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セシル殿下に相談。そしてセシルの秘密

更新しました。

楽しんでいただけると幸いです。


「やあ、場末の娼婦ーー、いや、今日は淑女のフリをした女狐かな?」



セシル殿下に悪霊について聞きたいという話され、ローレッタとアレクシス、クレアは王宮に行った。この国の唯一の殿下であるセシルはタイトなドレスを着ていて、今日のローレッタの服装を見て笑った。


ローレッタは今日はラピスラズリのシックなドレスにストールを持っている。彼女は言った。



「ご機嫌麗しく、失礼ですが悪霊と見分ける為にここからは言葉遣いを砕かせていただきます。ーーこれが私の普段の格好なのよ。文句ある?あと夫のコンラッドが来れなくて失礼。夫は今義父のファウラー卿と2人で仕事があってね」



腰に手を当てセシルに言うと、セシルは面白そうに笑ったが、たまに口に手を当てて顔を逸らしたりしていてローレッタは不思議だった。セシルは言った。



「ここではなんだから庭の方へ行こう。菓子を用意してある」



そして庭へ行き、豪華な菓子の数々にローレッタは走り寄って「ねえ殿下、このお菓子なに?見たことないわ。食べていいの?」とたずね、セシルは虚を突かれたが、すぐに咳ばらいをし、アレクシスが説明しようとするのを止めてローレッタのそばにより、ケーキの説明をした。



「これはマスカットというブドウの一種で作られたタルトだ。こっちは金箔が振りかけてあるが、チョコレートケーキで、中にイチゴソースが入っている」

「やだどちらも美味しそうじゃない。どっちにしよう」

「どっちも食べればいいだろう?ーーその、ケーキ、好きなのか?」


セシルがたずねるとローレッタは頷いた。そうするとセシルはまた顔を逸らし、口に手を当てたのでローレッタはなにか面白い事でもあっただろうかと首を傾げた。


まあでも笑われる分には好都合だ。話を聞き入れてくれる余裕がある可能性が高い。



結局ローレッタはセシルの勧めるとうりにマスカットのタルトとチョコレートケーキの2つを取り、椅子についた。クレアもイチゴとベリーのタルトとチーズケーキを取って椅子についた。


茶に砂糖を入れ、飲む仕草をセシルはずっと見ていて、ローレッタはこれは早くした方がいいと考えた。たぶんセシル殿下は時間がないのだろう。


ローレッタは日記帳を取り出し、セシル殿下に見るように言い、今度は意外にも絵が上手かったコンラッドに今の現状を紙に描いてもらったものを取り出した。



「ーーああ、あの時のピンクのドレスのお前は悪霊だったのか。たしかにあの時のお前といったら態度も喋り方も平民のそれだったしな」

「私に取り憑いている悪霊の住む国には貴族制がないんだと思うわ。あとは私たちのような白い種族じゃないということも。でなけりゃ王族に会うのにあんなピンクの派手なドレスなんか選ばない。失礼通り越して滑稽よ」

「そうだな、あれはひどかった。道化師でもやってきたのかと思ったな。あれならこの間の娼婦の方がまだましだ。ドレスコードはわきまえていたしな」



セシル殿下はプラチナブロンドの髪にスミレ色の眼を伏せ、はあ、と溜息を吐いた。そして頬杖をつき、遠くを見ていたのでクレアがセシルに「話を続けましょう」と笑顔で言い、セシルは「ああ、そうだな」と気づいたように言った。


ローレッタは今日の殿下はずいぶん憂いているな、と考えた。しかしまあ、こんなバカみたいな話に付き合って貴重な時間をつぶすとあれば憂い顔にもなるか、とローレッタは茶を飲みながら考えた。

アレクシスは妙に今日は静かだ。



「とにかく、悪霊が出てくればすぐに分かると思う。卑屈な物言いと顔で、そのくせ図々しくて、人に言わなくてもやってもらうことを要求するのが悪霊ね。セシル殿下、そういうのが出てきたら気を付けて。でもあいつは根性がないからちょっと冷たくすれば被害者ぶってすぐ消えるわ。ーー今のところは」

「今のところ?」

「悪霊がどうにかして私の態度や話し方、仕草を盗んだ時が問題なのよ。そうすると分からなくなる」

「ーーああそうか、それは問題だな。私もそれほど時間は取れないから悪霊が苦手な私のところに頻繁に呼ぶわけにもいかないしな」

「セシル殿下、そこまでさせるのはさすがに私だって気後れするわ。失礼にも程がある。殿下は王族としての仕事があるんですもの。今日だって時間取るの大変でしょうに、ありがとうございます」



ローレッタがセシルにそういうと彼女は目を見開き「君にそういう殊勝な心がけがあったのか」と言ったので、ローレッタは「あるわよ」と呆れたように言った。



結局特に良い案は浮かばず、セシル殿下からは「こちらで強力なエクソシストを探そう」ということで決着がついた。アレクシスとローレッタが馬車に乗り込んだ時、セシルはクレアを呼び止め、少し離れてクレアに尋ねた。



「ねえクレア、ローレッタはいつもああなの?」

「え?そうよ」

「演技ではなく?少女のようにお菓子に興味を持ったと思ったら侯爵夫人のように振る舞って、生意気な令嬢のように話したと思ったら突然大胆に誘惑するの?」

「誘惑の件はあれしか方法が無かったからだけど、ほかは今はかねがねそうよ。ーーセシル、まさかあなた」

「あの舞踏会の日、スカートをめくった時の彼女が忘れられない。真珠みたいに輝く白い肌。黄金の髪に危険な緑の眼...ねえクレア、私とローレッタの仲を取りもって。悪霊を追い払ってから。夫と別れろとは言わないから私に国の君主としての仕事を手伝ってもらって...、ああ彼女を寵愛したい。私が女王になったら絶対にするわ...クレア、私ローレッタが好きでたまらないの。夜も眠れないくらい。あんなに私の心をかきまわす女の子、初めて。愛しているのよ」

「わかったわ、すべて片付いたらローレッタに言っておくわ。がんばってセシル」



そう笑うクレアにセシルは抱き着いた。それを馬車の中から見ていたローレッタは「お義兄様、あの2人仲がいいわね」とぼんやり言っていた。アレクシスは言っていいのか迷ったような顔で、結局「そうだな」と一言だけ言った。



ーーーそう、セシルは女の子が好きだった。特に自分を振り回す美しい女が。






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