シャロンを誘いに
アスタとキャメリアは約束通り、シャロンを迎えに行った。
「へぇ、この辺なの?シャロンの学校?」
「そうそう、この前たまたまここに入っちゃってさ」
シャロンの学校は人里離れた場所にあった。
しばらく木々に囲まれた道を歩いていくと、急に開けた場所についた。
そこは以前アスタが間違えて入ってしまった魔法学校の練習場だった。
辺りを見渡していると、シャロンくらいの年齢の女子生徒に声をかけられた。
「あの、どちら様ですか?ここは魔法学校の敷地内ですよ?」
見ると、メガネに三つ編み、いかにも優等生といった出立ちだ。
「ああ、すいません。シャロンという友達がいるので来たんですけど、見当たらなくて・・・」
「あ!もしかしてアスタさん!?」
女子生徒が驚いて聞き返す。
「はい、そうです」
「わ!本当にいたんだ!!」
怪訝な顔をして傾げる。
「どういうこと?」
「あ、ごめんなさい・・・。なんかシャロンがこの前魔法の練習をした後に息巻いて言ってて、それがちょっとよくわからなかったからきっと近くで幻術魔法を練習していた子の魔法に運悪くかかっちゃったんだって思って聞いてたんです」
彼女がそう言うのも致仕方ない。
なぜなら、あのシャロンが鼻息荒くして語っていたのだ。
当然、興奮のあまり支離滅裂で意味不明だった。
「あのねあのね!さっきアスタがいたの!!」
「え?誰?」
少し身を引いて聞き返してあげる。
「アスタはね、アンティパスト島から来た勇者で、きしめんもパルフェもあーっと言う間にボチャンとしたらカチーンってしちゃって、ガツーン!!と倒しちゃうの!!」
「・・・え?どういうこと?」
聞き返そうがお構いなしに続ける。
「しかも魔王軍をガガガガガガーーーーってやったの!!」
本当に擬音が多いのなんの・・・。
「で、今はアンティパスト島でお父さんのお手伝いしてて展示会にここまで来たんだって!!」
哀れみの表情を浮かべてシャロンを見つめる友達。
「まぁ、そう・・・。ここ魔法学校だから展示会してないよ?」
「来週の卒業試験に受かったら迎えに来てくれて、みんなでまた一緒に旅に出るんだ!!」
「じゃあ試験がんばらないとだね!・・・ちょっと待ってて!」
そう言って友達は部屋を出た後、しばらくしてからコップにジュースを入れて戻ってきた。
「はい、これ飲んで!」
「わあ!ありがとう!!」と言って一気に飲み干す。
「プハー!!」と一息ついてから友達を見た。
「ところでこれ何?」
「そういうのは飲む前に聞くもんよ?幻術魔法の練習してた子のに運悪くかかっちゃったのかなって思って、幻術魔法の解除に特化した薬草をリンゴジュースで割ったものなの!」
前半部分は聞いておらず、「へぇー」くらいで聞き流してどこか他人事にやりすごすシャロン。
「りんごジュース、おいしかった!!」
これで会話が終わった。
「相変わらずね・・・」
「アッホだなぁ〜!!」
アスタは頭に手を当てて仲間のアホさに嘆いた。
「意味わかんねーし、言うなっていわれてる内容話してるし!」
「まあまあ、あの調子だから信憑性は無いわよ。ところで、シャロンはどこに?」
キャメリアに聞かれ、友達は困ったような顔をした。
「実は・・・」と言いかけた時に遠くからシャロンが大きな声で叫びながら近寄ってきた。
「あーー!!アスタ!キャメリア!!」
近くに来るなり飛び跳ねて喜ぶ。
「来てくれたんだね!」
「おう!約束したからな!」
「それで、卒業試験は終わったのよね?」
キャメリアに聞かれて自信満々に「終わったよ!」と頷く。
それには友達が慌てた様子でシャロンに言う。
「シャ、シャロン!終わったは終わったけど、再試でしょ?」
「え!?」
「どういうこと?」
アスタもキャメリアも目を丸くしてシャロンを見ると、何も悪びれる様子も無く堂々と胸を張っている。
「筆記はギリ及第点だったけど、実技で落ちた!!」
「おい!胸張ってる場合か!!」
「どうしてよ?アスタに聞いたけど、すごい練習してたんでしょ?」
アスタとキャメリアに聞かれ、それでも態度は変わらないどころか、腰に手を当ててさらに胸を張り出した。
「おい!」
「取る態度が違うわよ!!」
シャロンが急に思い出し、みんなを急かす。
「あ!そういえば!!みんな、こっち来て!!」
「え?何?何?」
「どうしたの?」
突っ走るシャロンについて行った。




