表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/83

74


 航空艦の船員が貴公子に敬礼をした。貴公子は本当に貴公子だった。

 甲板に上って艦内に入り、執事に先導されて豪華な食事室に案内された。


「ふう。失礼、艦を出入りするだけでも大変で」


 貴公子は、荒い息を整えた。そのそばに、鬼が控えている。


「ついに、俺に担がれて運ばれる気になったか?」


「いい運動になっているよ」


 うながされるまま席につく。食事の準備はすべて船員がやってくれて、ただ座っているだけでいいのが、どうも慣れずにそわそわした。


「みなさん。今日は僕の招待に応じてくれて、ありがとう。この機会に、ぜひ親交を深めたいと思う。遠慮なく何でも言ってほしい」


 鬼はああ言っていたが、なぜ誘われたのだろう。


「みなさんの噂や活躍を耳にして、話をしたくなった。こんな大げさな形にしたのも、もてなしたい気持ちの他に、僕をわかりやすく知ってもらえると思ったからだ」


 噂や活躍とは何だろう。


「最近では、古の勇者と魔王の美術館の人々を救い、古の魔王さえも退治されたとのこと。以前の魂の迷宮での事件も知って、どんな方かお会いしてみたかった。噂以上の立派な冒険者のようだ」


 全部、女神の功績だ。いたたまれなくなり、グラスの水を飲んでごまかした。


「聖女殿のお力についても聞いている。ぶしつけな質問であれば申し訳ないが、先日失われてしまったとか。僕が何かお役に立てないだろうか」


 聖女は、やんわりと断った。取り除いたのではなく失ったことになっている。


「必要であれば、いつでも言ってほしい。僕個人ではなく、僕の家の力が助けになれるかもしれない。

 僕の家、帝国の公爵家については、ご存知だろうか?」


 鬼が空の公爵家と言っていた。


「僕の家は空、他に食や武とそれぞれ呼ばれる公爵家があり、三大公と言われている。なぜ空なのか。空の公爵家が治める領地から、浮遊石という資源が採掘されるからだ」


 浮遊石。


「物質を重力に反して宙に浮かび上がらせる魔力を秘めている。言わば、大地に眠る魔石だ。

 遥か昔、天空を漂っていた大陸が、大地に墜落した。大陸に押し潰され、荒れ果てた岩石の世界を開拓したのが、僕のご先祖様とされている。大陸を浮かばせていた浮遊石の存在が明らかになると、独占して財を成した。

 浮遊石の研究や製品の開発が進められ、この航空艦の動力にも浮遊石が使われている。輸送や兵器など、様々な用途に利用される現在の主力製品だ」


 どうやら貴公子は、思ったよりすごい人らしい。俺と同じように侍女はぽかんとしているし、女神と聖女は興味深く聞いていた。

 眠たそうなフルルの目が、カッと開く。食欲をそそる香りの料理が運ばれてきていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ