まったく迷惑な悪霊ですこと
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楽しんでいただけると幸いです。
ローレッタが目覚めたとき、自室の寝室だった。彼女はスリッパを履き、寝室の外に出てみると部屋が荒れていたので驚いた。
クローゼットも開かれていて、買った覚えのない紺色のドレスと茶色のドレスが引き裂かれていた。割と気に入っていたガラスの台がついたテーブルもガラスが割られて彼女は溜息を吐いた。悪霊め。
その時にメイドの1人が食事の台をカラカラと押して部屋に入ってきて、部屋の様子に驚いていた。ローレッタは彼女に言った。
「早急にお義兄様たちを呼んで。悪霊といえば彼らは来るわ。私はこいつを片付けないと」
まったくなんで私が、とガラス片を布を巻いた手で集めるローレッタにメイドは首を傾げたが、言われたとうりにアレクシスたちが朝食をとっている広間へ行った。
彼らはメイドの話を聞き、「早急に向かう」と食事を切り上げた。メイドはますます首を傾げた。クレアはともかくコンラッドやアレクシスがローレッタのために動くはずがない。
どうしたことだと思ったが、彼らはもう部屋から出て行っていた。
「ローレッタ、入るぞ」
3人が部屋に入ると彼らは驚いた。めちゃくちゃになっている部屋をなんとか物を避けて3人が座れるようにしたローレッタが茶を飲みながら日記を読んで迎えたからだ。彼女は言った。
「皆、入って」
「ああ。ーーこれは?」
「悪霊がヒステリーを起こしたのよ。日記を読んで」
そう言われてアレクシス達が日記を読み始めるとそこにはこう書いてあった。
『無実の罪で監禁された。絶対許さない。私だってがんばっているのに。皆クレアクレアって気に入らない。ダサいドレス買ってやったのに。なによ。だれも私の頑張りを認めてくれない。こんなところクソだわ。絶対許さない。』
「本性を現してきたな」
「まずは第2関門突破おめでとう。あの地味な紺のドレスと茶色のドレスは引き裂かれていたわよ。それにしてもこれではお義父様のテストで失態をしでかしたようね」
「父上はもう知っている。後日もう一度お前が侯爵夫人にふさわしいかのテストを改めて行うようだから安心しろ」
「あらそう、ならよかったわ。ありがとうお義兄様」
アレクシスはローレッタに礼を言われて少し驚いたが何事もなかったように日記帳を閉じた。この女、私が一芝居打つように仕向けたと思っているのか。だとすれば頭の回転は速い方だ。アレクシスのローレッタへの評価が少し変わった瞬間だった。
コンラッドとクレアはローレッタに言った。
「新しいものを買い直そうか?元々2着買う予定だった」
「それがいいわ」
「それなんだけどね」
ローレッタが困ったように言った。
「ドレスを買い直したら悪霊に私の存在が知られてしまう気がするのよ。それにもっと重大な問題がある。悪霊がのりうつっている期間が延びてる。前は1週間、今回は10日。このままだと私の意識は完全に乗っ取られてしまうかも」
「まあ」
クレアが口に手を当て「どうしましょう」というとローレッタも「どうしましょうね」と答えた。
「困ったものよ。こんな自分の思い通りにならないくらいでヒステリー起こすような馬鹿に取り憑かれるなんて。もういいわ、この悪霊がなにかしたら私を殺してちょうだい」
「な」
さすがのアレクシスもコンラッドもローレッタの提案に驚き彼女の方を見た。
「悪霊追い出すより手っ取り早いでしょう?いいわ、侯爵夫人になるならこれくらいの覚悟はないとね。ファウラー家の為に命を落とすのも悪くはない。追い出せなかったらちゃっちゃとやっちゃって」
「それはだめよローレッタ!」
クレアはパジャマ姿のローレッタに抱き着いて言った。
「簡単にあきらめちゃだめよ!そんなこと言わないで。それに私、1つ考えがあるの」
「考え?」
ローレッタがクレアに尋ねると彼女は笑って頷いた。




