こういう奴ってキレると何するか分からないの忘れてた
更新しました。
楽しんでいただけると幸いです。
ローレッタはパジャマで裸足のまま白い靄の中を歩いていた。
ここがどこかわからない。
夢か?と周りを見渡すと一人の女が現れた。黒い肩までかかる髪の、そばかすのある黄色い肌の、卑しい黒い眼をした女。体つきは小柄で貧相だった。そいつがにやにやと気色の悪い笑顔でこっちにやってきた。
ローレッタは思わず後ずさりした。
「ようやく会えた」
「誰よアンタ」
ローレッタの質問にそいつはおどおどとした小さい声で言った。
「わたしは橘由香子。あなたの身体に入っているの。ーーねえ、どうして私を嫌うの?私はあなたのためにこんなにやってあげてるじゃない?」
「ーーああ、なんだあのゲスい悪霊か」
恐がって損した、というローレッタに由香子とかいう悪霊は急に怒り出した。
「ゲスってなに!?私はあなたのためを思って行動してた!おかげで親切にされてるでしょ?!アンタは私に感謝するべきよ!」
「あーめんどくさい。さっさとどこかへ消えて。気持ち悪いのよアンタ」
「な、な、」
「だいたいいつ私がアンタに頼んだのよ?私は別に誰しもに好かれなくても生きていけるわ。たとえ全員に嫌われてもね。ーーああ分かった。アンタ、人の顔色ばっか見て生きてるタイプでしょ?人の言葉がいちいち気になって、嫌われてるかもとか悩むタイプ。そのくせ自分からは何も行動しない、人に察することを強要するタイプ。八方美人で被害者ぶって皆に嫌われていいように使われるタイプ。ああ、だから『私だってがんばっているのに』って書いてたのね。気持ち悪い。アンタのがんばりなんか誰も見ちゃいないわよ。アンタが人のがんばりを見ていないんだから。アンタは自分勝手などうしようもない悪霊ーー」
「うるさい!」
由香子は突進し、ローレッタの胸に腕を突っ込んだ。息ができなくなったローレッタの胸から白く輝く光を取り出して由香子は笑った。
「これが欲しかったのよ。アンタの今まで習得したスキル。わからなくて困ってたの。でももう大丈夫」
倒れ込んだローレッタを見て、由香子は勝ち誇ったように言った。
「これで私は完全なローレッタになれる。私は幸せになるべきなのよ。クレアでもアンタでもなくこの私がね。最初はアンタのこと助けてあげようと思ったけどもういいわ。だってアンタ本当に悪女だもの。じゃあね、おやすみ。悪女のローレッタ」
由香子が歩いて行くのをぼやけた目で見ながらローレッタはなんとか知らせないとと考えたがここは夢の中でどうしようもない。ローレッタは指を2本伸ばして意識を失った。




