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ブレイバーズ・メモリー(3)   作者: 橘 シン


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111/128

28-14


 ヴァネッサがエレナとともに、多目的室に戻ってきた。


「エレナ、大丈夫?」


 リアンが少し心配そうに声をかける。


「問題ありません。ご心配をおかけしました」


 エレナは、頭を下げる。


「いいえ。大変だったようね。ゆっくり休んで頂戴」

「はい」



 いつものメンバーが集まり、昼食となる。


「今日は散々な日だよヨ…」

「あんたが、余計な事をしなけりゃ、穏便に済んだんだよ」

「だっテ…」


 ヴァネッサの言葉に、ミャンは口を尖らせた。


「もう少し相手の気持ちを読みなよ」

「読むったってサ…」


 彼女はヴァネッサからの、指摘に言い返そうとしたが、途中で止めた。


「ハイ…」


 ミャンは静かに食事を始める。


 その表情には、まだ不満が残っているようだったが、これ以上は口出しできないと諦めたようだ。

 

 

 食事中は、四兄妹の話題になる。


 詳しい事情を、まだ知らない者に、彼らの事情をざっくりとだが話した。


 食事中に聞く内容ではない事は確かだ。


「ひどいな…先祖の事で雑に扱われるとは…」


 ライアは眉間にシワを寄せる。


「先祖がいるからこそ、自分がいるわけですが…そんな事をして何の意味があるのでしょうか…」

「ご先祖が関係ないのアタシにもわかるヨ」


 ジルもミャンもいい顔しない。


 彼らの顔には、明確な不快感が浮かんでいた。



「シュナイツまで追って来ないですよね?」


 テーブルは違うか、すぐそばで一緒にしていたユウジが心配そうに尋ねてくる。


「ないと思うよ。たぶんね」


 ヴァネッサは絶対に追って来ない確証はないと話す。


「山脈を越えようと思えば越えられるだろうし、イースタニア経由で来る可能性もある」

「わざわざ?さすがにそこまではしないっすよ」

 

 ヴァネッサの言葉にタイガは楽観視する。


「そこまでの労力をかける意味はないと思うが…」

「あたしもそう思う。あたしならやらない」

「どちらにしろ、彼らはここを出ていこうするだろう」


 僕自身はここにいて良いと思うけど、これだけの大事件を起こしておいてはシュナイツには、居られないだろうな。


 

「そこでだ…」


 皆が僕に注目する。皆の視線が、僕に集中する


「彼らを 森の村 に向かうよう勧めて見ようと思うんだ」


 僕の提案に、異論は出なかった。


「いいんじゃない?」

「決めるのは彼らだから、まだなんとも言えないけどね」


 森の村にいるのはイースタニアから来た者たちだ。


 イースタニアに戻る事はないと言っていた。戻れないと言ったほうがいいか。


 四兄妹も戻れない。こちらは戻りたくないと言ったほうがいい。

 


「もし拒否したらどうするの?」


 リアンがそう尋ねてくる。


「リカシィまで行けるくらいのお金をあげるつもり」


 お金に関しては、森の村に行く行かないに関わらず渡すつもりでいる。


 彼らがどこへ行こうと、生きていくための最低限の助けはするつもりだ。



 翌日の朝、レイラの意識が回復したと報告が入った。その知らせに安堵する。


 レイラは命の別状なく、軽傷があるだけ。


 受け答えもはっきりとしているし、食事も食べてるとの事だった。


 午後になってから、リアンとヴァネッサとともに、医務室に行く。



「先生」


 医務室の入口から先生に呼びかける。


「ウィルか?」

「はい。彼らと話をしても?…」

「ああ。構わんよ」

「ありがとうございます」


 医務室に入り、四兄妹と対面する。彼らの顔は、昨日よりも血色が良くなっていた。


 ヴァネッサは奥にいるガルドの所へ。

 


 僕に気付いた彼らは立ち上がり、頭を下げた。


「申し訳ありませんでした…」

「昨日の件については、もういいから」


 と、言っても忘れる事はできないだろう。


 彼らを座るよう勧めて、僕とリアンも椅子を借り座る。



「体調はどう?」

「はい。もう大丈夫です」

「そう。アレクシス、君は?君も火傷したはずだけど」

「大丈夫です。お気になさらず」

「そう。わかった」

  

 四人とも、顔色がいいように思う。


 

「あなたは怪我してない?大丈夫?」


 リアンが末っ子のリクに話しかける。


 話しかけられた彼は頷くだけ。


「今日は、随分とおとなしいじゃないの?」


 ヴァネッサがこちらに来て話に加わる。


「別に…いいじゃん…」


 リクは少し機嫌を損ね口を尖らせた。


 僕はヴァネッサを睨む。


 彼女は、わかってて言ったんだろう。


 相手を気分悪くしてどうするんだ…。



「竜を見にいくかい?話が長くなるかもしれないよ」


 ヴァネッサの言葉に、リクの目が一瞬輝く。


「話って?」

「君達の今後について、提案があるんだ」


 リクは、少し考えてからレイラの袖を掴む。


「俺も聞く」

 

 彼の返事に、ヴァネッサは何も言わない。


 そして、話しを促すように僕に頷く。



「アレクシスから君達の詳しい事情を聞いた。大変な苦労があったようだね」

「兄さん…」


 レイラは少し驚き、アレクシスを見る。


「拒否する事もできたが、話したほうと思ったんだ」

「そう…」


 四人の表情が少し暗くなった。



「アレクシスは普通の暮らしがしたと言った。それに間違いはない?」


 四人はそれぞれ視線を交わす。


「はい」


 レイラが頷く。その声には、強い意志が込められていたように聞こえた。


「わかった。まず、ここにはいないほうがいい」

「理由はわかってるよね?」

「わかっています」


 ヴァネッサの問いに四人が頷いた。


「ここではない別の村を紹介する」

「村ですか?…」

「うん」


 森の村やマンダールさん達の事を説明する。


「説明したとおりマンダールさん達は王国で暮らしていた者達じゃない。境遇が君達と似ているんじゃないかと」

「なるほど…」

「似てる境遇だとはわかりましたが、だからといって受け入れてもえるとは限らないでは?」

「もちろん。そうとは限らない」


 僕はアレクシスの疑問を否定しなかった。


 それは当然の事だし、懸念を示すのは、当然の事だ。

 


「でも、行く価値はあるんじゃないかな」


 僕の言葉に、四兄妹は肯定も否定もしない。


「行く行かないは、君達が決めてくれ。森の村に行く行かないに関わらずお金は渡す」


 後は、四兄妹次第。


「今、答えを出すの難しいだろうから…まあ、明日にでも…」


 僕は立ち上がろうした。その時、レイラの言葉に僕は動きを止める。


「行きます」


 レイラの言葉に上げかけた腰を下ろす。


 彼女の瞳には、強い決意が宿っていた。


「あ、そう?答えは明日でもいいよ」

「ここに長居するのは、私達の本意ではありませし、それはシュナイツもそうなのではないでしょうか?」

「そうだけど、急ぐ事はにないと思う」


 急かしたつもりはなかったが、そう取られたのかもしれない。


「レイラ。君は行くと言ったが、それは兄妹全員の意見でいいのかな?」


 アレクシス、イーナ、リクが頷く。


「レイラが行くというなら、そうする」

「わたしは姉さんの支えたい。姉さんが行くならついていくだけ」

「おれも、同じ。おれ達はいつも一緒だった。レイラ姉ちゃんが行くなら、どこにだって行く。全員で」

「ありがとう、みんな…ごめんね」


 レイラは兄妹達の言葉に少し涙ぐむ。

   

 

 四兄妹の意思を聞いた所で、詳しい説明に入った。


「森の村までの道順なんだけど…地図があったほうがいいか…ちょっと待っててくれ」

「あたしが取ってくるよ」


 ヴァネッサが立ち上がる。


「そう。ありがとう。ついでに、ユウジとタイガも連れて来てくれ」

「あいよ」


 彼女は、ユウジとタイガを連れてすぐに戻ってきた。



 ユウジとタイガを紹介する。


「彼らは森の村を定期に訪れているんだ。彼らが君達を森の村まで案内する」


 僕は地図を見せて、詳しい位置と道順を示していった。




Copyright©2020-橘 シン


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