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《第七話》 使命

シリアス成分強め。

 「え~と・・・これ読めばいいの?」

 『お願いします』


 「え~...第一回黒騎士会議~!」


 『・・・・・』

 「無言はやめてよ! というか、黒騎士ってなに!?」

 『マスターの記憶に一時期、黒騎士という言葉が良く出てきたので。』

 「グハッ! ...ヒナギク...それはデータから消しておいてくれないかな?」

 『マスターの独自能力を調べる事において、有益な資料になると思われますが?』

 「いや、あれは只の妄想だから......」

 『ホルス・オクルスの由来など、良くマスターは世界の神話を勉強されたのだと読み取れます。」

 「グァッ! ・・・・・・もうやめてよ~(泣き」


 修理をしている間、ヒナギクから詳しい話を聞く為にコックピットへと乗り込んだ僕を待っていたのは、突っ込みどころの有りすぎる謎会議。

 そして、僕の古傷 (精神)を抉り続けるという拷問だった。



 「え~と・・・色々聞きたい事があるんだけど・・・何から聞けばいいんだろう?」

 『まさか、最初の質問が、質問から始まるとは思っていませんでした。」

 「・・・すいません」


 うん、いっぱい考えたんだよ、使命の事とか、いま何処にいるのとか、どうしてアブロガーレがここに何年も居たのかとか。

 いっぱいありすぎて、何から聞けばいいのか解らなくなってしまった。


 『全ての始まりは、7人の英雄と三柱の邪神との人類解放戦から始まります。』


 彼女がそう言うと、目の前のディスプレイに明かりが灯り。



 今から遡る事、5863年前、この世界は全てを包み込んだ大戦が起こりました。

 当時、人類は突如現れた三柱の邪神によって完全に管理された......マスターの世界で言えばディストピアと同様の世界を形成していました。

 人類は人としての感情を失い、ただ邪神へと信仰と崇拝を行うだけの生物だったのです。


 

 ですが、その支配体制に反旗を翻した者たちがいました。

 それが7英雄と呼ばれる人物達です。

 7英雄は徐々に、人々や国家を見方に付け、邪神達との壮絶な大戦へと戦いは発展しました。


 そして...魔神機が開発される発端となった。

 災厄の兵器......魔獣と呼ばれる生物兵器が世界にばら蒔かれました。

 魔獣には、自己進化、環境適応、能力が存在し。

 その活動範囲を一瞬で、世界全体へと広げました。


 当時使われていた、兵器や武器は魔獣の自己進化によって効果を失い。

 広域範囲攻撃で殲滅しようとも、細胞の一辺でも残っていれば、約一分もあれば再生してしまう。

 人類は、魔獣に猛威を振るわれ、為す術もなく蹂躙されました。


 その被害は、当時の人類の総人口の約4割にも及びます。


 7英雄と人類は、魔獣への対策の為に、対魔獣兵器の開発に全力を注ぎ。

 そして、二つの兵器の開発に成功しました。


 魔神機と呼ばれる、対魔獣用巨人型兵装とディザストロと呼ばれる、広域魔力消失兵器です。


 魔神機は、対魔獣戦において、唯一効果が現れた物理攻撃での白兵戦や様々な各種装備を自在に扱う、汎用性を考えて開発されました。


 ディザストロは、起動後に範囲内に存在する、魔素を消滅させるという...凶悪な兵器です。

 魔獣の肉体は魔素で出来ています、それを消滅させる事によって、完全に駆逐する事が可能になりました。

 ですが、この兵器にはこの世界に生きる物にとってリスクが測りえない物でした。


 ディザストロの発動範囲内では、約数年の間、魔素戻らないという現象が起こります。

 この世界に生きる生物は、皆魔素を少なからず取り入れる事で生きています。

 そして、魔力を失えば魔力枯渇が起きて、気絶、あるいは死亡します。


 この影響で、生物の活動圏は縮小することになりました。


 そして、この旧アレクシア浮遊大陸を決戦地として、7英雄による最終決戦が行われました。

 その決戦で英雄二名が命を落とすも、邪神の討伐、または異次元への永久追放に成功したそうです。

 そして、長く続いた大戦は人類側の勝利として幕を下ろします。


 ですが、その勝利には余りにも犠牲が大杉来ました。

 総人口の約6割は死滅し、二つの大陸が崩壊し、人類の活動圏は大戦前の3/1にまで減少しました。


 そして、大戦に生き残った人類は互いに協力し、生き残った魔獣の殲滅と戦後復興に全力を注ぎました。



 それから数十年後、なんとか落ち着きを取り戻した世界で、5人の英雄と各国の王はある計画を立てました。

 それが、私がここに配置された理由にもなります。

 英雄と王は、このまま以前の繁栄を取り戻した人類が、戦争を起こす事を危惧したのです。

 今までは、邪神や魔獣という、絶対的な力を持つ敵に振るわれていた兵器が、もしも同じ人類に向けられれば。

 確実に、人類は滅びると......そこで英雄達は、この世界にある兵器や研究資料を全て、この大陸に放棄し、破壊する事を決めました。


 だが万が一、後の世に人類では抗えない脅威が世界を襲った時、人類の最後の切り札となる様、英雄達は大戦時の知識を備えたAIと最強の魔神機を製造し、ここに封印しました。


 それが、《汎用型サポートAI:ヒナギク》と《魔神機:Abrogare X Spada(廃棄された剣)》の使命であり、存在理由の全てです。



 「・・・」

 (どうしよう、映像が凄まじ過ぎて、話が殆ど頭に入ってこなかった......)


 昔、邪神と人類の戦争が起きて。

 その時、魔獣っていう、バ○ドみたいな見た目した生物兵器が人類側に猛威を振るったと。

 それに対抗するために、この人型二足兵器(魔神機)と魔力版核爆弾が出来て、最後に英雄達が犠牲を出しながらも邪神に勝って、戦争終結。

 その後、兵器が悪用されないように、全部この大陸で破壊して、その後、また邪神みたいな存在が現れた時に対処できるように、ヒナギクとアブロガーレだけが、ここに残された。


 話の大まかな流れは大体わかった...うん...。


 「え~と・・・、つまり、世界の危機が来るまで此処から動けないって事?」

 『全権はマスターにあります。』

 「え? つまり、自由に動かしてもいいってこと?」

 『肯定、ドクターから使命としてここに配置はされましたが、此処を離れる事に関しては何も指示されておりません。

 現在、マスターにしか、私への命令権が設定されておりません。

 よって、マスターの意思決定によって、自由に移動することが可能です。』


 つまり、ここに配置はされたが、後は好きにしていいというわけか。

 あ、だから、僕が死にかけた時も、回収して助けてくれたのか。



 『マスター、機体の修理が完了しました。』

 「あれ?もうそんなに時間、経ってたんだ」


 早いもので、話を聞いている間に、どうやら3時間経っていたようだ。

 とりあえず、移動が可能になった事だし、なんとか人の居るところを探さないと......あ。


 「ね、ねぇ、ヒナギク」

 『何でしょうかマスター」

 「この大陸に人って居るの?」

 『私が封印された当時は、禁忌の地として、各国が人類がこの大陸へ渡ることを禁止していました。』

 「・・・じゃあ、今までに人は?」

 『マスターが私が、ここに配置されて初めて”確認した人類です。”』


 「HAHAHAHA・・・ヒナギク、今から別大陸に渡るのは可能かな?」

 『アブロガーれで海を越えるには、機体を載せられる船、もしくは飛空挺が必要です。』


 食料と飲み物は一ヶ月分、その間にアブロガーレを載せられる船を作るのは......無理だよね。

 どうしよう、いきなり詰んだよ。


 「う~ん、どうしたら......」

 『......マスター』

 「どうしたの? ヒナギク」



 『先程、探知可能限界に人種と思われる反応を複数探知しました。

 ”現在、戦闘に入っているものと思われます”』


 「・・・え?」

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