32 神か妖精か
寝よう。
「おやすみ」
誰もいないキッチンに声をかけ、寝ることにした。
「・・ようございます」
「あ、ヨーコさん?どうぞ」
寝室の外まで来て貰ったようだ。
「お疲れですか?」
「おはようございます、そうなのかな・・・」
「朝食はこちらにお持ちしますか?」
「もう、みんな終わってるの?」
「3番組がまだです」
「そこに一緒で」
「かしこまりました」
一旦退室するもすぐに戻ってきた。
顔しか洗えなかったよ。
「寝巻きなので、室内着はどこにありますか?」
「こちらにございます」
すでに用意してあった。
さっさっと着替えて、髪を直してもらい、サブダイニングに向かった。
朝食は、トースト、目玉焼き、ボイルウインナー、温野菜サラダ、ミルクだった。
半分寝ぼけながら食べた。
何でこんなに眠いんだろう。
部屋に戻るとヨーコに何か用があるか聞かれたので、昨日考えておいた用意して欲しいものを伝えた。
「ハヤトさんは忙しい時間ですか?」
「どうでしょう?ついでに聞いて参ります」
「ありがとうございます」
すぐに戻ってきたヨーコは、キリや金づちが入った道具箱を持ってきた。
「ハヤトさんはすぐ来られるそうです」
それだけ言うと、またすぐに部屋を出ていった。
コンコンとノックの音がした。
ハヤトが来たようだ。
「どうぞー」
「失礼します」
「昨日の話でしょうか?」
「はい。お時間良いですか?」
「勿論です」
結論から言うと、ハヤトはこちらに来たきりだそうで、私が戻っている話がむしろ信じられないそうだ。
ハヤトは元の国で、予想通り偉い立場の人だったらしい。
戦争のようなもので命を狙われ、もうダメだと思いながら城の中を逃げていたら、気がついたら森だったそうだ。
唖然としていたら、国内では見たことの無い容貌の人(ルー)に発見され指輪を渡され、いよいよ自分は死んで神様の目前なのかと固まっていたら、最初に渡された指輪を取り上げられネクタイピンに変えられ、もしかして人なのか?と思ったら正気になったらしい。
「何か、大変でしたね」
「ほほほ」
「私も初めてルーさんを見たとき、妖精か何かかと思いました」
「リリー様も神秘的でこざいますよ」
「あ、それ、私は全く姿が違うのですが、ハヤトさんはどうですか?」
「元の自分と相違無いです」
「そっか、色々違うのですね」
途中ヨーコが、ハサミや糊などの文具類と、ビーズやスパンコールなどの手芸道具を置いていった。
「色々教えてくださりありがとうございました」
「お役に立てたなら何よりです」
ハヤトは一礼して退室していった。
それにしても眠い。
少し横になったらだめだろうか。




