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第2章 第4話:レトロゲーム特有の「スプライト制限」

アルカディアの国境付近、険しい岩山が続く「処理落ちの谷」。ログとエクセルがそこへ足を踏み入れた瞬間、世界の挙動に「異変」が起きた。

「……おい、エクセル。お前の歩き方、なんだかカクついてないか? フレームレートが秒間5コマくらいに落ちてるぞ」

「あ、あれぇ? ログくんこそ、たまに体が透けて見えるよぉ? 幽霊になっちゃったのぉ!?」

ログは自分の手を見た。確かに、腕が1フレームおきに消えたり現れたりしている。デバッグコンソールを叩くと、警告音が鳴り響いた。


『CRITICAL: Sprite Limit Exceeded (Max: 8 per Scanline)』


「なんで令和(2026年)にもなって、ファミコン並みの『スプライト表示制限』を世界に実装してんだよ!」

「だってね! あんまりたくさん一度に表示すると、神様(私)の頭がパンクしちゃうかなって……。だから、一列に並べるのは8個までって決めたの!」

「ハードウェアの制約を物理法則に持ち込むな! おかげで俺たちの存在が点滅してんじゃねえか!」

その時、岩陰から大量の「ゴブリン・スライム」が湧き出してきた。その数、およそ50体。だが、その光景は恐怖というよりは「バグ」だった。

「ギャギャッ!」と鳴きながら襲いかかってくるゴブリンたちだが、横一列に並んだ瞬間に、右側の数体がスーッと消える。逆に左側の個体がジャンプすると、消えていた個体がパッと現れる。

「……おい、エクセル。消えてる間は『当たり判定』も消えてるのか?」

「うん! 見えないものは、ないものとして処理してるよ!」

「最悪の最適化だ! ……よし、これを利用するぞ」

ログは地面に落ちていた大量の小石を拾い集め、空中にバラ撒いた。「えいっ、座標固定アンカー!」

ログが投げた数十個の小石が、空中で静止したまま「点滅」を始める。するとどうだろう。小石という「オブジェクト」がスプライト枠を占有したせいで、襲いかかってくるゴブリンたちの姿が次々と消え始めたのだ。

「あわわ! ゴブリンさんが半分透明になって、そのまま通り抜けていくよぉ!」

「当たり前だ。描画限界を超えたオブジェクトは、演算自体がスキップされる。……いいか、これが『仕様を突いた無敵時間』だ」

ログは悠々と、透明化して攻撃が当たらないゴブリンたちの間を通り抜けていく。敵が剣を振り下ろしても、その剣が描画スキップの対象になれば、ダメージは「判定なし」として処理される。

「ログくん、これって無敵だけど……すっごく目がチカチカするよぉ……」

「我慢しろ。……それよりエクセル、奥にいるボスを見ろ。あいつ、自分の体が点滅してるのを利用して、わざと『消えている間』に移動してやがるぞ」

谷の奥、巨大な「サイクロプス」が、まるで瞬間移動をしているかのように、点滅しながら距離を詰めてくる。もはやレトロゲームの隠しボスが使う「ハメ技」そのものだった。

「……あいつ、この世界のバグを理解してやがる。野生のデバッガーか?」

「どうしようログくん! あのまま点滅しながら殴られたら、避けられないよぉ!」

「フン……。描画制限で消えるのが仕様なら、『描画の優先順位プライオリティ』を書き換えてやる」

ログはコンソールを叩き、サイクロプスのスプライト優先度を「最下位(Background)」に設定した。さらに、エクセルのドレスのひだ(ポリゴン数)を一時的に1万倍に増幅させる。

「えっ、私の服が急に重く……重すぎるよぉ! 面積が広がっちゃったぁ!」

「よし、これでスプライト枠はエクセルのドレスだけで満杯だ。……消えろ、サイクロプス!」

次の瞬間、巨大なサイクロプスの全身が「完全に消滅」した。背景として処理された彼は、風景の一部と化し、物理的な干渉力を完全に失ったのだ。

「……ふぅ。描画されない存在に、世界は干渉できない。……エクセル、ドレスを元に戻せ。重くて死にそうだ」

「もう、ログくん! 女の子の服のデータ量を勝手にいじらないでよぉ!」

ログはチカチカと点滅が続く谷を抜け、ようやく安定したフレームレートの平原へと辿り着いた。だが、その先。アルカディアの首都「計算城」の塔の上に、天文学的な数字が浮かんでいるのが見えた。

「……エクセル。あの塔の上に浮いてる『HP:999,999,999,999,999』って数字、見間違いか?」

「あ、あれ? それはね……第2章のボス、魔導王だよ! レベルアップの計算式をちょっといじったら、強くなりすぎちゃったのぉ!」

ログは、持っていたコンソールを地面に叩きつけそうになった。「……第5話。最後は『指数関数の暴力』か。……お前、算数ドリルからやり直せ」


【第2章4話・デバッグログ】

▶ 事象:オブジェクト過多による描画欠け(点滅現象)の発生。自分の体が透ける不具合も確認。

▶ 原因:スキャンラインごとの表示制限を8個に固定していた神の低スペック設定。

▶ 対策:スプライト優先度を操作し、ボスを背景化(Background)することで無力化。

▶ 懸念:世界全体のフレームレートが不安定。根本的なGPU増強が必要。


【次回予告】

第2章最終話「対数(log)の重要性を知れ」──「おい、この膨れ上がった数値を『圧縮』しろ! 数学の力で、王をただの老人に引きずり下ろす!」


【約10万字完結済】月・水・土 21時更新。

※初回5話公開。最初の1週間は毎日更新の予定。

※本作はAIを執筆補助に使用しています。

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