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いい人たちだから、いい人の女神には、ぜひとも仲良くなってほしい。フルルたちのいる場所へ案内すると、女神は不安そうだがついてきた。
まず、聖女の部屋とは別室にフルルを呼んだ。
「あなたが、女神様?」
「彼は、私をそう呼んでいます」
「私は、フルル様。よろしく」
「はい、フルル様」
「女神様は、私たちオートマタを知ってる?」
「同じかは分かりませんが、似た人を知っています」
それからお互いについて話すと、女神は驚いた。
「魔法が通じないとは、本当ですか?」
「試してみる?」
得意げなフルルに、女神はおずおずと触れる。
「失礼します。
……魔力を遮断する魔法ですね。魔法で魔法を防いでいます」
「魔法なの!?」
「本人の意思に関わらず発動する魔法もあります。私も、彼にそんな魔法を施しました」
鍛えれば鍛えるほど体が強くなる魔法。魔法ということは、世に広まればいったいどうなってしまうのだろう。
「私だからこそ使える魔法です。魚のようには海で息ができず、鳥のようには空を飛べないのと同じように、人間には使えません。魚や鳥にはなれずとも、海で息をして空を飛ぶための道具が、私です」
自分を道具と言う女神に、悲しくなった。
「そうですね、これからはやめておきます。あまり誰かと話したことがないので、気づきませんでした」
苦笑する女神が、心苦しかった。
一方、フルルは疑っている。
「本当に魔法なの? 信じられない」
「遮断する魔法ですが、私なら魔力を通せます。試しにやってみますか?」
「よーし、どんとこい」
女神は、フルルの手を取った。
フルルは、びっくりしている。
「わー! 何か流れてくる! これが魔力か!」
手を放した女神に、フルルは大喜びだ。
「貴重な体験をさせてくれて、ありがとう!
でも、そっか、魔法をかけられるのか。どんな魔法を使える?」
「おそらく何でも」
「何でも? そう言われると、逆に困るんだよね……」
当然のように魔法をかけてもらえる気になっているフルルを、女神は微笑ましく見守った。




