24 初めてのお出かけ
「あ、こんなところに」
慌てた感じのエリーが探しに来た。
「エリーちゃんごめんなー」
「いえ、もう終わりましたか?」
クックが片手をあげエリーに謝ると、一礼してからエリーは私を見た。
「はい。もう起きる時間ですか?」
「まだお休みだと思いますが、持ち物などの件で探していました」
「それはごめんなさい、何でしょう?」
「歩きやすそうな服装と籠、と聞いています。その他には何か要りますか?」
「特にはありませんが、飲み物と、持ち出せるのならおやつとかあるとうれしいです」
エリーは何か考えているのか一人で頷いていた。
話を聞いていたクックが声をかけてきた。
「持ち出しおやつがいるのか?作るぞ?」
「え、今からですか?」
「すぐ出来るものもあるからな」
「凄い!」
「期待して良いぞ!出る前に取りにきな」
「はーい!」
って、今日休みとか言ってなかったっけ?
良いのかなぁ。
休みの日でも蓋を直して、試験官をして、メニューを試作して、特別おやつを作って、はた目にまったく休めていない気がする。
ヨーコと部屋へ戻った。
エリーはミューが起きたら呼びに来てくれるらしい。
動きやすそうな服を用意してもらい着替えた。
ヨーコはメイド服のまま行くらしい。
水筒を用意してもらうと、エリーが呼びに来た。
手には大きめのバスケットを持っていた。
おやつだろうか?
エリーは動きやすそうな服装だった。
玄関ホール?にミューとハヤトが待っていた。
ミューはオーバーオールのような動きやすそうな服装に、小さなバスケットを持っていた。
「リリー様、私もご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい。どうぞ」
ハヤトも同行するらしい。
「エリー、私が持ちましょう」
ハヤトはエリーの大きめなバスケットを受け取り、水筒を渡した。ミューの分らしい。
「して、どちらへ?」
「ドングリが落ちていればどこでも良いです」
「それでしたら、森の小屋のそばが道も安全で良いでしょう」
「じゃ、そこで」
5人で屋敷を出て森へ向かった。
良く考えると、初めての外出。
無意識にさんぽな歌を歌うと、全員にキョトンとされた。
あれ、私下手すぎたかしら?
「ごめんなさい、下手でした?」
全員が、理解できないといった顔をしていた。
「もしかして、歌いました?」
ハヤトがハッと気づいたように言った。
「はい。無意識で歌っていたようです」
「なるほど。無意識で歌う意味を込めない歌は翻訳されないようです。サラサラというか、ザラザラというか、急に言葉がわからなくなりました。」
「え、えー。歌はダメなの?」
「私も試したことがなく今まで知りませんでした」
ハヤトから衝撃的な話を聞かされた。
エリーとヨーコも頷く。
ミューは何か感じ取ったようで、少し楽しそうだった。
「リリーちゃん、ピアノひける?」
「旋律だけならひけます」
「かえったらひいて!さっきのおうた!」
「ミューちゃんには歌に聞こえたの!?」
「うん!でもなんていってるのかわかんない」
なんと、ミューは旋律だけなら聞き取れるらしい。
心を込めて意味を考えながら歌ったら他の人にも聞こえるのかしら?
いや、聞き取れないならむしろ練習し放題?
うーん。
自動翻訳機のお陰で言葉に不自由していないから忘れがちだけど、まったく通じないんだった。




