第6話 タイプシリーズ
レンの夢の中~
「レン、久しぶりだな」
「...姉ちゃ」
その瞬間、アリナの姿が徐々に黒くなっていきレンの首を締め付ける
「カハッ、ね...姉ちゃん...?」
「死を思い出せ、全てを飲み込め、この世というものを斬り裂け」
「な、何言って...るんだよ...やめてくれ...」
「...く...ん......レ....くん....!」
遠くの方で声が聞こえる
「きて...レン...ん...起きて!レン君!!」
レンは慌てて飛び起きる、冷や汗なのか大量の寝汗をかき、ベットの横には不安そうなメアがしゃがんで様子を見ていた
「やっと起きた!大丈夫...?凄く魘されてたわよ?」
「ハァ....ハァ....夢だったか...」
「一体どんな夢見てたの...?本当に大丈夫?あっ、汗が凄い、汗拭いてあげる」
「だ、大丈夫だ、これくらい1人で出来る」
「ふふ、元気そうね、お腹空いてる?なんでも作ってあげるわよ」
「なら、暖かいスープを...!?」
脳内に地獄の食卓が過ぎる
「分かった!待っててね〜」
「ま、待て!飯はいい、俺の傍にいてくれ!!」
「えっっ!レ、レン君...?」
引き止める為咄嗟に出た言葉だか、メアにとって猛烈に嬉しい言葉だった
「いいわよ!いいわよ!隣座ってあげる!ね、ぎゅーってする?」
「そ、そこまでしなくてもいい」
「照れちゃって〜可愛いな〜」
「朝からラブラブね〜お二人さん」
「ア、アマネ?なんでここにいるんだ?」
「まあ色々あってね、暫くここ住まわせて貰う事にしたの、勿論ライちゃんにも了承は得てるわ」
「それは構わないが、あまりメアを怖がされる事はするなよ?」
「し、心配してくれるの??優しいぃ〜」
小動物のように抱きつき、犬のように顔をレンの胸にスリスリするメア
「お、おい、あんまりくっつくな動きづらいだろ」
「やだもーん、傍にいてって言ったのはレン君よ?私は言う通りにして....いたっ!」
甘えるメアを後ろからゲンコツするヒューナ
「朝から甘ったるいもんを見せるな、レン気分はどうだ?」
「ああ、だいぶ良くなったよ、2人とも気遣ってくれてありがとう、本当に嬉しかった」
「き、気にするな、母親として心配するのは当然だろ」
髪をいじりながら顔を赤らめるヒューナと、いつもより褒めてくれるレンに夢中になって話を聞いてないメア
「貴方達、いつもそんな感じなの...?」
若干引き気味のアマネが質問をする
「まあ大体はこんな感じだよ」
レンは少し笑いながら答える
「そ、そう、ねえレンちゃん今日空いてるかしら?お姉さんとお出かけしない?」
「いやっ!何言ってるの!今日はレン君と私が一緒にいる日なんだよねー?」
傍にいてくれ、この言葉が相当メアに刺さったのか、リミッターが外れていつも以上に甘える
「このガキ、そろそろレンから離れろ...!アマネはレンに用があるんだ、今日くらいは離してやれ」
「ちぇ、分かったわよ」
「ありがとね〜メイドちゃん、さあレンちゃん行きましょ〜」
「お、おいせめて着替えさせてくれ寝巻きのままだぞ!」
都市~繁華街
「それで?今日は俺になんの用だ?」
「理由なんかどうでもいいでしょっ!今日はお姉さんが奢ってあげるから好きなの食べていいわよ!」
「怪しいな、何か隠してるな?」
「んもー!そうやってすぐ疑う所ライちゃんそっくりね...」
「そりゃ親子だから当然だろ?」
なんだかんだ仲良く話してる2人を影でコソコソ覗いてる1人の女性がいる、勿論メアである
「あ、あの女...私のレン君にベタベタ触りやがって...!!どうしてやりましょう...」
「そこの姫君、 何すれぞ我が君主に見える」
「えっ?なに?....って...え...?」
メアが振り返ると、そこには部屋にあった写真立てにヒューナ、レンと一緒に写っていた赤い髪の女性が立っていた、そうレンが話していた姉の姿に瓜二つだった
「た、確か...ア...アリナさん...?でも...亡くなったはず....」
「アリナ?そのような名、我知らぬ、我タイプΦなり」
「タイプΦ...?何言ってるのよ...?(何この人、殺気はないのに、この佇まい...それになんでレン君のお姉さんにそっくりなの...?)」
「この都市の人間は我々タイプシリーズを知らぬようだな、この世の善に満足し危機感を無くしたか?」
「タイプシリーズってなによ、それにさっき言ってた君主って誰の事よ」
「無知な人間に答える義務はない、今日は君主の様子を伺いに都市に来た次第、では失礼」
「ちょ、待ちなさいよ!」
メアがタイプΦと名乗る女性の肩を掴もうとした時、振り返り流れるような動作でメアの腹部に強烈な回し蹴りをする
「カハッ....!?あ...う...お腹が....」
メアは糸が切れた操り人形のような崩れ落ちて気絶してしまう
「命を粗末にするな、姫君、あのお方が蹂躙するその時までな」
タイプΦは闇に消えていく、人目のつかない裏路地には泡を吹いて痙攣するメアのみであった...
同時刻レンとアマネ~
「いい加減答えろ、俺になんの用なんだよ、いつものアマネじゃなくて気味が悪いぞ」
「そうね...ここは誰かに盗み聞きされることもなければ、人気も少なくて大切な話や、騎士団の重要機密の話とかが行われたりするこの場で話そうと思ったし丁度良いわね、この事は口が裂けても絶対にライちゃんには言わないで、それを約束出来るなら話すわ」
「な、なんだよ、約束はするがあまりにも重い内容ならちゃんと全員で話し合う必要があるんじゃないか?」
「いえ、これはレンちゃん貴方に関係する事かもしれないの、それにライちゃんは貴方を心配して内緒にしていて、私達で解決しようとしてた、でも...それじゃ私は納得できない、知る必要がある事は話すべきだと思うの」
「まず話を聞いてからだ」
「いいわよ、どこから話した方がいいかしら...まずタイプシリーズの事から話そうかしら、タイプシリーズってのは古代から悪魔達は、エルフと同じ魔術を使い戦ってきたけど、エルフと能力者の2つの戦力と魔術使う悪魔、どう考えても分が悪い、そう思った悪魔達は魔術を使い新しい戦力を作り上げた、正式な呼び方は自立型戦闘人形、人間と同じく赤ん坊から老人まで成長できるし、言語も話せる、自分で考えて行動できる思考力もある、ただ数が多すぎて名称をつける必要がある、そうして名付けられたのがタイプシリーズって訳、例えばタイプAとかタイプBって感じね、ここまでは理解出来た?」
「ああ、夢みたいな話だな、人形なのに俺達人間のように成長するってのがな...って事はタイプ∑も同じって事か?」
「そういう事よ、悪魔達の根城にタイプシリーズがどのくらい存在しているのかは分からないわ、もう作られてないかもしれないし、この都市を攻め滅ぼす為に増やしてるかもしれない...ただここで1つの疑問点があるの、タイプシリーズが人間と同じ成長するって事は勿論寿命がある長くて100年ね、この都市に結界が張られたのが数千年前...何が言いたいか分かる?」
「結界があるのに、悪魔が使うタイプシリーズが都市に何故いるのかって事だよな?」
「その通りよ、何らかの方法で都市に侵入して、都市に潜んでいてレンちゃんに何がしようとしてたってのが私とライちゃんの予想、タイプシリーズを知らないレンちゃん達には人間達の中に裏切り者がいるかもって話すしかなかったのよ」
「そうだったのか...だがそのタイプシリーズにとって俺はなんなんだ?何故俺に近づく必要がある?」
「そこが分からないの、だから私がレンちゃんを守る為にライちゃんの家に住むことになったの、でも安心して、何があってもライちゃんと私は貴方を守ると約束する」
そう言い終わると、アマネは伸びながら表情がいつものように緩やかになる
「んーーっ!難しい話をしたら頭痛くなっちゃうわよね、いきなりこんな話してごめんね、でもどうしても知って欲しかったの」
「分かってるさ、俺の為を思ってくれての行動だよな、ありがとう、アマネ」
「ふふ、見ない間にかっこよくなっちゃって!」
アマネとレンの元に息を切らしたヒューナがやってきた
「お前達こんな遠くに来てまで、何をしていた!?緊急事態だ!!」
「ど、どうしたのライちゃん!?」
「そうだ、何があった!?」
息を整える暇もなく、少し涙目になりながらヒューナは答えた
「メアが...メアが何者かに襲われ、意識が戻らないんだ、今診療所で治療されてる最中だ、お前達もすぐに来い!」
3人は急ぎ診療所に向かう
診療所~
「レイチェル、メアの様子はどうなんだ、まだ意識は戻らないのか?」
白衣を着た、エルフが答える
「ああ、ヒューナか、この娘外傷はないが、内蔵...特に腹部辺りが激しく損傷している、一体何をされたらこうなるんだ?」
「ヒューナ何故メアがこうなったんだ?」
「私も良く分からない、ただ通行人が倒れてるメアを見つけたようでな、私の友人で同じエルフであるレイチェルの診療所に運び込まれたという訳だ、お前達と一緒に来ようと思い様子を見に来たのは初めてだ」
「お前がヒューナの息子って奴か?話は聞いていたが会うのは初めてだな、私はレイチェル、主に回復メインに特化した魔術を得意とする、よろしくな」
「あ...あぁよろしく頼む、そんな事よりメアは何故こうなったんだ?」
「通行人の話によれば、泡を吹き痙攣しながら倒れていたらしい、狭い裏路地だったのに周りは争った痕跡がない事から奇襲されたと予想している...この娘は恨まれるような奴なのか?」
「とんでもない、口は少し悪いがメアは恨まれるような奴じゃない、俺が保証する」
レンは真っ直ぐな目でレイチェルを見つめる
「ほう?では、それをどう証明するんだ?お前1人の保証なんかでこの娘を信じれると思うのか?」
「そ、それは...」
「おい、レイチェル、あまり私のレンに意地の悪い事をするな」
「はは、すまない、気を悪くさせたら謝罪する、君の真っ直ぐな瞳が何よりの証拠だよ」
「う.......う...ん.....?」
か細い声をだし、メアの意識が戻る
「メア!大丈夫か!」
一斉に皆、同じ事を聞くが、レイチェルが制止する
「おい、起きたばかりだ、騒ぐなお前達....おはよう、気分はどうかな?無理に喋らなくてもいいぞ」
先程とは違う優しい声でメアに語りかけるレイチェル
「貴方は...?」
「私はこの診療所をやっているレイチェルだ、起きたばかりですまないが、診察をしたい、さぁ男は出て行った!」
「まって...診察より...私レン君とヒューナに話したい事があるの...」
「私とレンに?どうした?」
「私...アリナさんにそっくりな人に襲われたの...その人はタイプΦって名前だった...」
アマネとレンは緊迫した表情で互いを見つめた後、バレないように耳打ちする
「いい?レンちゃんはタイプシリーズを知らないって事にして」
そう言うとそそくさにその場から離れメアの元に向かうアマネ
「とりあえず一旦皆落ち着こう、まずはちゃんと話がしたい、メアひとまずレイチェルに診察してもらえ、話はその後だ」
「分かったわ...」
「よし、今度こそ診察だ、...何をしているレン、服を脱がすんだぞ?男は出ていけ」
「わ、分かった、メア無理をするなよ」
「うん...ありがとう」
メアを治療し、回復を待つ中、ヒューナ、アマネ、レンはタイプΦとは何だったのか、何故襲われたのか知りたくてしょうがなかった...




