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月桂樹の葉を編む  作者: 叶笑美
勇往邁進
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31/110

魔力切れ

突っ走るシャロンについて行くと学生寮に着いた。

「学生寮?」

「こっち!!」

走っていくシャロンを3人が追いかける。

辿り着いたのはお風呂場だった。

「はい、これ!!」

渡された雑巾や洗剤でみんなでそうじをする。

「・・・え?何で?」

アスタがシャロンという先の読めない先導者に身を任せず、ついに聞いた。

「今日シャロンここの掃除当番だったの忘れてたの」

「ふ〜ん・・・でもなんでみんなでやってるわけ?」

キャメリアも次いで聞くが同じ調子で返ってくる。

「みんなでやった方が早いから」

「そうなんだけどさ・・・。じゃあここで聞くけどさ、追試ってどんな感じなの?前は何がいけなかったんだ?」

アスタが洗面所の鏡を拭きながらシャロン聞く。

「ねぇ、これ新聞紙無いの?」

「それならここに」

ついでにシャロンの学友に頼んで新聞紙をもらい鏡を拭く。

「なんで新聞使って拭くの?」

「俺の質問無視かよ?・・・新聞のインクが鏡やガラスをきれいに光らせる効果があるんだって前に雑誌の家事特集で見たんだよ」

それには女子3人が「へぇ〜」と声を揃えた。

「で?前回の試験に落ちた理由は?」

「そうそう、めっちゃ練習して自信満々で受けたんでしょ?」

「なんかわかんないけど落ちた」

「んなわけあるか!!」とついアスタは怒って返した。

そこに優等生の友達が割って入る。

「この前の試験はシャロンはたしかにがんばってたし、合格をもらいかけたんだけど、最後がいけなかったの・・・」

「どういうこと?」

キャメリアに聞き返される。

「シャロン、最後に魔力を使い切って倒れちゃったの」

「え!?何で!?」

これにはアスタも驚いて聞き返した。


シャロンが試験前日まで練習していた際には、難なく立派な氷の薔薇を咲かすことができていた。

これは言わずも知れた薔薇の魔女、白雪姫の核を取り入れて、西の大陸の秘境エディブルの花園にある大魔導師しか持っていないプリムトンの樹から作られた魔法の杖によって引き上がった魔力とその技術が成した技である。

しかし、まだまだひよっこのシャロンが使うには技量と魔力が足りず、氷の温度が低かったり、必要以上に魔力を消費したりしていた。

そこで、卒業試験を受けるために旅から戻ったシャロンは、勉強と実践を重ねて魔力消費の調整やその他基礎知識を友達の協力を得て身につけた。

学年トップ成績の友達からも「すごい!これなら合格できるよ、シャロン!!」とのお墨付きを得た。

そして迎えた運命の日。

自分の順番を待ち、そして呼ばれた時にシャロンは自信満々に返事をして立ち上がった。

「シャロン、落ち着いてやれば大丈夫だから!」と友達の励ましにも自信たっぷりに頷いて返す。

深呼吸をして、呪文を唱えた。

「ロジェーヴル!」

唱えた瞬間に、会場の真ん中に大きく立派な氷の薔薇を咲かせた。

「わぁ!」と周囲からの歓声が上がる。

まさか万年最下位のシャロンがこんなにも立派に魔法を使えるとは誰も思っていなかったのだ。

拍手が巻き起こり、みんな立ち上がる。

「すごい!シャロン、すごいよ!!」

友達がシャロンを見ると、その場で目を回して倒れていた。

「シャロン!?」

原因は魔力切れ。

シャロンはこの大輪の薔薇を咲かすために全魔力を使い切った。

担架で運ばれていき、試験官たちはため息を吐いて首を捻り、バツ印をつけた。


「シャロン試験の記憶ないもん」

「気絶してたからな」

アスタに冷静に返される。

「どうしていつも通りにしてるのに魔力がすっからかんになったの?」

「さあ?」

シャロンは首を傾げるばかりだ。

「たしか前に会った時には魔王戦からどうのこうのって言ってたよな?その前後で何か変化した理由とかないのか?」

「さあ?」とこれまた傾げるのみ。

アスタが友達に「酢と重曹ない?」と聞くと、すぐに持ってきてくれた。

「ありがとう!」と答えてその2つを洗面器に入れて混ぜ合わせる。

そうすると、泡立ってきた。

「わ!アスタ何それ!?」

みんなが興味津々に覗き込む。

「これも雑誌に載ってたんだよ。重曹と酢を混ぜた洗剤で水回りとかを拭くときれいになるって」

これにもみんな揃って「へぇ〜!」と答えた。

「いやいや、そんなことより!何か魔王戦の前後で違いとかは?そういうの考えていけば何かわかるかもしれないだろ?それで改善するの!!」

「なるほど〜・・・でも何かあった?」

シャロンも悩んでいると、キャメリアが何かに気づいた。

「・・・あ!!たしかウチの姉が魔王っていう強敵の前だからって、大盤振る舞いでパワーアップしてくれてたわよね?」

「あ、そういえば!!全体的にアップしてもらってたよな!?戦ってた俺は何一つとして能力上げてもらえなかったのに!!」

不平不満を漏らすアスタは無視してシャロンが続ける。

「そうだ!あの時のパワーアップがあったからあれだけ戦えたんだ!!だけど、試験の日に急にパワーアップした分がなくなっちゃったの!!」

どうやらシャロンは今の今まで完全にパワーアップ分は実力だと思っていたようだ。

おこがましい。

「え?・・・あ、そういえば私も数日前くらいから召喚した時の魔力の減り方がおかしいなって思ってたのよね」

キャメリアが自分で言って気づく。

「・・・は!!もしかして!」

「どうした?何かわかったのか?」

アスタが聞くとキャメリアは驚きを露わにした表情で答えた。

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