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7/23

物語が崩れ始める

更新しました。

楽しんでいただけると幸いです。



お茶会で1つのパターンが分かった。

お茶会中にクレアと悪霊が話している時にクレアがこう言ったのだ。



「そういえばローレッタは詩はお好き?なにか語ってみてくださいな。私聞きたいわ」

「え、えっと...」



悪霊はしどろもどろになったあと急に静かになり、ケーキ用のフォークを落として下を向いた。そして「うあ」と間の抜けた声がして顔を上げるとそこにいたのはローレッタだった。


彼女はまだ頭がぼんやりしているのか周りを見、そして自分の服を見、「なによこのドレス」と言った。3人は驚いた。まさかこんなに早く戻ってくるとは。



「ーーつまり何?詩の暗唱をさせようとしたら逃げたの?ということはあいつ私の存在に気づいているのかもね。話ができないだけで存在はしっていると」

「悪霊はもしかするとこの国のかつて人間だった者ではないかもな」

「それはそうでしょう」



ローレッタは自分の服を見てアレクシスに言った。



「私の髪色と眼の色と顔つきが分かってればこんな服絶対に選ばないわ。これは私たちみたいな肌の白い種族の顔の見分けがつかない奴がすることよ。この世界に白い種族以外の種族は海の果てを越えないといない。1つ分かったわね」

「いいえローレッタ、もう1つ分かったわ。悪霊は令嬢が受けるべき教育を受けていない。挨拶の仕方も知らない。食事のマナーも。どれほど親に虐待されてても舞踏会に出る以上、かなりのレベルで私たちは教育されたはずよ。でないと男を誑かせれないからね」

「お、おいクレア」


クレアの口から発せられた下品な言葉にコンラッドは驚いて声を出した。ローレッタは「ああ、なるほどね」とニヤリと笑った。



「あいつの世界に貴族制はないのね?では簡単だわ、あいつ頭も悪そうだし、最初に取り憑いた1週間の間にやっていた仕事は書類仕事でしょう?書類仕事はできるようだし、しばらく泳がせて、舞踏会かなんかで恥をかかせりゃどんどんボロを出してくるわ。日記を読んでわかった。こいつはプライドだけが高い卑怯者よ。そこを叩きましょう。あと」



ローレッタは桃のタルトを見ながら言った。



「私桃にアレルギーがあるの。喉が痒くなるのよね。だからこういうのを食べたら悪霊だと判断して」



ローレッタはそう言って茶を飲んだ。




ローレッタが次に起きたとき、時間は2日経過していた。日記を読むとこう書いてあった。



『明日、王宮のパーティーがある。セシル殿下はかっこいい女性って話だから早くお会いしたい』

『王宮のパーティーは最悪だった。セシル殿下も最低。私の格好を見て「豚に真珠」って言ってきた。ピンクの可愛いドレスを選んだのに。他の皆に笑われた。それに彼女もクレアのことばっかり。私によく分からない文学の話なんかしてきた。本なんか読むわけないじゃない。スマホがあるのに。どうやってアルドリッジ公爵の息子のバージルとクレアの仲を裂いてやろう』



ローレッタはちゃんと自分に合うようにレースの刺繍された濃い紫と黒と白に黒のレースが刺繍されたドレスを着て日記を持って3人に会いに行った。


途中でファウラー侯爵に会ったが、彼はローレッタに「待ちなさい」と彼女を止めた。



「君は、」

「今はローレッタよお義父様。私でいるときはこの話し方にします。でないと区別がつかない」

「よろしい、教会には連絡している」



そう言うとローレッタは驚いたようにファウラー卿を見た。



「教会?」

「ああ、悪霊を祓うためにな。あいつは昨日の王宮のパーティーで好き勝手やりおって大変だった。早く追い出すぞ」

「え、ええ、あの、お義父様」

「なんだ?」

「私を精神病院に送ればいいじゃない。なぜ教会なんて手間なことを?」

「ーーお前は今のところコンラッドの妻で私の義理の娘だ。これくらいはする」



少し考えてローレッタは言った。



「その、ありがとうございます...こういうの初めてだからなんて言っていいのか分からないけど、助けてくれてありがとう、本当に。1人じゃなにも対処できないから嬉しい」

「いやかまわんが...それより今はどちらだ?」

「ローレッタよ。お義父様は私が礼も言えないような馬鹿な女だと思っているの?」



感謝して損したわ、と歩いて行くローレッタの後姿を見て、ファウラー卿は少し考えた。媚びている時よりも可愛らしい姿ではないか、と。


普段おこぼれをもらうために近づいてくる貴族ばかりに慣れている分こういう率直な娘はファウラー卿にとって新鮮だった。クレアともまた違う。



ローレッタは少しずつ物語が壊れていることに気づいていなかった。発端は由香子だがもう1つある。

それはローレッタが茶会に無理やり参加したこと。



この小さな出来事でこの物語はだんだんと形を崩していっていた。




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