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浦風中将物語  作者: 里見レイ
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訪問

「えーと、理由を聞かせてもらおうか、弁中将」


 次の日の仕事終了後、浦風は左大臣邸を訪れる。いきなり左大臣の次男弁中将と、浦風の妹紅葉の君の縁談がなしになった事についてである。


「あ、えーとねえ・・・・・・」


 冷や汗を流す弁中将。それもそうだ。自分から持ち掛けた縁談が自分側の都合でなしになったのだから。


「父上が反対して・・・・・・」


「だから、なぜ左大臣様が反対してんのかって聞いてんだよ!お前、俺たちより下級の女も妻にしているだろうが!!」


 怒鳴り散らす浦風。自分の妹のどこが不満なのか言及しているのだ。


「分かんないんだよー!父上はただ頑固なんだよー!」


 半泣き顔の弁中将。どうやら、紅葉に本気で惚れているようだ。浦風からすると、結構複雑な心境である。


「権中納言殿は?」


 突如、弁中将の兄の名を出す浦風。


「多分、右大臣邸。奥方に会いに行ってると思う」


 権中納言の唯一の妻は右大臣の長女白菊の君。政略結婚なので、親たちからの命令により嫌々通っているらしい。


「あの方も律義なもんだ」


 独身の浦風による気楽な発言。


「彼の仲立ちで左大臣様にお伺い立てようと思ったんだが・・・・・・」


 浦風は、友人の権中納言と一緒に、左大臣に会いに行こうとしていたのだ。


「ごめん、紅葉の君にはこれ渡しといて」


 がっかりした表情で恋文を浦風に託す弁中将。以前より豪華な装飾になっている。


「はいはい」


 今回は素直に受け取る浦風。

 そして悲しげな表情の弁中将を横目に、浦風は左大臣邸を後にする。




 自宅への帰り道。浦風は、わき道から懐かしい音色を耳にする。


「!!!」


 聞くや否や、そのままわき道に入る浦風。

 そして歩くこと数分、浦風がたどり着いたのは辺境の地に似合わぬ立派な造りのお屋敷だった。


「・・・・・・」


 自然と音色のする方に首を向ける浦風。じっと奥の方を眺めること数分。


「あれ、浦風?どうしてここに?」


 突如、浦風のパトロン的存在、三宮がやってくる。


「三宮様!いや、ふと懐かしい音色がこちらからしたもので・・・・・・」


 皇族の三宮がこんな辺境の屋敷に来るということは、ここは国家の秘密基地のようなものだろうかと焦る浦風。半分は本当のことを言う。


「もしかして、女四宮の琴のこと?俺にはそれしか聞こえないけど」


「お、おそらく・・・・・・」


 演奏しているのが女四宮だと聞き、ますます焦る浦風。


「なんならこっち来いよ!ちょうど琴の在庫まだあるし」


「え!いや、ここって帝のお忍びの場所とかなのではないんですか?」


 気さくに誘う三宮。いきなり中に入るよう誘われ、大慌ての浦風。


「いや、建てたの俺だし、お前なら秘密共有しても構わんだろ。俺の弟みたいなものだし」


 秘密の建物だが、別に天皇家専用という訳ではないようだ。


「お、お言葉に甘えてよろしければ、お、お願いしま・・・・・・」


 浦風、体全身が硬直している。


「はっはっは、緊張すんな!たまに父上が来たりするが、今は俺と妹だけだ!!」


「えー!あ、そ、そうですか。じゃあ、三宮様がよろしければ・・・・・・」


 と、何やかんやで三宮の秘密の屋敷にお邪魔することになった浦風。

 はたして、彼の精神は持つのだろうか。

さて、もうすぐ最後のヒロイン、おそらくメインヒロインが登場すると思います。

里見レイ

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