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ディートリヒがラキに嫉妬させるために準備している中。
「ラキくん、このデザインにはこっちの方が良いんじゃない?」
「えぇ? でも、これと組み合わせるとそっちよりこっちの方が……」
ハネスト男爵邸で、ラキは集まった令息たちとお茶会という名の会議をしていた。
ディートリヒと結婚したラキだったが、カムグロス侯爵邸で暮らすことになった以外、ラキの生活は変わっていなかった。
次期カムグロス夫人とはいえ“お飾りの正妻”なのでカムグロス侯爵家での仕事はなく、時間があるラキはハネスト男爵邸でマルクの仕事の手伝いをしていた。
学園卒業後に加わったことといえば、男遊びで仲良くなった令息たちとの縁は切れずに時間が合えば、こうしてハネスト男爵邸にやって来て仕事に必要な助言をしてくれることだろう。
嫡男ではなくても、令息たちは貴族の息子として知識は豊富なのでラキもマルクも大助かりだった。
マルクが『何かお礼を』と申し出ても令息たちは『既に返し切れないほど貰っています』と断られてしまう。
おかげでラキがハネスト男爵家の人間でなくなってしまっても、ハネスト男爵邸には誰かしら令息がいるのでお人好しのマルクが被害を被ることは少なくなっていた。
実家のトラブル対応で学園に通う意味はないと思っていたラキも、同級生たちとの縁に感謝していた。
「ありがとう。俺、センスないから助かるよ」
「ううん、気にしないで。こういうのってお父様とお兄様に決定権があるから、僕たちは思うことがあっても意見言えないんだよね」
「そうそう。自分では良かれと思ってもこうやって話し合うと良い勉強になるしね」
「僕たちの意見を聞いてくれるハネスト男爵には感謝してます」
令息たちにとっても、時間を見付けてハネスト男爵邸にいるのは良いことづくしだった。
「大きな声で言えないけど、壁とかの配色を色々試せるのも嬉しいし」
カムグロス侯爵家に多額の借金を完済してもらったとはいえ、ハネスト男爵家は裕福ではない。
邸内に修繕が必要な箇所があってもそのまま放置していることが多い。
そこで令息たちはこれ幸いと実家で使われなくなった材料を持ち寄って、自分好みに色々と試しているのだ。
マルクも困ることは特にないので『怪我しないでね』と了承していて、令息たちは作業が捗っていた。
「うちが君たちの役に立ってるなら良かった」
先日、次期ハネスト男爵が親戚の中で誰になるのかが決まったが、まだ数年先のことだ。
それまでマルクがハネスト男爵邸で一人っぼっちになることをラキは危惧していたが、今は賑やかになっている。
付き合いって大事なんだなと思いながら、令息たちとの縁をこれからも大事にしようとラキは誓うのだった。
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