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学園を無事に卒業したラキとディートリヒ。
卒業の余韻に浸れないまま、二人の結婚式は行われた。
カムグロス侯爵家にしては質素な結婚式で招待客たちは戸惑った。
結婚式の準備期間が一年もなかったこと。
結婚式の準備にカムグロス侯爵夫婦が一切関与しなかったこと。
早くラキを自分のものにしたいディートリヒが結婚式を急いだこと。
そういう裏事情がある中、質素な結婚式を華やかにしたのは新婦であるラキの存在だった。
“社交界の魔性の女”と呼ばれたアナベル・ハネストの忘れ形見であるラキの美貌が結婚式の質素さを無効化させていた。
ディートリヒとの厄介な挨拶回りなどは微笑むだけで済ませられた。
真顔のディートリヒの頭の中はお花畑状態であったが、ラキは余計なことを言わないように微笑み続けただけだった。
「ラキぃ……綺麗だねぇ……。アナベル様を見ているようだ……」
ラキを見て、号泣するマルク。
「ディートリヒ様と幸せになるんだよぉ……」
結婚式はめでたいものという固定概念なのか、何故ラキがディートリヒと結婚することになったのかマルクは頭から抜けているようだった。
「うん」
「!」
短く返事をしたラキをガン見するディートリヒ。
「もー、父さん。泣かないでよ」
「だって……だってぇ……」
二人の結婚を心から祝っているのはマルクだけだろう。
ディートリヒの正妻が男のラキであることから公認愛人枠を令嬢たちが狙うのは目に見えていた。
中にはラキの公認愛人枠を狙う令嬢もいるだろうが、ディートリヒが認めないのでラキの公認愛人になれる者は性別関係なく一人もしない。
(この結婚式が終わったら、俺はラキ・ハネスト男爵令息じゃなくてラキ・カムグロス侯爵令息夫人になるのか)
ハネスト男爵家の人間ではなくなるのが少し寂しくなるラキだった。
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