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美少女の見る夢は ~夢の中で幼女と遊ぶだけの簡単なお仕事~  作者: 葉山麻代


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16 私の世界

最初の部分に、ネタバレありの登場人物紹を載せました。

20時位なのでまだ寝ないけど、家事もしていないし、特にすることもなく、テレビがないって凄いことなんだなと変な関心をしていると、声に出ていたのかマーサに否定された。


「テレビ、ございます」

「え、そうなの?」

「ただ、リリー様は無理かもしれないと」

「無理?・・・どう無理なの?」

「言葉がわからないだろうと」

「ルーさんが言ったの?」

「はい。石のペンダントは相手の言った言葉を翻訳しているわけではなく、言いたい意味を聞く人の言語で伝えているとかなんとか。」

「へぇ、そういう方式なんだ」

「らしいです」

「じゃあ、テレビもラジオも聞き取れない言語で聞こえるのかしらね」

「おそらく」


凄いことを聞いた。

本格的に言葉や文字を覚えるべきなんだろうか。

でも、基本、聞き取れないのよね。

人には発音できない系の音だとしか思えない。


ミューの名前はなんとかなるかもしれないけど、ルーの名前はまったくと言って良いほど聞き取れなかった。


「リリー様、湯浴みはどうされますか?大浴場もございますが」

「大浴場があるの?そこって全裸?」

「全裸ですが、全裸以外があるのですか?」

「あー人種や、場所によって着衣の所もあるみたいです」

「その場合、どうやって洗うのでしょうか?」

「うーん、その辺は勉強不足でわからないです」

「不思議ですね」

「本当ですね。とりあえず今日はこちらで済ませます」

「では、何かございましたらお声がけください。失礼させていただきます」

「はい。今日もありがとうございました」


ニコッと笑って退室していった。


さっとシャワーを浴び、ベッドに潜り込んだ。


すぐに眠ってしまったらしくほとんど記憶がない。



目が覚めたら当然のように自宅だった。


「おはよう」

「おはよう」



ご飯、納豆、煮物の残りで朝食を食べながら、少し寝ぼけた息子に、予定を聞くと、


「それ、寝る前にも聞いたよね?」

「うーん、そうかも。でも遥か昔の事のように記憶が・・・」

「大丈夫?」

「うーん、あのさ、あのね、前に、うーんと昨日かな?昨日言った夢の話、あれね、なんか夢じゃないみたい」

「はぁ?」

「寝て起きると向こうの世界で、向こうで寝て起きるとまたこっちの世界みたい」

「えっと、まじで大丈夫?過労か?心労か?重い病気、じゃないよね?」

「病気じゃないと思うけど、証明できない」

「うーん、心配なら医者いく?付いていこうか?」

「医者はいいや、心配かけてごめんね」

「いや、良いんだけど、うん。そうだ、日記書きなよ。その夢の世界の話」

「え、うん。わかった」

「ごめん、そろそろでるからまた夜にでも」

「うん、いってらっしゃい」

「行ってきます」


荒唐無稽すぎたのか、息子に信じてもらえなかった。

でも、日記か、記憶のためにも書こうかな。


さて、私も出勤しないと。




仕事はいつも通りで特にかわりもなく、つつがなく終えた。


15時ごろ退社し、買い物に寄って、ちらし寿司の材料を買った。

なんだか一人で美味しいものを食べた気がして、息子にも食べさせたかった。


茶碗蒸しは・・・いいかな。自分のために作るのは面倒くさい。

息子はそんなに喜ばないしね。


家につくと17時を過ぎていた。

買い物で少しゆっくりしすぎたようだ。


炊飯器に米をセットし、ちらし寿司の具を切り揃え、吸い物を作った。


19時前には帰ってくるだろう息子に合わせ用意する。


18:30にご飯が炊き上がる。

軽く混ぜ、保温ボタンを切っておく。


寿司酢を作り、少し蒸らした硬め炊きご飯に切るように混ぜる。


皿に盛り、白ごまをかける。

細切りの大葉をちらす。

鮪、玉子焼、鯛、鮭、胡瓜、を、バランス良くちらす。


あとは糸海苔を飾ればできあがる。


吸い物を温めていると息子が帰ってきた。


「ただいまー」

「おかえりー」


さっと糸海苔を飾った。


「お!ちらし寿司!豪華だねー!」

「うふふ、ちょっと作りたくなってね」

「これお土産ー。美味しそうなマンゴーが売ってたから買ってき・・・どうかした?」

「あ、後で話す。スーツ着替えてきなよ」

「うん・・・大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫」


思わぬことに唖然としてしまった。

まさか、ちらし寿司にマンゴー再びとは。


「ふふふ」


茶碗蒸しを作るべきだったかもしれない。

まあ、もう手遅れなので諦めてマンゴーを切った。

三枚下ろし状態で切り分け、斜め格子状に切り込みを入れて皿にのせスプーンを添える。


「何、何か、笑っていたみたいだけど、どうしたの?」


息子が着替えてきた。

寝巻きをかねたスエット上下だ。


「とりあえず食べながら話すよ」

「あ、うん」

「いただきます」

「いただきます」


美味しいと言いながらも少し不信顔の息子が気になっているだろう事を説明した。


「夢の話ね。その中でもちらし寿司を食べたんだけど、その時もデザートがマンゴーだったの。和食の水菓子に南国フルーツ!って一人笑ったんだけど、お約束的にマンゴーだからビックリしたのよ。それで笑ってたの」

「そ、そうなんだ。ちょっと安心した」


私は笑っていたけど、息子は少し考え込んでいた。



マンゴーも食べ終わり、食器を重ねていると、息子が洗い物をしてくれるというのでそのまま任せることにした。


お風呂から出て、少し考え事をしながらテレビの前で探し物をしていたとき、「私でも見ることができるテレビ」ふと思ったことが口に出てしまい、また息子に怪訝な顔をされた。


「なにそれ?」

「ん?なに?」

「テレビがなんとかって」

「夢の話の中でね、言葉が違うけど翻訳システムの小物があって でもテレビやラジオには効かなくて私には見る事ができないの」

「うん?それで?」

「それだけ」


まったく理解も納得もできないと言う顔をして息子は黙った。


あまり向こうの話ばかりをすると心配かけてしまうし、聞いても楽しくないと思うしね。

気を使ったつもりだったのだけど、なんだか逆効果だったような。


「じゃあ、そろそろ寝るから、おやすみなさい」

「あ、うん、おやすみなさい」

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