第20話 切り札
「僕のターン、ドロー」
場に2体並んだメイド達を前に、少し考えるような仕草を見せるクロポニ。
「……『黒の領土』をレベルアップ、もう1回ドロー。【研究】カウンターを3消費して、『赤色ゾンビ』を召喚。そのまま『屋敷の情報通』に攻撃させるよ」
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『屋敷の情報通』 防御力3⇒1
『赤色ゾンビ』 防御力1⇒0 破壊
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「ギリギリ生き残ったけど、もう既に【感染】状態にあるから、【研究】が増えるのはゾンビを出した分だけだね。……ねえ、グラおじさんにはもう、切り札って呼べるカードはある?」
「あん? 何だよ、藪から棒に?」
「単純に興味があるから、聞いてみただけ。ほら、最初に貰ったデッキって、CやUCのカードしか入っていなかったでしょ? この大会で戦った人達も殆どそのままの状態で、これ! って言えるカード見当たらなかったって言うか、ピンとこなかったんだよね」
「そういうポニちゃんにはあるのかよ? 自分の切り札がよ」
「うん、僕にはあるよ。今までは出すまでもなかったけど、グラおじさんには特別に見せてあげる! 【税】4つ全てを使い、『完全抗体の武装者』を召喚!」
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『完全抗体の武装者』
分類:領主 レア度:R コスト:黒2無2 タイプ:アンデッド
攻撃力4/防御力4
この【領主】は【感染】を持たない。
この【領主】は【感染】を持つ【領主】に攻撃されない。
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どこともなく充満する紫色のガス。そしてその中より、金属を鳴らすような足音と共に巨体が現れる。それは巨大なゾンビであった。それも筋肉が異様に発達していて、近代的な金属の鎧で全身を纏ったゾンビだ。これまでの本能のみで動いていたゾンビ達とは違い、理性があるようにも感じられる。
「おいおい、その手のボスみてぇな奴が出て来やがったな……!」
「ちっちっち、みたいなじゃないよ。そのままボスなんだよね、これが!」
攻防が共に4という数字的な強さ、更には【感染】にならないという耐性まで有している。これはつまり、周囲が本能的な戦闘を行い自壊していく中で、この個体のみが理性的に動けるという事だ。だが、何よりも注目すべきは【感染】を持つ者に攻撃されないという点である。
(あの厄介な【戦場】がある今、あいつを戦闘で倒す事はできない。こいつはひと工夫が必要だな)
フィールドと手札を見比べ、頭の中で次なる構想を立てるグラサン。ますます窮地に立たされているが、グラサンの表情には笑みがこぼれていた。また、それはクロポニも同じで、双方とも実に楽し気である。
「僕はこれでターンエンド。グラおじさんの番だよ」
「おう、ターンを貰うぜ!」
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5ターン目 【戦場】『バイオハザード発生装置』
グラサン ライフポイント11 手札5
『白の領土レベル3(白3)』=空
『辺境の屋敷レベル1(無1)』=『メイドの教育係(2/2)』
『メイド養成教室レベル1(なし)』=『屋敷の情報通(2/1)』
クロポニ ライフポイント8 手札5 【研究】4
『黒の領土レベル3(黒3)』=『完全抗体の武装者(4/4)』
『バイオ研究所レベル1(無1)』=空
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クロポニには強力な【領主】が、そして戦況を有利に進める【戦場】があり、一方のグラサンは【継承】を重ねた者達が尽く破壊されている。総合的に押されている状況と言えるだろう。有利要素を挙げるとすれば、ライフポイントが勝っている程度――しかし、何が起こるか分からないのがカードゲームである。勝負の行方がどちらに転ぶか、決定付けるものはまだない。
「ターン始め、【感染】により『メイドの教育係』と『屋敷の情報通』が1のダメージを受けるぜ」
瀕死状態であった『屋敷の情報通』が破壊され、グラサンの場に残されたのは『メイドの教育係』のみとなる。
「ドローからの『辺境の屋敷』をレベルアップ、またドロー! 生き残った『メイドの教育係』で、ポニちゃんを攻撃!」
「むぐっ……!」
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クロポニ ライフポイント8⇒6
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「ククッ、随分と余裕をかましているようだが、もうライフが6になっちまったな? そろそろ黄色信号が灯っているんじゃねぇか?」
「ふん、そんな事ないよ。そのメイドさんが僕に直接攻撃をしてくるのは、最初から分かっていた事だもんね」
「そうかい、なら更に攻めるぜ? 白1つと無2つの【税】を使い、『辺境屋敷の歓迎』を発動!」
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『辺境屋敷の歓迎』
分類:戦略 レア度:UC コスト:白1無2
【領主】が置かれていない自陣の【領土】に『見習いメイド』を3体召喚する。
【領主】が既に居る場合、それが【メイド】であれば【継承】してもよい。
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グラサンの【領土】三か所それぞれに『見習いメイド』が召喚される。名前は同じであるが、髪型や髪色、雰囲気などが異なっており、しっかりと個性が備わっていた。【領主】として直接場に出すドジっ子な『見習いメイド』とも違い、完全に別人のようである。
「【領主】を一気に3体も召喚する【戦略】カード……!?」
「なかなか壮観な出迎えだろ? ご覧の通り、これ1枚で『見習いメイド』が3体も呼び出せる、盤面制圧に秀でた強力なカードだ。ただまあ、予め【領土】を横に3つ分広げておかねぇと、召喚枠が無駄になっちまうんだけどよ。ククッ、間に合って良かったぜ。ああ、そうだ。『白の領土』と『メイド養成教室』はそのままの召喚だが、既に『メイドの教育係』が居る『辺境の屋敷』は【継承】召喚扱いな」
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『見習いメイド(辺境の屋敷)』
分類:領主 レア度:C コスト:白1 タイプ:人間、メイド
攻撃力1⇒2/防御力1⇒2
【継承(メイド)】継承した【領主】を+1/+1
【継承(メイド)】継承した【領主】を+1/+1(new!)
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「んで、【メイド】が『辺境の屋敷』に召喚されたから、俺のライフが1回復だ」
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グラサン ライフポイント11⇒12
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「け、けど、新たに3体のメイドさんが【感染】したから、【研究】カウンターを3増やすよ!」
「おう、もう【研究】が7になったか。相変わらず面倒なカウンターだが、こっちも怖がってばかりじゃ何もできないんでね。更に召喚を続けるぜ!」
グラサンは残った白2つの【税】を使い、2枚のカードに手をかざした。




