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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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罪人の行き先



ーーー

ーー


島流し状態になるエルフ達の居場所を整えるため、スピネルとナギを連れて一度国境へと転移してきた。


小さいとはいえ居住地を作るわけだから場所は考えてある。

ネヴァー王と話してわかったのは、広い国境の緩衝地帯も大半が本来は魔族領なんだとか。

とはいえ、今のところ広げて開拓するつもりもない。現状で土地の広さに困ってもいないし、開拓地を広げすぎても管理する魔族の人も数が多くないから…。


そんな緩衝地帯の北側にある海。そこに小さな島がいくつかあるのだけど、比較的大きくて森のある島を丸々一つ魔力ドームで覆い、完全に孤立した島へと変えてしまう。海へは多少出られるようにはしておくけど、基本出ないだろうとの事。

魔法も使えないと海魔獣への対処もできないのだから無理もない。

後々の為、魔道具で魔力ドームは管理するし、周囲からほんの少しずつ魔力補給も行う永久機関。


一切人の手が入っていないせいで密集しすぎている森を間伐程度に木々を切り倒し、建物の資材になるように加工しておく。

見ているナギも私の意図をわかっているからか、嬉しそうに見ててくれる。

ある程度光が入らないと森も育たなくなるからね。


後は畑として使えるように土魔法を使い広範囲を耕して、魔族領でも植えている食物の種も用意。

初めの収穫が出来るまでの食料はネヴァー側から持たされるらしいから、それで凌いでもらえばいい。

川もきれいなのが流れているから飲料水とかにも困ることはないでしょう…。

排水とかに関してはミナさんに魔道具を持たせるけど、使うかは任せるつもり。

キレイに保とうと思うのなら迷わず使うはずなんだから。


「こんなものかな」

「ママは森の木々を伐るのに、どのようにしてあれほどバランス良く整えておられるのですか?」

「感覚的なものでしかないのだけど、大きな木と木の間隔とか、程よく光が届くようにとか、気にしてるのはそれくらいだよ」

「精霊同士バランスを取れる最適な状態なんです!」

「だったら嬉しいけどね」

私がナギと話していたからか、森の中にいた精霊達が姿を見せてくれた。


「スピネル、ナギ。ここへエルフの人たちが住む事になるって伝えてもらえる?もし、住みにくくなるようなら避難してもいいからって」

「わかりました」

「うん、わかった…」

住処を奪う形になってしまわないのがベストだけど、あのエルフ達がどう行動するかはわからないし…。


精霊達が話しているのを見守りながら、他に必要なものはないかと思いを巡らす。

最低限の生活が可能なようには整えたし…

「ママ、お願いしてもよろしいでしょうか」

「うん?できる事ならいいよ」

「この島の代表となる精霊に名をつけてあげてください」

「わかった。えーっとどの子?」

ふわふわと飛んで目の前に来たのは、身長二十センチちょいくらいのきれいな羽を持つ、おそらく光の精霊。


光か…。

「じゃあ貴女の名前はソラティオ。温かい陽だまりを意味する言葉だよ」

魔力を吸われ、目の前には神々しいとさえ言える姿の美女が…。

「お母様、素敵な名前をありがとうございますわ」

「ううん。こちらの勝手な都合でエルフを移住させてしまうからごめんね」

「我々は何処にでも存在します。居心地が悪くなれば移動する、それだけですわ」

「その場合はみんなうちで受け入れるから、無理はしないようにね。エルフの人達に無理に手を貸す必要もないから。あなた達が本当に手を貸してもいい、そう思ったら手を貸してあげればいいよ」

「はい。エルフの噂はここにも伝わっておりますわ。よくよく彼らの行動を見せていただくことにしますわ」

下手に兵士の監視を置くより厳しい気がするね…。マイナスから始まるようなものだし。


「あの、お母様?」

「うん?」

「バツを与えるのは許可していただけますか? 心を入れ替える様子が見られなかったら…」

「例えば森をむやみに破壊する、みたいな事をしようとしたら止めるためだね?」

「はい!」

「もちろん構わないよ。ただ命までは取らないようにお願い」

「心得ました」

これはミナさんにしっかりと伝えておかなくてはいけない。

島を管理する精霊達からは、ここへ送られてくるエルフは本当に囚人扱いになる…と。精霊は看守とでも言えそう。


ここでやるべき事はしたし、管理者になる精霊もいるのならこれ以上は私が手を出さないほうがいいかもしれない。



スピネルとナギを連れて魔王城へと帰還。


ーーー

ーー


「スピネル、ナギ。ついてきてくれてありがとね。助かったよ」

「とんでもないです。既にママには多くの精霊を助けていただいています。なにより気にかけて頂けることがとても嬉しいのです」

「そっか」

「少し話しただけだから…」

「助かったよスピネル」

スピネルは待っていたユウキと部屋に戻っていった。



私はナギを中庭の庭園へと送り、そこで少し休憩。

「おかえりなさいませマスター」

「ただいま、ノア。客人の様子はどう?」

「お部屋にご案内して以降、使用人と籠もりっきりです。怯えきっていますね」

無理もないか…。こちらは時間をかけてコミュニケーションをとっていくしかない。


ティー、未亜はどう? (今、やっと一言二言話したくらい)

そこまでか…。リアも一緒なのに? (いきなり口は出せないみたいで)

うーん…。直ぐに私が顔出していいものか。 (多分一番手っ取り早いかと)

後で行くって約束もしたものね。



客間の並ぶエリアへと向かい、未亜の両親へとあてがった部屋の扉をノックする。

「は、はい…?どうぞ…」

困惑した感じのミナさんの声。名乗ってから室内へとお邪魔させてもらう。


「お姉ちゃん…!」

「お待たせ。すこしは話せた?」

うつむき、ふるふると首を振る未亜。


「未亜、この際だから言いたい事を全部伝えるといいよ。不満や我慢していたこと、辛かったこと何もかもね。遠慮する必要はないから」

「え…。でも…」

「家族なんだから。言いたい事はみんな言ってしまえばいいの。そのかわり、言った後はご両親の言いたいことも聞いてあげなさい」

「うん…わかった」

「傍にいるから大丈夫」

「うんっ!」


それから未亜は一人で寂しかった想いや、色々と秘密にされていて辛かった事、時々言葉に詰まりながらも想いをぶつけてた。

ご両親も口を挟んだりせず、時には頷いたり、つらそうに涙を見せながらも未亜の話を聞いていた。








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