《第六話》 黒い獣の騎士は今動き出す。
「こんなものかな?」
僕は予備装備を整理する為に、パーカーを腰に巻いて散らばった物資をケースに戻すという作業をしていた。
予備装備といえど、長期戦を想定した物資の為か軽く見ても一ヶ月分の食料はあっただろう。
そこから、魔導式銃器(仮名称)とチェーンソード、保存食一食、飲料ボトルを残しある程度は収納が完了した。
途中、魔導式銃器用のホルスターはあったが、弾薬が無いことを疑問に思ったが。
端末同様に僕から魔力を引き出すのでは無いかと考えた。
その辺も、ヒナギクに教えてもらおう。
僕は、ケースに置かれた飲料ボトルを呷ると、そっと目元に触れた。
いつもかけていた、物が無いというのは少し寂しい。
別に、僕は目が悪いわけではない、どちらかといえば視力はいい方だ。
あのメガネは、僕の能力のスイッチの役割をはたしていた。
まだ、僕が小さい頃は感情の起伏によって能力が誤作動することが多かった。
何も知らない人が効けば、羨やましいと思うかもしれないけど。
もしも、世界がスローに見える能力が、操作不能の状態で発動したら・・・。
あれは、7歳の頃だったか友人と喧嘩した僕は、能力が暴走したことがあった。
その時は、役3時間もの間、この能力が操作不能で発動し続けた。
それは、永遠に続くかのような地獄だった。
思考だけが時間に取り残され、どうする事のできない孤独感に押しつぶされそうになった。
よくあの時、自分は狂わなかったのか、今でも不思議だ。
そんな事があって、僕は何か外部からのアプローチによって能力のオンオフができないかを考えた。
そこで、ある漫画に書いてあった、何かをする事で能力が発動するという設定を試すことにした。
その漫画で、一番印象に残ったメガネ好きの能力者の設定を参考にして、メガネによる能力のスイッチを切り替える事にしたのだ。
でも、これもいい機会なのかもしれない。
僕の精神も大人に近づき、成長はしているのだろう。
能力の暴走も、13歳を最後に一度も起きていない。
暴走が起きるまで、メガネ無しでやれるところまでやってみようかな。
でも、メガネ無いのは少し寂しい。
『マスター、準備は完了したしましたか?』
「あ、うん、問題ないよ」
『了解しました、それでは機体を上げますので、端末の回収とケースの積み込みをお願いします。』
「わかった」
僕は、飲料ボトルを腰に巻いたパーカーに挿すと、ケースをコックピットの元あった座席裏に収納すると。
グローブをケーブルから離し、右腕に装着した後に、機体から離れた。
『それでは、機体を動かします』
ヒナギクがそう言うと、アブロガーレはゆっくりと機体が軋む音を響かせながら、最初に見た時同様に片膝を着いた状態に戻った。
「結構、軋む音が聞こえてたけど大丈夫?」
『機体状態は、右足への魔力供給不可により使用不能。
その他、各部にも劣化により、差は有りますが損傷が見受けられます。』
「どこかで、修理はできないの?」
『修理に関しては、バックパックに収納されている、ドローンに異常がなければ行えます。』
ああ、さっきの開けて欲しいハッチっていうのは修理用ドローンの収納の事だったのか。
でも、修理となると一日潰れるかな? 一応聞いておこう。
「修理には、どれくらい掛かりそう?」
『現状の損傷率なら、約3時間で修理が完了します。』
「ん、了解」
修理している間にしたい事を、簡単に纏めると腰に差したチェーンソードが落ちないようにパーカーを縛り直して、メディス貯蔵庫から降りた時に使った梯子を登って、件のハッチに近づいた。
「それで、魔力の流す方法って?」
『基本的に、魔道具を起動するには、その魔道具に当てはまる”キー”となる単語を念じれば作動します。
チェーンソードのキーとなる単語は《起動》《停止》です。
その他にも、マスターが所持してる、魔導機銃 (まどうきじゅう) の様なキーが存在せず、引き金を引けば、持ち主の魔力から自動的に魔力が供給される魔道具も存在します。』
「意外に、簡単に使えるんだね」
『魔道具のコンセプトは、誰でも使える事を第一に考えて設計されています。
その為、複雑なキーや機構は、魔道具には適さないと考えられています』
「なるほど・・・じゃあ、早速試してみるよ。」
『暗々も、刃には触れないようにお気をつけください』
僕は、チェーンソードを抜くと、最新の注意を払って、《機動》と念じた。
すると、刀身の周りに付いていた、無数のギザギザした刃が回転を始める。
すぐに、目では捉えられない程、加速した刃を使って、僕は恐る恐る、ハッチを固定している部分に刃を当てた。
ジジィィィィイイイィィィイイイィィィィィィイィィイィイィイ.........ギッガガッ
すると、耳が痛くなる様な音がして、40秒位で切断出来た。
僕は機動時と同じように、《停止》と念じると、次第に刃の回転は収まっていく。
回転の止まった刃を確認すると、切断面と同様に摩擦熱から、赤くなっている。
「これ、冷ました方がいいかな?」
『いえ、問題ありません。
耐熱も考えて設計されていますから、この程度で摩耗する事は無いです。』
「わかった」
考は同様に、残り3つの固定部を切断をしていった。
「これでどう? 開そう?
『ありがとうございます、念の為に退避をお願いします。』
「了解」
他の固定部を無事、切断に成功した僕はヒナギクに従い。
バックパックから離れる事にした。
ヒナギクは考がバックパックから、離れた事を確認すると、パックパックを開け、中に収納されているドローン達に信号を送った。
すると、ハッチの中から30cm程の小型のドローンが4機出てくる。
『ドローンからの信号の受信を確認、以上無しです。』
「良かった! これで、修理できるね」
『肯定です、それでは直ぐに修理を開始します。』
「じゃあ、その間に僕に色々聞かせて欲しいんだけどいいかな?」
『問題ありません。』
いや~、長かった(投稿間隔)プロローグもやっと終わりました!
これ、三日目だけど、纏めて三話書いてるから!
本当に疲れたよ。




