知らない女が登場し、物語は変わる。
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楽しんでいただけると幸いです。
アナベル・サーマン侯爵夫人は淫蕩な女で、社交界であらゆる男と恋仲になっていた。その金髪と白い肌、そして魅惑的な緑の眼に男たちは魅了された。それはアルドリッジ公爵も例外ではなかった。
彼には妻がいたのに密会をしては楽しんだ。そしてサーマン夫人は身ごもり、双子を生んだ。金髪に碧い眼のクレアと金髪に緑の眼のローレッタである。
しかし男というものは非情である。子どもが生まれた途端関係を解消した。サーマン夫人はこの2人の赤ん坊に困り、1人はメイドに頼んで乳児院に入れ、もう1人は売った。乞食が物乞いをするために使う用である。
そして乞食に施しをしていたオルブライト伯爵がこの赤ん坊を買い、家で育てることにした。理由は赤ん坊の器量が良かったからである。そこらへんはアボット伯爵家とそれほど変わらなかった。
そしてクレアとローレッタはお互いが姉妹だと知らないままファウラー家で出会い、一緒に過ごすことになる。
問題はアルドリッジ公爵家の長男・バージルがクレアと恋仲になったことだ。アルドリッジ公爵はクレアの身元を調べ青くなった。間違いなく自分の子どもで、バージルの妹である。
禁忌に触れてはいけないとアルドリッジ公爵はクレアを亡き者にするためにローレッタを使うことにした。仲が悪いという噂は聞いている。
いうことを聞くだろうとアルドリッジ公爵は部下を忍び込ませてローレッタを誘拐した。問題は中身が由香子だったことだ。
由香子はその話を聞くと喜んだが、1人でやれと言われた途端に難色を示した。そのようなことをする根性も頭も由香子にはなかったのである。
消すと決意したのも濡れ衣を着せて家から追い出すくらいだった。そんな由香子はアルドリッジ家の者に殴られ悲鳴をあげて泣き叫んだ。
その様子を棺から起きだしたローレッタが呆れたように見ていた。
なんだこの優柔不断な馬鹿な女は。嫌だと言って報酬を要求し、殴られれば泣き叫ぶ。卑屈な女なんてこんなものか、とローレッタは思い、とりあえず机に置いてあった紙に鉛筆で現状を書き、ファウラー家まで届けに行った。
あんな女が乗り移っている身体なんかどうだっていい。いっそさっさと殺してしまえと唾棄してローレッタは由香子を無視して小屋を出た。
紙を読んだファウラー家の人間たちはどこかにローレッタがいるのかとローレッタの名を呼んだ。するとテーブルの椅子が動いたのでアレクシスは紙の束とペンとインク壺を持ってローレッタに尋ねた。
「物語が変わったんだな?対処法は?我々はどうすればいい?」
するとペンが宙に浮き、紙に文字を書きだした。それはローレッタの字だった。
『エクソシストと聖水を用意してから例の小屋に行ってアイツを救ってやって。たぶん自ら自白するはずよ。吊り橋効果ってやつでね。お義兄様とクレアは隠し部屋に隠れて聞いておいて。アイツが自白したら締め上げて。コンラッドは一芝居お願い。物語はもう直せるか分からない』
「わかった、父上、エクソシストの派遣をお願いします。クレアに聖水も持たせて、おいコンラッド、部下を連れて助けに行くぞ。お前、今回限りは本気の演技をしろよ。本気で愛しているようにだ。でないとローレッタを永遠に失うぞ」
「わかりました兄さん」
アレクシスとコンラッドは準備をして部下と共に小屋に向かい、ファウラー卿は教会へ向かい聖水をもらい、エクソシストを連れて来て、クレアは着替えて聖水を握りしめて準備をした。
ローレッタを取り返さなければならない。




