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ローレッタ、転生者の存在に気づく

更新しました。

楽しんでいただけると幸いです。

ローレッタはここ最近記憶が抜け落ちていることに気づいた。

嫁いでからもらったことなどないアクセサリーが化粧台の上にあり、買った記憶の無い口紅に香水、なぜか直されている衣服。不思議と自分に親切な執事やら使用人。彼女は首を傾げた。


それが自分の中に入り込んだ悪霊(由香子)のせいであると知ったのは日記を読んだ時だった。知らない人間の文字でコンラッドについてやアレクシス、クレアについて書いてある。


コンラッドはこちらを無視しているが絶対に振り向かせる。なによりかっこよい、アレクシスは顔立ちはかっこよいが意地悪、クレアは可愛らしく愛おしいと書かれていた。


そしてその日の行動も書かれていたためにローレッタはなるほどと理解した。つまり私の中にいる悪霊が勝手に行動しているらしい。物語を変えるとかなんとか。


ローレッタはアクセサリーと日記を持って立ち上がった。



庭で茶会をしているアレクシスやコンラッド、クレアのところへ行き、ローレッタは「ちょっと」と話しかけた。クレアは良くしてもらっているのか笑顔で「ローレッタ」と呼び、ほかの2人は顔をしかめた。しかし今のローレッタにとってそれはどうでもいい。ローレッタは尋ねた。



「このアクセサリー、私が買ったの?」

「え?それは私があなたに選んで、あなた喜んで身に着けたじゃないローレッタ」

「じゃあこの服の直しをしたのは誰?」

「自分で頼んでやっていただろうローレッタ」

「じゃあ最後に聞くわ、私があなたたちにまるで取り入ろうとするみたいに親切にしていたのはいつから?」

「1週間前だよローレッタ」



一体何の話をしているんだ、というアレクシスにローレッタは自分の日記を見せ、「読んで」と言った。コンラッドとクレアは「プライベードな物なのに」と困惑気味に言ったが、ローレッタはかまわず「読んで、全部よ」と言った。


そして了解も得ずに開いている席に座った。メイドが茶を用意すると彼女はそれに砂糖を3つ入れて飲んだ。コンラッドは首を傾げた。



「君、砂糖は1つじゃなかったか?この間の朝食の時...」

「日記を読めばわかるわ」



そう言って茶を飲む間、コンラッドとアレクシス、クレアはローレッタの日記を読み、読み終わった後アレクシスは尋ねた。



「君はなにかい?多重人格なのかい?」

「いいえ、それならうちの両親は嬉々として私を精神病院に厄介払いするもの。こうなったのはここ最近、1週間くらいよ。態度が変わり始めた時期と一緒」

「へえ、」

「じゃあローレッタ、あなたは1週間も悪霊に取り憑かれていたの?」



大変、と顔に手をやるクレアにローレッタはケーキを切りながら「そうなるわね」と言った。



「日記に書いてあることが事実だとすれば私はこの先離婚されて修道院にいくはずよ。そういう『物語』だそうよ。悪霊はそれを回避するために皆に媚びを売っているわけね。ーーで、どうする?」

「どうするとは?」



コンラッドが尋ねたことにローレッタは心底呆れたという風にコンラッドを見た。



「分からないの?この世界が物語なら物語がちゃんと完結しないと私たち消えちゃうってことよ?それか話が改変されるか。いいの?クレアが悪として描かれた物語になっても?この家が没落しても?そういうことになっちゃうかもよ?私に取り憑いた悪霊はこの物語の結末まで知っている。この悪霊の方が一枚上手よ。だから相談に来たの」

「私はまだ信じられていないがな」



アレクシスが肩をすくめるとローレッタは言った。



「もう第1関門は失敗に終わっているわ。このアクセサリーがその証拠。お金を出したのはあなたよねお義兄様?なんで私に買ったの?あなたは私のことを毛嫌いしていたはずよ。私から言ってないはずなのになぜ買ったの?」

「それは...君がクレアの選んだアクセサリーを喜んだから...ああ、そうか」

「私がクレアを嫌っていることをあなたは知っているはずよ。コンラッドもね。だから兄弟そろってクレアを守ってた。なのにどうして私が喜んだくらいで買ったの?ただの多重人格なら買うわけないわよね?きっとクレアが喜ぶようなことを言ったんでしょう?たとえば『クレアのセンスって素敵ね』とか『私こういうアクセサリー大好き。どうしてクレア分かったの?』とか」

「たしかにそれに近いことは言っていたな。思えばおかしかった。お前が大粒のダイヤやサファイアを選ばないわけがないものな。それにデザインもお前好みじゃない」

「そういうことよ。こういうのは私は普段使いでも持たないの。親につけさせられるアクセサリーは全部大粒だったからこういう小さいのは使わないのよ。サロンでも使わないし。」

「どういうこと?ローレッタ?」



クレアが首を傾げるとローレッタは溜息を吐いて頬杖をつきつつ言った。



「アンタも私もだいたい同じような目的で舞踏会に出てたってことよ。家での扱いもほぼ一緒。アンタを嫌う理由、これで少しは分かったでしょ?それに私が侯爵夫人に執着する理由も」

「ーーなるほど、それなら信ぴょう性も出てきたな」



アレクシスが茶を飲みながら言った。ローレッタは「最後まで隠すつもりでいたけどね」と溜息を吐いた。



「とにかく皆協力してよ。私は皆に媚び売って愛されようとかする女大っ嫌い。だったら離婚されて修道院の方が100倍もマシよ。自分として生きれるしね。私の中にいる悪霊はそういう考えがないゲスな奴よ。どうにか出せる方法を考えるのを手伝って」

「それはかまわんが...まずはどうする?」

「私は記憶を失う時、必ず合図があるの。全身に悪寒が走る。その時に2本指で2回テーブルを軽くたたくか、それが無理なら指を2本伸ばして見せるわ。その後はたぶん悪霊が出てくるからしばらくはローレッタとして悪霊と接して。私に記憶がないなら悪霊も今は記憶がないはず。私に記憶があるうちに追い出す方法を探しましょう」

「まあ、それならいいかな。どうかなコンラッド?クレア?」

「私は構わんよ」

「私も協力します。ローレッタに取り憑いた悪霊を出さないと」

「じゃあお願いするわ。ーーああそれと」



立ち上がったローレッタはクレアの方を見て言った。



「このアクセサリー、あんまり使わないと思うけどありがとう。初めてこういうのもらったからなんて言っていいのか分からない」

「いえ...」



クレアは顔を赤くしてローレッタの下手な感謝に笑顔を向けた。そしてローレッタは日記とアクセサリーを持って去って行った。コンラッドとアレクシスは顔を見合わせ、「今のは悪霊か?」と話していた。





読んでいただきありがとうございます。

続きは今日18時に更新します。

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