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月桂樹の葉を編む  作者: 叶笑美
群像劇
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65/110

本物のヘルハウンド

モチヘルハウンドを失った少年たちは街を歩いていた。

「でもさ、どうする?変な記事出回ったら大変だよね?」

メアに聞かれて先頭を歩いていたロマが立ち止まり、振り返った。

「うーん・・・ちょっと考える!!僕大使館に帰って、何か使えそうなネスリングかノーティーエッグズ無いか探してくるから、チョコはその間にみんなを連れてヘルハウンド見せてあげて!!」

「わかった!」と答えるチョコの後ろでロザの少年たちが喜んではしゃいでいた。


ラテルネ墓地に行くと、門の近くになっているオイルランプ程の大きさのある鬼灯ほおずきを一つ採り、息を1人ずつ吹きかけていく。

すると鬼灯が黒く光り、みんなが不思議そうに見ていた。

そして足を踏み入れると、白い霧が辺りを包み込み、ロザの少年たちが身を寄せ合って怯えながら歩いて行く。

しばらく歩くと、突然霧が晴れてピアノのある広場までたどり着いた。

「チョコ!今日は服装が違うな!大使みたいだ!!」

「こんにちは、ヘルハウンド!!これ、大使館の制服だよ!それとさ、今日は友達連れて来たよ!!」

ヘルハウンドと呼ばれる相手は、どう見てもビストートくらいの成人男性だ。

少年たちが互いに目を合わせる。

「どういうこと?」

「あの人がヘルハウンドって呼ばれてる」

「ワンちゃんは?」

みんなで傾げていると、ヘルハウンドが挨拶をした。

「初めまして!ラテルネ墓地の番犬、ヘルハウンドだ!」

戸惑いつつ、リーダーのメアが聞く。

「あの・・・僕たちはロザの一族という牢獄ろうごくの魔女、荊姫いばらひめさまの作ったキメラなんです。今は大使館のロマやチョコの友達です」

それを聞いて少し驚いていたが、害は無さそうだったのでそのまま聞いていた。

「僕はリーダーのメアです!」

「ロマのネスリングの弟子をしてるイヴです!」

「ピンピです!」

「ガートルードです!」

「スプライです!」

メアに続いてみんなが挨拶をする。

「僕たち、ヘルハウンドっていうワンちゃんがいるって聞いてきました!ワンちゃんに会いたいです!」

そのメアの頼みにまた驚いて目を丸くする。

その後、クスクスと笑って頷いた。

「クックックッ!!ワンちゃんか!・・・いいよ!会わせてあげよう!!」

それから、ヘルハウンドが黒煙に包まれて犬の姿に変わった。

「わぁ・・・」

5人が目を丸くする。

四つん這いの立ち姿が10代前半〜半ばくらいの自分たちと同じくらいの高さがあり、思ったより大きくその勇ましさに圧倒された。

「これがヘルハウンドの本当の姿だよ!!」

チョコの紹介に驚いたものの、飛び跳ねて周りに集まる。

そして体や頭を撫でまくると、ヘルハウンドも嬉しそうに撫でられていた。

「かわいいー!」や「すごーい!」など言いながら撫でまくる。

最後にはお腹まで見せていた。

「わー!!」と5人の少年たちが撫でまくった。

「ヘルハウンド、懐きすぎ」

いつの間に来たのか墓守看守のフィサリスがいた。

気づいたヘルハウンドはすぐに起き上がる。

恥ずかしそうに頭を下にして耳も垂れていた。

「こんにちは!私はヘルハウンドと一緒にここの墓守をしている6代目看守フィサリス・アルケケンジ・バラエティー!長いからフィサリスでいいわ!」

「はじめまして!僕たちはロザの一族と言って・・・」

「聞いたわ!荊姫のキメラで、チョコやロマの友達なのよね?」

先に言われて、不思議そうにする。

「どうしてわかったの?」

「ここの敷地内の会話は私たちは聞けるのよ!」

「すごーい!」とまた感動する。

「で?今日は何か用事があって来たの?それともヘルハウンドにピアノ弾きに来てくれたの?」

チョコがフィサリスに質問されて、気まずそうに答えた。

「あー、それが・・・みんながヘルハウンドに会いたいって・・・」

「それはどうして?」とヘルハウンドも聞き返す。

「あのー・・・」と答えに詰まっているところで、メアが答えた。

「ロマがネスリングでヘルハウンドの人形を作ったんだよ!」

「それを見て僕たちが会いたくなったんだ!」

「ワンちゃんってあんまり見ないもんね!」

「すっごくモフモフだった!!」

「初めて撫でたけど、馬とはまた違ってたね!」

「でも馬みたいに乗れそうなくらい大きいね!」

それぞれが嬉しそうに言うが、ヘルハウンドは発言に引っかかる。

「ん?私の人形だって?ロマが?」

隣ではフィサリスが必死に笑いを堪えていた。

気まずそうなチョコを他所にイヴがでしゃばる。

「そうだよ!すっごくかわいいヘルハウンド人形だったんだ!!モチパペットの人形で作ったモチヘルハウンドって言うんだよ!!」

それに付け加えるようにスプライが口を挟む。

「でも最後はウェイターが水かけてドロドロに溶けちゃったんだよね・・・」

「あれ残念だったよね・・・」

「すごく悲しかった・・・」

ガートルードとピンピも悲しむが、驚きの事実にヘルハウンドがチョコを睨みつけた。

「ドロドロ・・・?」

そして限界が来たフィサリスはお腹を抱えて爆笑していた。

「フィサリス!!」

「ごめんごめん!!・・・あっははははは!!めっちゃ見たかった!!モチヘルハウンドーーー!!!」

ついに威嚇いかくを始めていたが、構わずお腹を抱えて笑いが止まらなかった。

「ね、ねぇ!そろそろ大使館戻ろうよ!ロマも何かひらめいてると思うし!!」

こちらにヘルハウンドの矛先ほこさきが向く前に、チョコがみんなを促す。

「それもそうだね!」

「またね!ヘルハウンド!フィサリス!!」

手短に挨拶をして離れていった。


その後、街に戻るとロマが仁王立ちで自信満々に待ち構えていた。

「遅いぞ!みんな!!」

「その様子!何か良い策は見つかったんだね!!」

チョコが嬉しそうにしていると、勿体ぶって笑う。

「ふっふっふっふっ!」

それからチョコを見た。

「チョコ!コロシアムに出て優勝するんだ!!」

「え!?」と思わず声を揃える。

この世論の反対を行く感じ・・・逆張りというか厨二病の始まりというかなんというか・・・。

大丈夫なのだろうかという一抹の不安を残したまま、チョコはいつもの格好にフードを被り、伝説の斧ギンリョウソウをたずさえコロシアムに向かうのであった。

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