一族5人は大興奮で開幕を今か今かと待ちわびている。

みんな目を輝かせ、頬は紅潮し、自然と膝を閉じて拳を上に揃えて置いてかしこまる。

辺りを見渡し、人の多さに驚く。

「す、すごいね!お祭りみたい!!」

「チョコ、いつもこんなのに出てたんだ!!」

「かっこいいよね!!」

「まだかな、まだかな?」

「なんか僕まで緊張してきちゃった!!」

5人とも興奮を抑えつつ会話をしているのが様子からうかがえる。

「人、多いね!」

メアが辺りを見渡す。

「ブラックサレナが出るからなんだってね!」

「人気だね!!」

イヴもガートルードも嬉しそうにはしゃぐ。

チョコがいつもコロシアムに出る時の選手名、ブラックサレナが出場選手一覧のボードにあったことから、観衆が多数押し寄せていた。

開幕が近づくにつれて席が埋まっていく。

そしてついには満席となった。

ピンピが指を刺してみんなに注目させる。

「あ!あれ見て!!あの記者がいるよ!!」

指先を見ると、チョコをつけていた記者がやはり来ていた。

「本当だ!!」とスプライも反応する。

「あの作戦・・・上手くいくといいね・・・」

少し不安気につぶやくメアに、みんなも頷いた。

そうこうしている内に、コロシアム開幕の合図である花火が打ち上がり、歓声と拍手が巻き起こった。


選手が次々と入場し、最後に入って来たブラックサレナに会場が盛り上がる。

当然、ロザの一族も立ち上がって歓声を送った。

「がんばれーーー!!」と声をあげる。

会場で手を振るブラックサレナは衣装として、フードを被り、仮面をしている。

選手たちが互いに構えると、会場全体に緊張感が走り、一瞬静まった。

その直後、開始の合図と共に選手たちが一斉に人気No.1のブラックサレナを狙う。

前回久々の登場だというのに、優勝を勝ち取ったことへの嫉妬であったり、優勝候補者を潰して有名になろうとしたりする者が多いのだ。

四方八方を取り囲まれ、突撃して来た選手たちをブラックサレナはしゃがんで見事にかわした。

相棒の武器がギンリョウソウになってから攻撃力は上がったものの、武器が重く、攻撃スピードが遅くなってしまったのだ。

だからこうして出来る限りかわしたり、接近戦で応戦し、ここぞと言う時にギンリョウソウを使うという、見る人から見れば消極的な戦闘スタイルになっていた。

こうした戦闘スタイルの変化が以前からのブラックサレナファンからは偽物を疑われる要因となっていたのだ。

「ブラックサレナがみんなから狙われてる!!」

「でも、一気にかわしてたよ!!」

「すごーい!!」

みんな目を輝かせたり、心配で目をつぶったりと反応がせわしい。

見ていると、ブラックサレナが背後から近寄って来た選手に気づかず、接近を許す。

「危ない!!」と思わずガートルードが大声を出す。

ブラックサレナが振り返ると、片手剣を今にも振り下ろそうとしていた。

慌てて横に転がって回避する。

それを見たみんなは安堵のため息と共に背もたれにもたれかかった。

追い詰められ、ピンチとなったブラックサレナ。

じりじりとにじり寄る選手たち。

ついにギンリョウソウを構えてブラックサレナはその群れに突っ込んだ。

一振りで2人をぎ飛ばす。

だが、まだ他に3人もいる。

その緊迫の状況にまたロザの一族たちが前のめりに見ていた。

死角になっていた選手がアックスを振りかざす。

それをギンリョウソウの柄で受け止めた。

好機と感じた他の2人も襲いかかってくる。

ブラックサレナはすぐにアックスの選手の腹を蹴り飛ばした。

ギンリョウソウを地面に突き刺し、それを軸に勢いよく回し蹴りをして残りの2人を蹴飛ばした。

コロシアムの会場にただ1人、立っていたのはブラックサレナだった。

そんな彼に拍手喝采が巻き起こる。

「勝った!!すごーい!!」

「優勝だー!!」

ロザの一族も拍手を送り、会場でこぶしを突き上げるブラックサレナを祝福した。


選手用出入口付近に行き、みんなでチョコが出てくるのを待っていた。

当然、その近くには例の記者がいたのだが、身を隠してカメラを構えていた。

友達の前で油断し、仮面もフードも被らず素顔のまま、そしてあの特徴的な大きなおのを持った状態での写真を撮れば、噂の真実にたどり着くはず。

「復活したブラックサレナはあのチョコレート・リリーなのか・・・俺が突き止めてやる!!」

緊張しながらその瞬間を待った。

「あ!来たよ!!」

メアの声でみんなも反応してその方向を見る。

記者もピントを調整して、シャッターボタンに指をかけた。

緊張から額に汗がにじみ出す。

出入口から出て来た時、フードを被っていて全く顔が見えない。

「くそっ!こんなんじゃスクープになるかよ!!フードを取れ!!」

独り言が次第にいら立ちを帯びる。

辛抱強くファインダーをのぞいていると、ついにブラックサレナがフードに手をかけた。

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