第81話 疾風怒涛
「『疾風怒涛メイド』は短気な奴でな、その場に出た瞬間に攻撃を始めちまうんだ」
「要は【突撃】持ち、という事で?」
「まあ、言っちまえばそうだな。昨日の試験で見せたC時代の『猪突猛進メイド』、その完全上位互換とでも思ってくれ。一番の特徴は――いや、その前に攻撃させておくか。そろそろ我慢させるのも限界みてぇだしよ」
あくまでも演出のひとつなんだろうが、場に出した『疾風怒涛メイド』の鼻息は荒くなるばかり。あり得ない事ではあるが、このまま放置を続ければ勝手に攻撃を始めてしまいそうである。
「んじゃ、こいつで『極彩色の天使像』を攻撃するぜ」
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『極彩色の天使像』 防御力5⇒1
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ふた振りの大斧による強烈な攻撃が『極彩色の天使像』を襲う。『極彩色の天使像』はギリギリのところで堪えたが、瀕死も瀕死の状態だ。
「これで俺のターン終了時、【勝利】カウンターはまた加算されねぇな。んで、俺の【税】はまだ黒1つ分が残っている」
「嫌な予感がしますね」
「何、先生が今予想している範疇の事しか起きねぇよ。残りの【税】で『見習い悪魔メイド』を【継承】召喚! もちろん、召喚先は『疾風怒涛メイド』だ!」
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『見習い悪魔メイド』
分類:領主 レア度:C コスト:黒1 タイプ:悪魔、メイド
攻撃力1⇒5/防御力1
【突撃】(new!)【隠密】(new!)
相手【領主】1体を-1/+0
【継承(メイド)】継承した【領主】を+2/+0
【継承(メイド)】継承した【領主】を+3/+0、【突撃】を付与。(new!)
【継承(メイド)】継承した【領主】を+1/+0、【隠密】を付与。(new!)
【継承(メイド)】相手【カードマスター】の手札をランダムに1枚【リタイアゾーン】に送る。(new!)
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「さあ、うちのクロマならそろそろ音を上げ始める文章量になってきた訳だが、ゴキョージュ先生なら大丈夫だろ? まずは『見習い悪魔メイド』自身の能力で、『転生聖女』の攻撃力を弱体化!」
「俺のクロマ!?(まだ全然追えてるぜ?)」
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『転生聖女』 攻撃力1⇒0
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「今、何か聞こえたような……」
「幻聴だ!」
「で、ですか……ええと、そして【領土】の効果でデッキの【メイド】カードを【リタイアゾーン】に送り、私の手札からも1枚【リタイアゾーン】へ送られる訳ですね?」
「ああ、流石に慣れてきたみてぇだな」
「あまり慣れたい流れではないんですけどね」
例の処理により、ゴキョージュの手札は遂に2枚となってしまう。
「最後にもうひとつ、前身の『疾風怒涛メイド』の特徴である【突撃】、それを『見習い悪魔メイド』は引き継いでいる。これが『疾風怒涛メイド』の一番良いところなんだが、このバトルにおいては尚更に良い」
「私の【領主】の攻撃力が全て0となった今、その子も何を気にする必要もなく攻撃が行える……そういう事ですね?」
「そういうこった! 『見習い悪魔メイド』で『転生聖女』を攻撃する!」
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『転生聖女』 防御力5⇒0 破壊
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その小柄さとは裏腹に、先の『疾風怒濤メイド』以上に強力な攻撃を繰り出す『見習い悪魔メイド』。『転生聖女』はそんな一撃の下に破壊されてしまう。
「あれだけの鉄壁の布陣が、今や見る影もなくなっちまったな。俺はこれでターンエンド、さっきも言った通り【勝利】カウンターに変動はねぇぜ?」
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4ターン目
ゴキョージュ ライフポイント20 手札2
『安寧の大聖堂レベル1(白1)』=『空』
『嚮導鐘塔・ルミナスベルレベル1(白1)』=『極彩色の天使像(0/1)』
『救世の聖像公園レベル1(白1)』=『空』
グラサン ライフポイント20 手札4
『悪魔の屋敷レベル2(黒2)』=『見習い悪魔メイド(5/1)』
『メイド養成学校レベル1(白1)』=『メイド生徒(1/1)』
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「ね、ねえ、ゴキョージュ先生、ひょっとしてピンチなんじゃない? フィールドの【領主】が沢山倒されちゃったし、残った『極彩色の天使像』もギリギリだし、手札だって2枚しかないよ……?」
「あの【勝利】カウンターも、まだ1つも蓄積されていないもんね。ライフポイントこそ、まだどっちも無傷の状態だけれど……」
バトルを見守る生徒達の間に、少しずつ動揺が広がっている。謎に声の通るハラダシ少年とは違い、他生徒達の所感は実に真っ当なものであった。
「おっと、教師として不甲斐ない状況になってしまったでしょうか?」
「んな事はねぇだろ。まだ全然余裕が感じられるしよ」
「ハハッ、見透かされていますか。それにしても、グラサンは本当にやり手ですね。さっきのターン中に『平和の使者』と『転生聖女』を倒しただけでなく、『極彩色の天使像』にまで致命傷に近いダメージを与えた――いえ、破壊せずギリギリ生き残らせた事で、新たに強力な【領主】を『嚮導鐘塔・ルミナスベル』に召喚させないようにした、とも言えますね。まったく、末恐ろしいものです」
「たまたまだよ、たまたま。だが、そんなたまたまが重なって、何とか多少の有利にはなったようだ。さあ、ここからどうする?」
「さて、どうしましょう? まずはドローをしてみましょうか、ドロー」
引いたカードに視線を向けるゴキョージュ。彼の表情に変化はない。
「『嚮導鐘塔・ルミナスベル』をレベルアップ、もう一度ドローします。……ううむ、手札が3枚とは何とも心許ない。この中でやれそうなのは、そうですね……白2の【税】を支払い、『譲渡の光』を発動します」
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『譲渡の光』
分類:戦略 レア度:R コスト:白2
コスト2以下の【領主】を対象とし、それを破壊する。
破壊した【領主】の攻撃力と防御力分、【天使】の【領主】を+X/+X
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「こいつは……」
「『譲渡の光』はコスト2以下の【領主】を破壊し、その攻撃力と防御力を別の【天使】に与える事ができます。破壊対象は『見習い悪魔メイド』、譲渡先を『極彩色の天使像』に指定」
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『見習い悪魔メイド』 破壊
『極彩色の天使像』 攻撃力0⇒5 防御力1⇒2
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天より降り注いだ光の柱に飲み込まれ、浄化されるようにして消えて行く『見習い悪魔メイド』。一方で『極彩色の天使像』にも同様の光が注がれ、その分のステータスが譲渡されていった。
「続けます。残る白の【税】を支払い、『祈りの硬質化』を発動。こちらの対象も『極彩色の天使像』を指定します」
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『祈りの硬質化』
分類:戦略 レア度:R コスト:白2
【天使】の【領主】1体を対象に+0/+3
【リタイアゾーン】に3枚以上【天使】の【領主】がある場合、更に+0/+2
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どこからともなく聞こえて来た聖歌が、目に見える形で天使像の周りに物質化し始めた。




