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女神の抱擁71


 打ちひしがれるコレクターに、女神は複雑な表情だった。


 コレクターのような相手とはいえ、これでよかったのか、過去を思い出して悩んでいるのかもしれない。俺がコレクターに対処できていれば、女神が思いわずらうこともなかった。女神に助けられてばかりだ。俺には、情けなさを隠して感謝を伝えることしかできなかった。


「表舞台に引きずり出されたとたん、これだよ……。やっぱりボクはひっそり隠れていた方がいいんだ……」


 コレクターは恨めしそうだが、意外と平気そうだ。しかし、やはりどう見てもかつて世界を支配した古の魔王とやらには見えない。気になったので聞いてみると、コレクターは少し元気を取り戻した。


「してたしてた、世界を支配。どうやって支配していたか、教えてほしい?」


 教えてほしいと頼むと、コレクターは嘲り笑う。


「教えなーい! バーカバーカ!」


 腹の立つ顔だった。外へ連れて行く間もうるさかった。


「へえ、立派なところに飾られていたんだな。見世物にされていたわけか。いい趣味をしている」


 人々が解放され、がらんとした美術館内で、悔しそうにつぶやく。


「取り戻してやるから待っていろ、ボクのコレクションたち」


 とんでもないことを口走っていた。


 外では、王国騎士たちが応援を待って待機していた。事情を説明してコレクターを引き渡す。


「女神の魔法使いと、女神の鉄球! 覚えたぞ! いずれ絶対に魔法の封印を解いてもらうからな!

 ちょっと、お前ら、もっと丁寧に扱って!」


 屈強な王国騎士たちに囲まれて、捨て台詞を吐くコレクターは連行されていった。


 女神のことは、女神の魔法使いという二つ名の冒険者と説明した。


「改心しそうにありませんね。もっと強烈な魔法をかけた方がよかったでしょうか……」


 女神の魔法使いは中々物騒だ。


 美術館に未だ残る人々の解放は、後日に延期された。俺と女神は、フルルたちの元に戻った。


 事の顛末を三人に語った。


「コレクター、魔法が効かない私と出会わなくてよかったね。触れられたらぶちのめしてた」


 鉄球より恐ろしいフルルの足に蹴られていたら、コレクターもあんな余裕がなかったに違いない。


「ほっとしました。それに、なんだか不思議な気分。古の魔王が目覚めたなんて、私からしてみればゾッとする話なのに、簡単に片付けてしまうから、ちょっとしたボヤ騒ぎだったみたいで。

 聖女様もそう思いませんか?」


「う、うん……」


 侍女の問いかけにも、心ここにあらずな聖女は、緊張した様子だ。どうしたのか聞いた。


「聖女の力をどうするか、最後に話をしたくて」


 聖女は心を決めたようだ。



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