シャロンの課題
シャロンもキャメリアも数日前に突然魔力の量が減ったと言う。
そのためにシャロンは卒業試験で不合格になったが、原因は不明。
しかし、キャメリアは何かに気づいた。
「・・・は!!もしかして!」
「どうした?何かわかったのか?」
アスタが聞くとキャメリアは驚きを露わにした表情で答えた。
「あの強欲な姉のことよ!!きっと今回のパワーアップは魔王倒す為っていう建前があるから、一時的なものだったんだわ!!どうせ無料分だからとかなんとか言って手抜きしたんだわ!!」
キャメリアの脳内に突然姉の山茶花が現れる。
「だって仕方ないじゃない、私も生活があるのよ?またお金貯めてパワーアップすればいいじゃない!それはちゃんと固定化してあげるから!」
完成度の高い脳内山茶花は悪びれることもなく言い放つ。
「えぇー!!どうしよう!それじゃあ試験合格できないよ!!」
困ったように言うシャロンにアスタが聞く。
「他の技じゃだめなのか?別に氷の薔薇に拘らなくてもいいだろ?」
「ヤダヤダヤダ!白雪姫との魔法だもん!シャロン絶対これで合格したいの!!」
「できないのなら仕方ないでしょ!」とキャメリアも言うが聞きそうにない。
すると、友達も割って入った。
「でも、技術点は稼いだ方がいいかも・・・」
「どうしてだよ?」
「シャロンはさっき筆記がギリギリ及第点なんて言ってたでしょ?それって、実技含めての合計点でなら卒業できるってことなの!!」
衝撃的な事実にシャロンを怒る。
「シャロン!!全っ然ダメじゃないか!!」
「何やってんのよ!?テスト勉強ぐらいしなさいよ!!」
この2人の怒りには舌を出して「てへっ」と苦笑いで済ませる。
「ダメだ。アホのシャロンが及第点取っただけでも良しと考えよう!」
「その方がいいと思う」と友達が頷く。
「シャロン!!実技の試験を本気でやれ!!もし、落ちたら旅にはこの子連れてくからな!!」
アスタが友達を指差し脅す。
「そ、そんな!!」
「え!?私!?」
もちろんシャロンだけでなく友達も驚いていた。
「そうならないためにも何か作戦を練ろう!!俺は魔法なんて使えないから全然わからないんだけど、シャロンの今の課題は何なんだ?」
「わかんない」と平然と答えるので、友達が代弁する。
「シャロンは以前は魔力調整が苦手だったの!必要以上に魔力を消費するからあまり回数使えないことはあったんだけど、それはみなさんとの旅や、帰ってからの勉強でなんとか克服した感じなの!それで、今回試験官もそこは評価してたんだと思う!でも90%で使う予定を120%で使っちゃったから魔力が空っぽになったのよ!」
「制限した中で限界値を見誤ったんだよな、山茶花さんのパワーアップ切れで」
「そう!」とだけ返すシャロン。
「氷魔法っていうのは魔力消費が高いものなの?」
キャメリアの質問に少し考えてから返す。
「氷魔法って、一つずつの動作で説明すると、まず氷を作るための水分を集めて、それを成形して、一気に冷やすの!この3工程それぞれに魔法を使ってる感じ!」
「へぇー」と言ったのにはシャロンも加わっている。
「何でシャロンが知らないんだよ!」
「だって知らないんだもん」
「今までどうやって魔法使ってたのよ?」
「・・・なんとなく?」
恐ろしい解答に今更ながら恐れ慄く。
「俺たちもしかしたら肝心な時にシャロンが氷魔法使えなくなってたかもしれないってことか!?」
「ほんと、なんとなく使い続けられててよかったわ!!」
また舌を出して「てへっ」と笑う。
「笑うな!!」と2人口を揃えて怒った。
「じゃあさ、その工程を省くことができたらもうちょっと魔力消費が少なく氷の薔薇を作れるってことだよな?」
「うん!できると思う!!」
頷く友達が更にアスタに聞く。
「何かいい案でも?」
「水分を集めることなら私のラエビガータでできるわ!」
「そうだな!それでいこう!あとは成形だな・・・」
そこにキャメリアがまた提案する。
「ラエビガータで水を一気に薔薇の形にしちゃうのはどう?」
「それは難しいかも・・・。水魔法で形作ってるとこ見えちゃうし」
「うーん・・・」とまたみんなで悩んでいるところにシャロンが気づく。
「ねぇ、これっていいの?」
良くはない。
良くはないのだが今はそんなこと言ってる場合でもない。
「シャロンの試験なのにみんなで頑張ったらシャロンの試験じゃなくならない?」
『そこに気づいたか・・・』
『普段あんなにおバカなのに変なところは気づくのね』
シャロンにはアスタが答えた。
「いいか、シャロン?俺たちはパーティだ!いわばチームだろ?仲間の困り事はみんなで解決するのは当たり前だ!!」
「あ、そっか!!みんな、ありがとう!!」
あっさりと引いた。
深く考えない点は助かった。
またみんなで考えていると、アスタの耳にはシュワシュワと水の中から小さな気泡が弾ける音が入ってきた。
横を見ると重曹と酢を混ぜて作った洗剤が気泡を発していた音だ。
それは先程からずっとなっていたのだが、みんなが静かになったのでより聞こえてきた。
「・・・これだ!!」
アスタは叫びながら洗剤の入ったバケツにしがみついた。




