22 昇給試験
オムライスが運ばれてきた。
私とマーサのは普通のオムライスだが、クックら今日休みという料理人の分は、かかっているものが少し違う。
不思議に思っていると
「試験なんです。料理長に認めてもらえると昇給したり、偉くなったりするんです」
側にいた人が教えてくれた。
どうやら違うソースのオムライスは試験の何かだったらしい。
後でマーサに聞いたところによると、今回は採用されるとボーナスがでるタイプらしい。
ブロッコリーとトマトのサラダと、ミルクが運ばれてきた。
「さあ、いただきましょう」
「はい。いただきます」
「いただきます」
チラッとクックがこちらを見たけど、特に何も言わずオムライスのソースを確かめだした。
試験されているのは自分じゃないけどなんか緊張する。
オムライスを一口食べてみた。
薄焼き卵にくるまれたチキンライスの入ったオムライス、なんだか懐かしい。
「おいしい」
「おいしいか?そうか、よかったな」
クックが嬉しそうに話しかけてきた。
クックは少し難しい顔をして食べていたが、こちらを向くときだけ笑顔になった。
「これは知っていたか?」
「はい。オムライスだと思います。こんなに上手ではありませんが、家でよく作りました。家で作るときは、薄焼き卵巻きではなく、崩しオムレツもどきのとろとろ卵のオムライスが多かったです」
「何?それ教えてくれ」
「あ、はい。ではあとで」
クックはニコッと笑い、オムライスの審査に戻った。
作った料理人を呼び出し、次回これを作るようにと告げていた。
合格だったらしい。
食べ終えるとマーサが挨拶して先にダイニングを出ていった。
ヨーコが側まで来て何かしきりに謝っている。
「ごめんなさい。ごめんなさい。読めないと失念していました」
「え、大丈夫です。問題ないです」
料理長に伝わらないように私に伝えるにはどうしたら良いかと考え、メモにしたらしい。
そもそもなんで料理長には内緒だったのか、そこがまったくわからない。
むしろそこを教えてほしいものだ。
食べ終えた食器を片付け、ヨーコと部屋へ戻った。
部屋には竹串が置いてあった。
流石マーサだ。




