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月桂樹の葉を編む  作者: 叶笑美
越境
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寝言は寝る前に言っとく

幸福の王子の背に乗ってあっという間にメリリーシャまで着いたパーティ。

エディブルの花園の大使館を訪れて、チョコとの再会も果たしたのはいいが、お茶を出してくれたリントンに幸福の王子が自己紹介をして魔女を連れて来たことがバレた。

「みんな!どういうこと!?この人、魔女なの!?」

「え?・・・あ!言うの忘れてた!!」

気まずい空気の中、幸福の王子だけは相変わらずニコニコとしていた。

「ねぇ、どういうこと?大丈夫なの?」

問い詰められるアスタが困り果てていると、幸福の王子がチョコに近づいた。

「はじめまして。今一緒に旅をしている幸福の王子だ。よろしく」

穏やかな口調で差し出された手を握り返す。

「アスタたちの仲間のチョコレート・リリーです。よろしくお願いします」

またにこやかな顔を向けて頷く。

「あの、みんなと一緒に旅をするようになった経緯を教えてもらえませんか?」

勇気を出して真剣な表情で聞くチョコに一つ頷いて快く答えた。

「そうだな。これから世話になるかもしれんからな、話そう」

そして座るように促され、リントンやパーティもソファーに腰掛けた。

「私は定住せずに各地を旅していてね、いつものように移動をしていたら、ウェストポートからメリリーシャに繋がる馬車道付近を白雪姫とハンターという魔女たちが何故か凍土にしていたのだよ。私は寒さに弱くてね。なかなか進めずにいたところを、そこの3人が交渉して凍土の解消をしてくれたんだ。とても助かったよ!そのお陰で徒歩道が暖かくなってね、移動している最中にたまたま出会った女王蜂たちと共に村付近でのんびりと過ごしている内に、彼女が近くの村を気に入ったんだ!その村にそれぞれが巣を作り、子どもも生まれた頃に餌取りが大変だろうからと私自身の腕を食べさせてあげていたんだ!」

その時初めてパーティは蜂の巣が複数あったことを知った。

「1つかと思ってた、蜂の巣・・・」

「そんな何個もあったのね・・・」

シャロンは黙って固唾を吞んだ。

「私は日々働き蜂たちに餌をあげることを日課としてはいたが、そろそろ旅にも飽きていたところで、魔女狩りをされた魔女たちのように安住の地を見つけるのもいいと考えていた頃に彼らが通ったんだ。魔女の魔力も感じられるし、この子たちならきっと私の落ち着ける場所も知っているだろうと思ってついて来たのさ」

チョコは1つ気になったことを聞く。

「その蜂たちってどうなったの?今もその村にいるの?」

「村を追い出された時に幸福の王子が女王蜂に交渉してくれたから大丈夫なはず」

「へぇ、魔女って蜂とか自然界の生物と話せるんだ」とリントンが感心する。

アスタはそう答えたが、実際には全然大丈夫じゃなかった。

後続の葵、ディンブラコンビが駆除したのだった。

しかも魔女は自然界の生物との意思疎通も図れていない。

そんなことは誰一人知る由もなく話は進む。

「じゃあさ、これってずっと旅について来たいってわけじゃなくて、お家探しをしたいってこと?つまりギルド依頼みたいな?」

チョコの要約にアスタが激しく反応する。

「そう!!それ!!そんな感じ!!」

「なるほどね・・・魔女本人からの直接依頼みたいなものか・・・」

リントンもあごに手を当てて言った。

「うん!そんな感じよ!大丈夫!仲間だし、私たちを一晩守ってくれたり、ここまで送り届けてくれたし!!危害は加えないわよ!」

「そうそう!白雪姫やハンターやリトルだって、みんなしゃべったら優しかったよ!!友達にもなれたもん!!」

シャロンが鼻息荒く答える。

その様子に幸福の王子が微笑みながら頷いていた。

「ああ、そうだよ。人間には恐れられているけれど、我々だってむやみやたらと襲いはしないさ!大抵の魔女は元は人間だしね!」

「へぇ、そうなんですか」

リントンも次第に慣れた様子になって来た。

シャロンが前のめりになって質問する。

「どんな人だったの?なんで魔女になったの?」

「ふふっ!それはまた今度ね」

そう答えるとお茶を一口啜すすった。

「時に魔女狩りと称して危害を加えようとする者たちには抵抗しても、こちらからはあまり接触しないよ」


その夜、大使館にみんなで泊まることとなった。

同室で眠るアスタとチョコがベッドの上で天井を眺めながら話す。

「あんなこと言ってたけどさ、俺の予想では腕食べさせることによって蜂が肉の味を覚えて村人襲うようになったから、直接じゃなくても人間に危害を加えてるよな・・・」

「そうだね・・・それは僕も聞いてて思ったよ。だけどさ・・・・」

チョコが言いかけて一度静かに欠伸あくびをした。

「葵さんが・・・・なんとかするんじゃない?」

「葵?なんで?」

聞き返されて少し頭がえる。

「葵さん?え?なんで急に葵さんが出て来たの?」

「知らねーよ!チョコが言ったんだろ!!」

「えー?・・・僕が言ったの?そんなの幸福の王子がディンブラに頼んだんだよ・・・」

「はぁ!?何を?」

「蜂さんも・・・あとよろしくって・・・葵さんに・・・強いから・・・・王子とつばめが越冬し損ねたんだよ・・・」

完全にチョコが寝ぼけての発言だと察した。

「チョコ」

「はい・・・」

「眠いんだろ?」

「・・・・はい」

「おやすみ」

もう寝息が聞こえていたので、アスタも布団にもぐって寝た。

チョコは眠気に弱いと改めて認識した。

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