シンデレラの記憶③
それからは気まぐれで村同士の抗争をしている場面で手助けをしてあげ、崇められるようになった。
その土地を治めるようになり、満足そうに笑う。
「これって私の力で手に入れたのよね?父上のものでも家のものでもない!!私だけの土地よ!!権力よ!!」
勢い付いたシンデレラは近隣から攻め、遠方の土地を攻めていく。
どんどん広がる土地と財産に満たされていた。
全てを欲しいままにする。
そうしている内に魔法局というところから魔女の存在を認められたという文章が届いた。
そこには何でも焼き尽くす灰の魔女、ウィッチコードを“シンデレラ”と書いてあった。
「灰の魔女ぉ?そこは気に入らないけど、シンデレラはいいわね!気に入ったわ!!」
それからもう一つ家臣が持ってきた新聞を見る。
そこには大きな見出しで「魔王軍新幹部四天王を設立」とあった。
「魔王軍?ふんっ!他所の大陸から来た新参者じゃない!」
新聞を投げ捨て、立ち上がり命令した。
「準備なさい!遠方への侵略を本格化するわよ!!」
この時、シンデレラの治める土地はかなり大きくなっていた。
中心の城下町を基軸とした政権は外に向かうにつれ身分が低く、差別を受けている。
そんなある日、中央の兵隊を連れて遠征中に外側の住民が魔王軍にこっそりと相談を持ち掛けていた。
国としては大きく豊かになってはいたが、激しい差別が横行していて、貧困層は毎日上流階級に理不尽な仕打ちを受けている。
それを聞き受けた魔王は丁度報告に来た葵に声をかけた。
「葵、あなたの四天王としての初任務よ」
ここまで黙っていたディンブラが目を見開いて葵を見る。
「え?シンデレラ討伐って葵くんの四天王初任務なの?」
「あ・・・そ、そうなんだよ。たしかこれは部隊編成の報告をしたら声がかかって・・・」
葵が当時を思い出しながら話す。
何かと理由をつけて急に難題任務を押し付けられたのだった。
「灰の魔女ですか?それなら同じ炎系の魔法を使うきしめんの方がよろしいのでは?それに、数日後に偵察班の補助で出向く予定もありますので、予定的に厳しいかと・・・」
「何言ってるの?同じ炎を当てるより、違う系統を当てるものよ?それに、予定なら大丈夫よ!何のためにあなたがスピード特化の雷魔法を得たと思ってるの?」
『任務を詰めてこなすためではない』と思ったが口にはしない。
この四天王が設立された頃、魔王軍はまだまだ人材不足の最中であった。
スラム街を襲い、孤児を育て上げ隊員にする。
拾う子どもたちは最年少で言えば生まれたての赤ちゃんだっていた。
その間、隊員の養成や教育には統治し安定した他の大陸での魔王軍の人員を招き行っていた。
こんなにも長期間での編成は初の試みで、みんな手探りで行っていたが、四天王が育つくらいには見事仕上げることができた。
さらに言うと、きしめんという魔王軍最強(メリリーシャではパーティに散々な目に遭わされてたけど実は最強)の人材まで生み出し、四天王による組織編成は魔王軍最高傑作と言われるようになった。
これはかなりの功績である。
将来この魔王軍四天王きっての異物、育ちの良い葵とやらに崩壊させられたが功績は功績として認めよう。
だが当時は発展途上であることには変わりがない。
人員不足を他の隊で補い合っていたので、今回のように偵察班に葵の隊が向かわされることも頻繁にあった。
自分だけが素早く動けても隊まで同じ速さで動けるわけではないので、任務内容を読み込み効率の良い作戦を練る。
「俺だけ早く現地に行ったって後から来る補給路を断たれて終わるだろ!そういう負け方は世界的に見ても多いじゃないか!!勝ちに理由は無くても、負けに理由有りとも言うし!!」
ブツクサと文句を言いながら地図と見比べる。
「一応、次の任務地は近いのか・・・」
近いは近いが、どちらかと言えばシンデレラの国の中枢を通って行けば近かった。
「ここまでの移動、次の任務地までの移動、戦闘の時間、使える物資と人員、あと回復と休養の時間と・・・」
しばらく考えてから立ち上がった。
「よし、今すぐ出よう!!」
葵が運が良かったのは丁度遠征に出るタイミングであったという点だった。
シンデレラが治める土地の底辺層の住民から進軍の情報を聞いた。
可能ならばシンデレラごと叩き潰す予定だったが、無駄な戦闘や犠牲を払わずに済むのならそれに越したことはない。
葵はシンデレラ率いる軍隊が出て行ったことを確認し、その翌日に中枢を一気に制圧した。
頭が崩れると中間層は戸惑い脆弱になる。
その間に中枢にいた魔王軍と底辺層が一気に中間層を挟み撃ちにして討ち取った。
思っていたより早く片付いたものの、すぐに次の任務地へと足を向ける。
一部隊のみを残して処理をしてもらった。
シンデレラが知ったのは新聞記事になった数日後のことであった。
その時には魔王軍の人員が配備され、守備を固められていて、完全に魔王軍の統治下となった後だった。
「クッソがぁぁあ!!!」
新聞を握りしめて地面に投げつけた。
そこで場面が変わった。




