こういう話は結局はハッピーエンドで終わるものだ(改)
更新しました。最終話です。
楽しんでいただけると幸いです。
結局由香子が入った鏡は教会へ持って行かれ、壊すと出てくるかもしれないからと地下の奥深くの壁の中に埋められた。
由香子は暗闇の中でいつまでも終わらない時間に怯えながら泣き叫ぶことになった。
「結局物語は直せなかったわ...」
「まあ、いいんじゃないの?ローレッタ。お父様は「自らの身体に短剣を突き立てて悪霊を追い出すとは、コンラッドの嫁である以上は伯爵夫人となるが、気に入った」って侯爵夫人のテストに合格出したし。お母様も安堵のあまり泣いていたし」
「それは、まあね」
ベッドで静養しているローレッタの元にブドウを持ってやってきたクレアはお茶を飲みながら言った。彼女はバージルと異母兄妹ということで正式に別れた。
ローレッタはブドウを食べながらクレアに言った。
「誰か新しい男探しなさいよ。王族に近いやつ。なんなら私がサロンで築いた人脈で紹介しましょうか?」
「まあ人生は長いわ。しばらくはセシルと遊びながら考える」
「ああそう」
そう言ってローレッタはセシル殿下から贈られてきた花を見た。バラの花束。カードを見ると『考えたが君にはやはり謙譲のスミレよりバラが似合う ローレッタ・ファウラー侯爵夫人へ』と書かれていた。
ユリを選ばなかったのはたぶん匂いがキツいからだろう。
セシル殿下もああ見えて人のことをよく考える人間だ。だが問題もある。赤いバラが11本贈られてきた。
赤いバラの意味は告白で11本のバラの意味は最愛だ。ローレッタはクレアに尋ねた。
「ねえセシル殿下って女が好きなの?」
「知らなかったの?」
クレアは「セシルが女の子のこと好きなの知ってて下腹部に文字を書いたんだと思ってたわ」と言い、ローレッタは頭を抱えた。そういえばあの後から妙に優しかった。そうか、彼女は私に意外な告白をされたと思ったのか。
「私は女に興味ないんだけど...」
「そこは演技でどうにかしなさいよ。それで王宮で彼女の補佐官にでもなって寵愛されればいいじゃない。今のところ殿下はセシル殿下しかいないし、いずれ彼女はこの国の女王になるわ。女王に寵愛されれば名義上は伯爵夫人でもかなりの権力は持てるわよ。彼女に夫を持つように説得するか、他の継承権を持つ人を後継者にするか提案しなきゃならないけど」
「それもそうか」
「それにセシル殿下はもうあなたに夢中よ。お礼の手紙は書いてあげてね。あの人は自分を振り回す美女が好きよ。ーーつまりあなたはそのままでいいってことよ」
クレアの言葉にローレッタは振り回したつもりはないと首を傾げたが、クレアはコロコロと笑って「だったらあなたは根っからの魔性の女よ」とローレッタに言った。
「さあそろそろ昼寝して。起きたらたぶんコンラッドが来るわ。コンラッドが治ったら一緒に旅行へ行こうって言ってたわ。2人きりで。あとはセシル殿下も」
「彼も珍しいのよねえ、前はそこまでじゃなかったのに。お義母様はともかくお義兄様もお義父様もフォールズ氏もマーガレットもトニーもジェームズもメイドも使用人もシェフも庭師も皆妙に優しいーーセシル殿下も?!」
「ええ、あなたの為にお菓子用意して音楽家呼んで一緒に音楽聞いて観劇も行って所有してる絵も見たいし、変装して一緒に街に出てデートしたいんですって」
クレアは微笑み、ローレッタは困った、と思ったがこれはちょうどいい機会なのかもしれないと考えた。だいたい王族の寵愛は断れない。ローレッタはあきらめて割り切ることにした。
さて物語が変わってしまったため、この物語の肝も変わってしまった。この話の肝は以下である。
『どのような困難でもあきらめずに進めば形は変わるかもしれないが必ず幸せになれる』




