18
.
「ディートリヒ様ぁ~。ねぇ、良いでしょう?」
結婚式を終え、夫婦になったディートリヒとラキ。
正妻を迎えたことでディートリヒが次期カムグロス侯爵になる日は近付いていく。
それと比例して、跡継ぎ問題に直面し公認愛人となってディートリヒの子を産みたいという令嬢が入れ替わり立ち替わりで現れる事態となった。
分かっていたとはいえ、ラキではない人間からアプローチされても全く嬉しくないディートリヒ。
しかし、どんなにディートリヒが望もうがラキは男なのでディートリヒの子を産むことは一生ない。
それどころかディートリヒの条件を受け入れ、新婚だというのにディートリヒとラキの寝室は別々だった。
当然初夜はなく、一緒のベッドで眠ることさえなかった。
「………」
ラキとの結婚を認めてもらうために、カムグロス侯爵へ跡継ぎは愛人にでも産ませると大口を叩いてしまったディートリヒ。
今更、親戚から養子を迎えたいと言えるはずもなく、ディートリヒはラキ以外と子を成さなければならなくなってしまった。
せめてラキに似た容姿の令嬢を探すが、ラキに似た美貌の持ち主であれば公認愛人になる必要がなく、嫁ぎ先は選び放題だろう。
ラキと同じ金髪や緑目の令嬢に目を向けても、ラキと比べてしまい公認愛人にする気にはならなかった。
今はまだ、新婚を言い訳に出来るが、一年後には子はまだかとディートリヒは両親と周囲から急かさせる日がやって来る。
ディートリヒは自分で蒔いた種だが、ラキの母であるアナベルが生きていれば跡継ぎを産んでもらえただろうか……とあり得ないことを考えてしまう。
「ディートリヒ様、聞いてます?」
「………」
ラキの美貌に勝る令嬢など存在しないのだから、髪色も目の色も全くラキと関係ない令嬢を選んでしまおうかと吟味するディートリヒ。
(そうだ。ラキの前で令嬢たちと仲が良いところを見せれば嫉妬するんじゃないか?)
いくら自分が言った条件を受け入れて結婚したとはいえ、夫が自分以外の恩名に子を産ませるのだ。
平然を装っていても自分のものに手を出されたら、正気でいられないのが人間の性だ。
ラキもきっとそうだと考えるディートリヒ。
(そして、令嬢たちに嫉妬したラキが夜にオレの寝室に訪れて……)
涙目で頬を染めるラキを想像して、ディートリヒは口元が緩みそうになった。
(そうと決まれば金髪と緑目と適当に選んだ令嬢を3人用意しよう)
公認愛人を迎えるためではなく、ラキに嫉妬させるために動くディートリヒだった。
.




