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浦風中将物語  作者: 里見レイ
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提案と展開

キャラがまた一人増えます。

 仕事終わり。今日は特に予定はないので、何となく暇になり、宮中を散歩する浦風。

 季節は秋、涼しい気候のため、歩きながら

(久しぶりに宇治にでも行こうかなあ・・・・・・)

と、お出かけを考える。すると。


「右中将殿、ご機嫌よう」


 後ろから物腰柔らかな声がする。考えなくても、こんな口調の知り合いは一人しか思い当たらない。


「これは、権中納言殿。お出かけ日和の季節となりましたね」

 

 振り向き様に挨拶をする浦風。


「はは、相変わらず貴殿は風流ですな」


 それを見て、にっこりと笑う権中納言。その姿はいつも周りを落ち着かせる。

 権中納言は、左大臣の長男で、弁中将の兄にあたる。年は浦風より一つ上の二十二歳。

 人柄は温厚。浦風の理解者の一人である。


「また、貴殿の笛と合奏したいですな」


「ええ、近々是非。場所はどこにします?」


「宇治はどうでしょう?丁度行きたいと思ってまして」


「なら、我ら左大臣家の別荘を使いましょう。近くに池もござる」


「いいですね!」


 とんとん拍子に話が進む二人。音楽好きという共通点もあり、仲はいいのだ。


「ところで、うちの弟が貴殿の妹君に恋文をだそうとして、貴殿が仲介を断ったとか?」


 お出かけの話が一段落ついて、話題を切り替える権中納言。

 今日起きたばかりの話だというのに、もう広まっているらしい。


「貴殿の弟君とは、昔から折り合いが悪くて・・・・・・」


 苦笑いの浦風。流石に、兄の前で弟の悪口は言えない。


「はは、概ね弟の浮気性を危惧しての事でしょう。お気になさるな」


 権中納言、浦風の心情など完全にお見通しである。


「・・・・・・」


 二の句が継げない浦風。


「まあ、一度紅葉の君にお伺いくらい立ててはいかがかな?妹君ももう十八、縁談事態は悪くはないと思いますぞ」


 確かに、有力貴族左大臣家との縁組は非常に魅力的だ。相手が弁中将でなければ速攻快諾していたところである。


「確かに、それもそうですね」


 同意を示す浦風。

 正直、三宮と桜の君の縁談の話で頭がいっぱいだが、権中納言の話には筋が通っているので、無視をすることはできない。


「そういうことなら、この手紙頼むぜ!浦風!!!」


 いつから聞いていたのだろうか、突如現れる弁中将。


「おい、もう少し普通に登場しろ。右中将殿に失礼であろう」


 すかさず弟を叱る権中納言。本当に人格の良いお方だ。


「・・・・・・権中納言殿がそうおっしゃるなら、お受けいたす」


 弁中将とは目を一切合わせようとせず、手紙を受け取る浦風。

 さてさて、これからどうなることやら。

左大臣家の人々に、「浦風」や「桜」のような通り名はありません。みんな役職名か立場の名です。

出来る限り分かりやすくするので、よろしくお願いします。

里見レイ

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